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実車レースよりアツ過ぎる! 現役レーサーも参戦したSPK主催「e-SPORT」大会

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実車レースよりアツ過ぎる! 現役レーサーも参戦したSPK主催「e-SPORT」大会

アルパインスターズなどのレーシングギアを取り扱うSPKがe-SPORTに参入

 ここ数年でe-SPORTが活況だ。クルマ好きにとってモータースポーツが身近な存在となっているが、そのはしりとなったのがプレイステーションソフトのグランツーリスモシリーズだろう。最近では、よりリアルワールドを再現した「iRacing/アイレーシング」や「Assetto Corsa/アセットコルサ」などがあり、すでにこれらのソフトでレーシングシミュレーターを楽しんでいる人も多いはずだ。

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GTドライバーも参戦! “alpinestarsCUP 2021 presented by SPK”開催

 そんななか、レーシングスーツなどのレーシングギアでお馴染みアルパインスターズの総輸入元であるSPKが、同社として初のe-SPORT大会「“alpinestarsCUP 2021 presented by SPK”」を初開催した。

 第1回大会は、シミュレーターソフトに「iRacing」を使い、F1も開催されるベルギー、スパ・フランコルシャンのグランプリコースが舞台。MAZDA GLOBAL MX-5 CUP仕様車(ND型ロードスターのワンメイクレース車両)によるワンメイクレースを開催した。

 また、ゲストドライバーとしてスーパーGTドライバーもエントリー。2019年にスーパーGT・GT500クラスでチャンピオンを獲得したほか、TGR WECチャレンジドライバーとしてFIA世界耐久選手権にも参戦する山下健太選手(写真)。

 そして、LEONレーシングからスーパーGT・GT300クラスで戦う菅波冬悟選手のふたりが参戦した。

速さだけでは勝ちきれない秀逸なレースレギュレーションが熾烈なバトルを演出

 大会を運営するのは「iRacing Advanced Mazda MX-5 Cup Div All」でチャンピオンを2度獲得した、日本におけるiRacingの第一人者、加藤彰彬さん(下画像・左)が代表を務めるTCRJAPANだ。今大会の競技長のほか、レース解説を務めていた。

 決勝レースではスタートからゴールまで全開で走りきることができないガソリン搭載量とするなど、レース巧者ではないと勝てないレギュレーションとなっていたのも見どころであった。レースフォーマットは、19時~20時30までフリープラクティスが実施され、その後開会式を経て21時15分から10分間(単独2周計測)の予選、21時30分に決勝レース(約30分)はスタートした。

山下選手は2番手の好位置からスタート! iRacingの猛者たちと対峙

 今回のレースには40台のエントリーがあり、決勝レースには予選上位20台+敗者復活レース上位10台の合計30台により争われた。iRacingの経験者でありe-SPORT大会への参戦実績のある山下選手は、プロドライバーの腕を見せつけるように、予選を2位で終えて2番グリッドからのスタートとなった。

 しかし、上位グリッドにはiRacingの猛者たちが揃い踏みで、プロドライバーとはいえラクに勝てるレースではないことは本人も承知済み。リラックスしながらもフリープラクティスでは熱心に走り込むなど、ゲストドライバーながら優勝を狙う姿勢がヒシヒシと伝わってくる熱気に満ちていた。 そんななか決勝レースがスタート。ポールポジションを獲得したS.MUTO選手の予選タイムが2分47秒562であることから、周回数は12~13周程度になることが予想され、上位8台のマシンがトップ集団を形成して序盤のレースが進んでいく。2番手スタートの山下選手は、抜きつ抜かれつを繰り返しながら2~3番手をキープし、燃費&タイヤを温存する流石の走りでトップ集団のなかで虎視眈々と前車のオーバーテイクを狙う。

牽制し合うレース展開はファイナルラップにドラマが待っていた!

 レース中盤に差しかかっても、多少のポジションチェンジこそあるものの、上位8台のマシンが2秒以内のタイム差による接近戦を繰り広げられる。レース終盤まで牽制し合いながらの我慢比べと頭脳戦が、レースを引き締める展開となっていく。

 e-SPORTの醍醐味はココにあり、バトルする選手たちはもちろん、観戦する視聴者にも各マシンの狙いが透けて見えてくるから面白い。というのも各車のタイムギャップはもちろんのこと、インカー映像からシフトチェンジのタイミングなどが可視化されていることで、各選手の思惑を読み解きながら白熱したレース観戦を楽しむことができる。

 そこへ選手目線でレースを見届ける加藤さんの的確なレース解説が加わる。1周2分50秒近くかかるスパ・フランコルシャンの1ラップのなかに手に汗握る展開が凝縮され、決して飽きることのない実車レース以上のスリリングさに満ち溢れる静かなるバトルとなった。

 決着はファイナルラップ、しかも最後のオーバーテイクポイントであるバスストップシケインで決した。4位につけていた山下選手が上位3台の追撃にかかると、コーナーの進入でバランスを崩してポジションを落としてしまう。

 ポールポジションからスタートしたS.MUTO選手もレース序盤からトップ争いの集団のなかでレースを静観しながらファイナルラップでトップに立つも、バスストップシケインの進入で6番手スタートから少しずつポジションアップしてきたK.OOMISHIMA選手にアウトからかわされて2位へとポジションダウン。その結果、栄えある初代王者にK.OOMISHIMA選手が輝いた。

GTドライバーを抑え込むiRacingマスターたちのハイレベルな戦いに感服

 最後の見せ場でオーバーテイクを狙った山下選手がハーフスピンすると、思わず「最悪……」と声が漏れるほど悔しさを滲ませた場面が印象的だった。レース後に話を聞くと「もう1周できると思って燃費走行していたらファイナルラップでした。トップ争いしている人たちはみな頭脳的でトップを譲り合うレースで、頭使いながらの展開だったので30分がアッという間でした」と、5位で終えたレースを振り返った。

 また、菅波選手はレース序盤で他車のスピンに巻き込まれて順位を大きく落としてしまい34位でレースを終えた。

 観戦者のひとりとしてレースを振り返ると、まず驚かされたのは参加したどの選手もハイレベルであったこと。もちろんiRacingを走り込んでいることがうかがえ、ただ速く走らせるだけじゃなくつねに戦略的に頭脳戦を戦っていたのが印象的であった。レースの模様は下のリンクから動画視聴できるので、GTドライバーとiRacingマスターたちの熱い戦いをチェックしてみてほしい!

SPKではモビリティビジネスの成長にe-SPORT事業を展開

 SPKでは、中期経営計画として『VISION2030』を掲げ、2030年までに世界中のモビリティ社会とユーザーにあらゆる価値を提供するモビリティビジネスの成長を掲げている。そのなかで、新規モビリティ事業戦略のひとつとしてe-SPORT事業を推進しており、そのスタートとなったのが、「“alpinestarsCUP 2021 presented by SPK”」の開催であった。

 また、国内最大級のeモータースポーツ大会「AUTOBACS JeGT GRAND PRIX 2021 Series」に、2020シリーズチャンピオンチームとコラボした「TC CORSE SPK e-SPORT Racing/105号車」(監督:中島優太、選手:中島優太/深谷 諄/菅原達也/鍋谷奏輝/佐藤陽向、マシン:マツダ RX-VISION GT3 CONCEPT)として参戦。

 10月2日(土)に開催されたTEAM BATTLE Rd.1では、予選(Gr.A)1位から決勝レースを2位で終えるなど、上々のスタートを切ることができた。

 続く11月3日(水・祝)にはRd.2が開催され、「TC CORSE SPK e-SPORT Racing/105号車」(監督:中島優太、選手:深谷 諄/菅原達也/鍋谷奏輝)に加え、姉妹チーム「TC CORSE Esport MAZDA/54号車」(監督:浅賀颯太、選手:佐々木唯人/小山天太/坪井俊介)との2台で挑んだ。予選がマウントパノラマ モーターレーシングサーキット、決勝レースがモンツァサーキットを舞台に繰り広げられ、RX-VISION GT3 CONCEPTにとっては苦戦が強いられるレースが予想されるなか、両チームとも無事予選を通過する。

 決勝スーパーラップ/決勝第1レース/決勝第2レースの各セッションは厳しいレースとなるものの、決勝第1レースでは54号車の坪井選手が着実に順位を上げ、さらに上位陣のペナルティにより最終的に3位でレースを終え、決勝第2レースで3番手のスターティンググリッドを獲得した。

 決勝第2レースでは105号車の深谷選手が序盤の混乱で順位を10位まで落とすと、その後は安定した走りを見せて9位フィニッシュ。ポイントを獲得することに成功した。

 対して54号車はトップの2台とは異なるピット戦略を敢行して1周目でタイヤ交換を済ませると、その後はソフトタイヤでのロングランを完遂。ファイナルラップで3つポジションをアップさせると見事2位でゴールした。105号車にとっては厳しいレース結果となったが、苦戦が予想されたモンツァのレースで、RX-VISION GT3 CONCEPTのポテンシャルの高さを証明するレースとなった。

 次戦となるRd.3は11月23日(火・祝)に開催。グループ予選はウェザーテックレースウェイ・ラグナセカ、決勝レースがカタロニア・サーキットを舞台に実施される。

 現在、TEAM BATTLEランキング2位に54号車、3位に105号車がつけており、Rd.3の戦績と2022年1月15日、東京オートサロン2022の会場で開催されるグランドファイナル(Rd.4)の結果次第では、グランドチャンピオン獲得の可能性があるので、ぜひ応援してほしい。

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みんなのコメント

2件
  • 実車レースより熱いわけないです。ゲームだからぶつけたりミスしても「あー」で終わるけど実車レースは小さなミスすら許されない、常に集中していないといけない競技。

  • 将来の自動車の運転席のシステムが詰め込まれた印象です。ハンドル、ブレーキ操作は全て電気信号介するように思います。自動運転の要素がたくさんありそうです。踏み間違いの要素も増えます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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