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「970馬力を内に秘めたイケメンすぎるJZA80」北米スープラ神話に魅了された男の愛機

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「970馬力を内に秘めたイケメンすぎるJZA80」北米スープラ神話に魅了された男の愛機

JDMマッスルカーとしての逞しさを静かにアピールする本気マシン

主張しすぎない各部の上質なメイキングが必見だ

「970馬力を内に秘めたイケメンすぎるJZA80」北米スープラ神話に魅了された男の愛機

スープラというクルマはそもそもアメリカと縁が深い。その誕生の背景には、アメリカ市場で大成功したダットサンZの影響が強く「トヨタでも6気筒エンジンを搭載したスポーツカーを」という声は、北米市場からの大きなリクエストでもあった。

当初はセリカの6気筒版だったので、日本では「セリカXX」の名前で売られたが、北米市場では初代から「スープラ」の名で売られており、スープラは日本のGTカーの象徴的存在でありながらも、北米市場とは切っても切れない関係にあるというわけだ。映画『ワイルドスピード』1作目でJZA80スープラが主役マシンだったのも、そうした背景があればこそで、このスープラのオーナー、ダニーも特別な思い入れを愛車に注いでいる一人だ。

彼がこのスープラを買ったのは2006年。購入当初からHKSタービン付きのチューンドだったが、そこからコツコツと彼の美学を反映したチューニング&カスタムを開始した。その美学とはズバリ「スリーパー(Sleeper)」。

これはマッスルカーの世界で良く使われる言葉で、一見すると乗っていても眠くなる様な地味なクルマだが、実はハイパワーでもの凄く速い…というスタイルを指している。このスープラは敢えて巨大なウイングを付けず、インタークーラーもブラックアウトしてその存在感をオミット。とにかく見た目はノーマルプラスαに留め、その獰猛さをひたすらに隠しているのが特徴だ。

エンジンルームも完璧にディテールアップされている。「クロームが好きじゃない」ということで、ブラックペイント&カーボンパーツでセンス良くブラックアウト。カーボンのインテークパイプ類は、このスープラの製作を担当したJSPによるカスタムメイドだ。

しかし、チューニングは最新鋭にして究極。エンジンは2JZ-GTEをベースに、腰下にワイセコピストンとGRPアルミ製コンロッドをセットし、ヘッドもHKS272度ハイカムを軸に徹底チューンを敢行。

そこにETSのステンレスマニフォールドを介してBULLSEYE-S347Rタービンをセット。タービンハウジングも鋳肌を落としてからパウダーコートでブラック化するという凝り様だ。

エンジンルームを綺麗に見せる「ワイヤータック」と「シェイブドベイ」も当たり前の様に施される。

燃料系は、エタノールとガソリンを混合したE85フレックスフューエルに合わせたセッティングがなされており、ガソリンだけの仕様よりもかなりのハイパワーを実現。燃焼効率の良いエタノールはエコの観点からアメリカで浸透しているが、ダニーさんの様な人にしてみれば「安いレースガス」ということらしく、現にこのスープラもE85を使用すると実測で970psを発生するが、通常のガソリンだとそこから100psはパワーが下がるそうだ。

ボディはハウス・オブ・カラーのレッドマイカを使用してペイント。ボンネット上のスクープは、欧州仕様の物を装着。

サイドスカートとリヤスパッツは日本仕様だそうだ。フロントリップとリヤスポイラーはカーボン製だが、スリーパーゆえにアピール度の低いシンプルな物を装着。

「Built Not Bought(買ったのではなく、作った)」というステッカーは、ダニーさんのプライドが込められた一品もの。ちなみに、ナンバープレートの「SYANNRA」とは「サヨナラ」の事(他の人が申請済みで「SAYONARA」は取れなかった)。

ホイールはワーク・グノーシスHS201の19インチ。JZA80スープラはノーマルフェンダーでも極太サイズが飲み込めるので、前9J、後11Jとファットサイズを履きこなす。タイヤはハンコックのヴェンタスV12(F265/30-19 R315/30-19)。

ブレーキはレースシーンからの支持も厚いストップテックのビッグブレーキキット。フロントキャリパーは6ピストンで制動力も抜群。

ダッシュパネルやピラーメーターのポッドは、レザー張りへとカスタム。シートもダッジ・バイパーの物をベースに張り替え、そこにSUPRAロゴを刺繍したワンオフ品だ。

メーター類はPOWER HOUSE RACING製で、スピードメーターはGPSも併用するタイプ。

これだけ本気のチューンドながら、オーディオも抜かりなく装備するのがアメリカ流だ。

970psを内に秘めた「スリーパー」なスープラ。つい最近、メルセデスのE63AMG(5.5LV8ツインターボで585ps!)が隣に並んだ時、相手が「ホイールを入れただけの日本車か」とバカにしていので、思い切りブチ抜いてやったという。能ある鷹は何とやら。大人のチューンニングコンセプトとして、「スリーパー」は今後もっと広まっていきそうだ。


PHOTO:Akio HIRANO TEXT:Takayoshi SUZUKI

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