■約15年ぶりに全面刷新
日産は2025年10月29日、「ジャパンモビリティショー2025」のプレスデーにて新型「エルグランド」を発表し、実車を世界初公開しました。
【画像】超カッコいい! これがアルファードより“30%オトク”な日産の新型「最上級ミニバン」です!
2026年夏に発売予定の4代目モデルとして、約15年ぶりに全面刷新を果たしたこのモデルは、プレミアムツーリングミニバンとして、運転して楽しく乗員全員が快適な「リミットレス・グランドツアラー」を最大の特徴に掲げています。
初代エルグランドは1997年に登場した日産のフラッグシップミニバンで、「快適で、走りも楽しい」という新しいプレミアムミニバンの価値を提示しました。
しかし、2010年発売の3代目モデルから15年が経過する間に、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」が市場を席巻。
エルグランドは存在感でやや劣る印象を与えるようになっていました。
新型の開発を率いた中村智志氏は、「エルグランドらしい存在感とスタンスを取り戻すこと」を意識し、ライバルとの差別化ポイントとして「デザイン」と「ドライビングプレジャー」を掲げました。
ターゲットは「子育てが一段落し、家族や仲間、パートナーとの時間を楽しむ世代」で、後席に大切な人を乗せながら、自分自身も運転を楽しめる両立を目指しています。
エクステリアは「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」をテーマに、日本の伝統工芸をモチーフとした独創的なデザインを採用。
最大の特徴は、日本の伝統工芸「組子(くみこ)」をイメージした繊細なパターンのフロントグリルと、全幅にわたる一文字型のデイタイムランニングライトの融合です。
ボディカラーには富士山の夜明けをイメージした新色「FUJI DAWN(フジドーン)」や、深い赤紫色の「至極(シゴク)」が設定されました。
インテリアは「プライベートラウンジのような雰囲気」を演出し、国内モデルとして初めて14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを採用。メーターとナビの両方が14.3インチです。
シート素材にはTailorFitレザーと木目調アクセントを使用し、組子をイメージしたパターンがドアと座席トリムに配置されています。
2列目には伸縮式レッグレスト(オットマン)、シートヒーター&ベンチレーションを標準装備したゼログラビティキャプテンシートを採用。
さらに、ヘッドレスト内蔵を含む22スピーカー搭載の「BOSEプレミアムサウンドシステム」や、64色から選択可能なアンビエントライトも備わります。
先進運転支援システムとして、高速道路での運転を支援する「プロパイロット2.0」「プロパイロット」を搭載(ナビリンク付き仕様)。
「プロパイロット」の新機能として、渋滞時に時速50km/h以下でハンズオフ走行が可能となり、国内初の装備となりました。
このほか、インテリジェントアラウンドビューモニターや、ディスプレイ付き自動防眩式ルームミラーも標準装備されます。
パワートレインには日産の最新電動化技術を結集。発電専用エンジンに新開発の1.5リッター直列3気筒ターボ「ZR15DDTe」を採用した「第3世代e-POWER」を搭載。
モーター、発電機、インバーターなどを統合した「5-in-1パワートレイン」により、軽量化と高効率化、大幅な静粛性向上を実現しました。
駆動方式は、リヤモーターを大型化したツインモーター式4WD「e-4ORCE(イーフォース)」を採用。
コーナリング時に後輪駆動力を増やすことで「しっかり曲がるハンドリング」を実現し、加減速時の揺れも抑制します。
また、走行シーンに応じて減衰力を自動調整する「インテリジェントダイナミックサスペンション(IDS)」も搭載しています。
■ライバル車との比較と市場での優位性
会場の日産ブースには「威風堂々とした存在感」で来場者の注目を集め、長い行列ができました。
SNSでの反響は賛否両論となりました。「むちゃくちゃカッコいい」「アルファード/ヴェルファイアの一強に風穴を開けてくれそう」といった好意的な意見がある一方で、「これじゃない感…」「エルグランドの品が消えた」といった否定的な意見も見られました。
また、「e-POWERまじで馬鹿にできない」「運転するのであればエルグランド」と、その走りに期待する声も多く上がっています。
特にライバルとなるアルファードとの比較も注目されます。ボディサイズで比較すると、新型エルグランドは全長4995mm×全幅1895mm×全高1975mm(数値は日産測定値)。
対するアルファードは全長4995mm×全幅1850mm×全高1935-1945mmです。
全長は同等ですが、新型エルグランドは全幅が45mm広く、全高も30-40mm高いため、より堂々とした印象を与えます。
パワートレインは、アルファードの2.5リッターハイブリッドなどに対し、エルグランドは1.5リッターターボの第3世代e-POWER+e-4ORCEを採用。
これにより「運転して楽しいミニバン」として差別化を図っています。後輪駆動力を高めた制御により「しっかり曲がるハンドリング」を実現し、快適性重視のライバルとは異なる価値を提供します。
インテリアも、デュアル14.3インチディスプレイや22スピーカーのBOSEシステムなど、ライバルを上回る豪華装備を搭載。
価格は未発表ですが、1.5リッターエンジン採用により自動車税は年間約3万500円となり、ライバルの2.5リッター(約4万3500円)に対して年間約1万3000円安くなるメリットがあります。
待望のエルグランドのフルモデルチェンジが、ついに現実のものとなります。続報に期待です。(佐藤 亨)
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