輸入車 [2026.05.09 UP]
クルマ選びのプロが思い切り主観で選ぶ、わたしにとっての王道輸入車4選
毎年100台にも及ぶ試乗と取材体験を持つ自動車選びのプロは、どのような輸入車をどのような視点で評価するのか。これまで所有してきた愛車やその経験から、自分にとっての王道モデルとその理由を語ってもらった。いつまでも記憶から失われないクルマとは一体どのようなものなのか。あなたのクルマ選びにも、きっとヒントになるはずだ。
機能美から様式美へ。ポルシェ「911」がスポーツカーの王道であり続ける理由
モータージャーナリスト九島辰也氏の王道【ポルシェ 911】
乗るたび発見があり、ずっと眺めていられる911は永遠だ
自分の愛車遍歴を振り返ると、長く所有していたのはポルシェ 911。993型911タルガと997型911カレラはともに9年間ガレージにいた。持ち続けた理由は唯一無二の存在であること。個性が強く、味わい深い。乗るたびにいつものフィーリングを感じるとともに、新たな発見があったりする。
「こういう峠道をこのくらいの速度で走るとこういう動きをするんだ」とか、「真冬の暖機運転はこのくらいなのね」とか。思い起こすと、まるで生き物のようにいろんな顔を見せてくれた。たまにヘソを曲げることもなくはない。このほかにはデザインが関係する。リアエンジン独特のスタイリングは、ほかにはないので飽きない。斜めからのリアビューはずっと眺めていられる。
サイズもいい。997型の全幅は1810mmだし、993はもっと細い。全幅が膨らんでいる時代、このサイズは絶妙だ。ストレスなくどこへでも行ける。それに誰にも「これなんてクルマ?」と言われたことはない。911のカタチは永遠なのだ。ということで、私見による“愛され続ける人気モデル”はちょっと前のポルシェ911である。
Profile:九島辰也
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌副編集長なども経験。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。
モータージャーナリスト竹岡 圭氏の王道【フォルクスワーゲン シロッコR】
いつまでも飽きないサウンドとビジュアル
2010年から私の傍らに居るのはフォルクスワーゲン シロッコR。相棒となってから16年目、走行距離は145,000kmを超えました。つまり飾っていたわけではなく、ジリジリと陽が照る夏も、シンシンと雪の降る冬も、時にはブワ~ッと砂煙舞うラリーの練習場まで(笑)、一緒に時を重ねてきた大切な存在です。
もとはと言えば、ポルトガルの国際試乗会で出会いひとめ惚れ。絶対買うんだ!と心に決め貯金をしている間に、スポーツモデルのシロッコRが2009年に上陸し、エンジン音を聞いた瞬間「もう、絶対こっち!」と、サウンドに酔いしれてしまったため、鬼ローンを背負って私の手元にやってきました。
16年目を迎える今でも、顔を見るたびに「カッコイイ~ッ♪」と素直に思えるし、「ブォ~ン」という音を聞くたびシブイサウンドにウットリできる。そんなクルマに出会えたことは本当に幸せだと思います。
「DSGとか壊れない?」と、よく聞かれるのですが、じつはDSGを含めてノートラブル。友人たちからも「信頼のあおちゃん」と呼ばれる賢い子は、まだまだ手放せそうにありません。
Profile:竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもお馴染みの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーやXCRラリーにも自身のチーム「圭rallyproject」で参戦している。2026-2027 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
モータージャーナリスト石井昌道氏の王道【BMW 3シリーズ】
クルマ好きの希望を高次元で叶える万能スポーツセダン
クルマを3~5年ほどで買い替えてきたのに、いま乗っているBMW 320d(F30)はもう14年。走行距離は15万kmを超えた。燃費がよく、高速道路なら1タンクで1000km超えもめずらしくないことは、給油が面倒に思えるずぼらな自分にとっては便利すぎて手放す気にならなかったからだ。もちろん、ほどよくスポーティで乗り心地も悪くないこと、都市部で持て余すことがないボディサイズ、14年で一度も故障がないといった美点もある。
とはいえ、それ以上に乗り続けた理由は、さまざまなクルマを評価する仕事をする自分にとって、3シリーズはベンチマークだからだ。とある新型車に初試乗したときには、自分の3シリーズと比べて優れているか否か? という物差しとして機能している。さすがに古くなってきたのでベンチマークとしては物足りなくなってきてはいるのだが、愛着が湧いてきてしまってやはり手放す気がなかなかおこらない。いまは沼にはまった状態だ。
Profile:石井昌道
自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。
自動車ライター工藤貴宏氏の王道【ポルシェ ボクスター】
スポーツカーとは何かを教えてくれたアナログ・ポルシェ
スポーツカー好きとしては、“スポーツカーのメートル原器”とも言われるポルシェは常に手元に置いておきたいクルマだ。ポルシェのスポーツモデルといえば多くの人は911を指名するだろうけど、筆者はボクスターを選ぶ。なぜならボクスターのほうが911よりも軽量で、走りもより軽快。それでいて、718になってからの通常モデル以外はポルシェらしい水平対向6気筒自然吸気エンジンの味わいを心ゆくまで楽しめるからだ。
たとえば、筆者がかつて乗っていた初代のボクスターS。今の911とは比較にならないコンパクトで軽いボディに、252馬力と“適度なパワー”のエンジンを積んでいる。四半世紀も前のモデルだから最新スポーツカーのような洗練さはない。けれど、だからこそ、デジタル感の少ないアナログ的なポルシェ体験が得られるのだ。アクセルを踏み込んだときの、いかにも精密な機械を思わせつつも単に鋭いだけではないエンジンの反応と音は今のポルシェでは味わえない趣がある。それに、独特のエンジン音がたっぷりと後ろから聞こえてくるオープンも楽しめる。
気に入って10年乗った後に手放してしまったけれど、チャンスがあればもう一度手に入れ、終のクルマとしたいと今でも思っている。
Profile:工藤貴宏
クルマ好きが高じて学生時代にはじめた自動車雑誌編集部でのアルバイトをきっかけに、自動車メディアの世界へ。これまで所有してきた愛車のなかにはスポーツカーも数多い。2026-2027 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
文●九島辰也、竹岡 圭、石井昌道、工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、ポルシェ、フォルクスワーゲン、BMW
(掲載されている内容はグーワールド本誌2026年6月号「愛され続ける人気モデルの条件【王道のDNA】」記事の内容です)
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