トヨタ自動車は6月13日、バッテリー電気自動車(BEV)に革新を起こす可能性を秘めた「全固体電池」について、開発の目処をつけ、2027年にも全固体電池を搭載した新型BEVを発売する見通しであると明らかにした。また、その他のバッテリー技術についても並行して開発を進め、“バッテリーのフルラインアップ化”を目指す考えを強調。クルマの特徴に合わせた複数のバッテリー開発を続け、BEVラインアップの性能向上とラインアップ拡充を実現していく。
2026年頃に航続距離1,000kmも可能に
“クルマ屋が作る新世代EV”を投入。新体制方針説明会で垣間見たトヨタの本気
今回トヨタが明らかにした計画によると、BEVの肝となるバッテリーについて、価格を重視した普及版から、画期的な全固体型電池まで、全部で4タイプを用意する。
“普及版”は「アクア」や「クラウン」などハイブリッドカーに搭載されているバイポーラ構造のバッテリーをBEV向けに最適化するもので、航続距離は現行「bZ4X」(WLTCモードで最長559km)の20%増を目指し、2026~2027年の実用化を目指す。
トヨタはこの普及版バッテリーを「良品廉価」と表現するが、航続距離は単純計算すると約670kmとなり、テスラ「モデル3 ロングレンジ」の689kmに迫る。これだけでも驚きだが、トヨタではさらに生産コストをbZ4Xから40%低減し、急速充電(充電量10%→80%)に要する時間も30分以下を目指すとのことだ。
次に、性能にこだわった“パフォーマンス版”では、航続距離1,000kmを実現し、コストはbZ4Xの20%減、急速充電20分以下を目指す。普及版のさらに上を行く性能となるが、トヨタではこのパフォーマンス版バッテリーを搭載した次世代BEVを一足早く2026年に市場投入する予定だ。
ちなみに、BEVの価格のかなりの部分はバッテリー代が占め、そのコストがbZ4Xの20%減なら、次世代BEVは税込600万円というbZ4Xの価格を数十万円下回ってくる可能性もある。3年後に航続距離1,000kmのBEVが補助金込みで400万円台で買える時代が来るかもしれない。
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全固体電池により航続距離1,200km、急速充電10分以下に
次に、さらなる進化を目指す“ハイパフォーマンス版”も開発が進行中。こちらはバイポーラ構造を採りつつハイニッケル正極を組み合わせることで性能をより引き上げるという。具体的にはパフォーマンス版よりも航続距離を10%向上、コスト10%減を目指すとのことで、単純計算で航続距離は1,100km程度となる。さらに航続距離を伸ばしコストを抑えるという目標は凄まじいが、こちらも2027~2028年の実用化を目指していくという。
最後に、全固体電池については2027~2028年の実用化にチャレンジする。その性能はハイパフォーマンス版に比べ航続距離20%向上、急速充電は10分以下を目指すとのことで、実現すれば航続距離1,200kmのBEVが2027年にも市販されることになる。
一方、全固体電池のコストは「精査中」とされ、搭載モデルはかなり高価になりそうだが、ハイブリッド車の「プリウス」や燃料電池車の「MIRAI」をライバルメーカーが絶句する値段で市販したトヨタだから、手が届かないクルマにはならないはず。そして、トヨタでは全固体電池をさらにレベルアップさせたバージョンの研究開発を進めている。こちらはハイパフォーマンス版に比べ航続距離50%向上を目指しており、実現すれば一充電で1,500km走れるBEVが登場するはずだ。
トヨタではBEVに関し、ロケット技術を応用した空力技術の開発、部品点数を削減するギガキャストの導入、自走組立ライン等を取り入れた工場の設計などにも取り組むという。さらに、多様な電動車に対応するマルチパスウェイプラットフォームについては、新型「クラウン」のパワートレインをBEVに転用したテスト車両も公開し、BEV版を提供できる技術力をアピールした。
これまでEVに及び腰と言われた評判を一変させる破壊力のある発表内容に、ライバルメーカーメーカーは震撼必至だろう。
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みんなのコメント
ただ、日本はインフラ整備が必須ですよね。
昨日も高速で電気自動車が、電池切れで止まってました。
もっとあちこちに充電設備がないと、怖くて電気自動車で遠出はできないかなぁ。
めでたい、めでたいwwww