アーティストのYOSHIROTTENが今一番気になる相手と大好きな蕎麦屋で対談するという連載。6回目の対談相手は、デジタルクリエイター・プロデューサーの守屋貴行だ。
国内外でグラフィック、映像、インスタレーションと幅広い活躍を遂げるアーティスト・YOSHIROTTEN。謎に包まれた彼が唯一オフになれる場所だというのが蕎麦屋だ。そんな蕎麦好きの彼の蕎麦屋リストから今宵はどこに向かうのか。6回目は、バーチャルヒューマン「imma」の生みの親でもあるデジタルクリエイターの守屋貴行さんを迎えて、中目黒「驀仙坊」で実食。
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YOSHIROTTEN(以下、Y) いままでのゲストの中でも、しょっちゅう会ってる友達かも。
守屋貴行(以下、M) 最初の出会いってどこだっけ?
Y 共通の友人のバースデーパーティだったと思う。その頃はまだ「imma」を始める前で、デジタルクリエイターとして活躍してた印象。
M いまも、映像プロダクションとバーチャルヒューマンの2つの業種で仕事をしてるけど、よしろー(YOSHIROTTEN)との最初の仕事は、2017年のアンリアレイジのプロモーションビデオ。オニツカタイガーとARを用いたコラボシューズを発表して、そのプロモーションビデオに僕がプロデューサーで、映像監督に関根光才さん、俳優の森山未來さんに出演してもらって、よしろーには全体のディレクションやグラフィックデザインをお願いしたよね。
Y immaちゃんを生み出したのはいつ?
M 2018年。7年前だね。その後に、ポルシェ初のフル電動スポーツカー「タイカン」のプロモーションビジュアルでもimmaを起用して、一緒に仕事したよね。
Y どういうきっかけでimmaちゃんを作り始めたの?
M 最初は遊びの一環としてやり始めたけど、思いのほかすごい伸び始めて最終的に映像とは別に会社化して本格的に始動した。当時から“広告の価値のあり方”が変わっていくだろうと思っていた。代理店システムが崩壊してテレビが力を持たない時代が来るだろうなと予想した上で、インターネット、そしてSNSの影響力が本当に計り知れないものになっていくと。僕はあくまでもプロデューサーとしてそうしたメディア論を理解して、今後どう動こうかと考えてた。そんな時期にふと「僕はやはりものづくりがしたい」と気づく瞬間があって。そのモチベーションが、immaちゃんだった。
Y 当時、バーチャルゲームも出てきて、わりとバーチャルモデルもたくさん出てきそうな気配はあった気がする。でも、その中でもimmaちゃんはクオリティは高いし、個性がある印象だった。
M 2019年にはSK -II のキャンペーンムービーにも出演して、グローバルアイコンになっていった。
Y immaちゃんの面白いポイントって、常に進化していってるところ。前までは静止画だったのに、次第に動くようになり、最近ではAIで話せるようになってる。一緒に時代の変化を見ているような気持ちになる。一方で、みんなが「immaちゃん」って言うくらい身近に感じられる存在。もりやん(守屋)も「Dr.マシリト」のようで面白い。immaちゃんのクリエイティブな成長とビジネス面の両方を見る親のような立場で、僕の周りにはあまりいなかったタイプだなと思う。
M よしろーも含めてアーティストや監督の言ってることはできるだけ汲み取れるようにしたいなと思ってる。よしろーとは、最初から自然とわかりあえる共感ポイントがたくさんあった気がする。
Y 最初から、宇宙やスピリチュアルな話で意気投合して、これから宇宙プロジェクトも一緒にやり始めるとこだよね。
M そうだね。あとクリエイティビティとして共感するところは、死んだ後も受け継がれるものを作るという姿勢かな。
Y immaちゃんがここまで成長すると予想してた?
M 実は当初から、2024年までのimmaちゃんの計画を紙に書き出してはいて、それらはほとんど実現した。2024年の最後にはAI化の時代が来ると書いてたし。でもまたここから先の5年を書こうと思ったら、難しくて。いまの時点でAIがこんなに誰でも使えるツールになると思ってなかったから。よしろーはAIについてどう考えてる?
Y 便利になったというポジティブな面もあるけれど、逆にいうと、人間にしかできないことを突き詰められるようになった。
M よしろーが考えることってAIではできない領域だよね。バーチャルモデルも、CGで一から作ってるから意外とクラフトなプロセスを経ている。結構、血のにじむような努力の結晶なんだよね。
Y そこに美意識が入ってくることで、AIとは違ったクリエイションになるよね。あ、蕎麦がきた。僕にとって蕎麦屋は、唯一メディテーションできるところなんだけど、そういう場所はある?
M 温泉は唯一メディテーションできる場所かも。昨日も箱根の秀明館に行った。
Y 僕も最近、蕎麦と温泉、あとはお水、お茶に興味がある。
M 実は、母親が書道、華道、茶道をやっていて。
Y 僕の母親もお花の先生で、おじいちゃんは庭師。
M やっぱり、細かいところで似てるよね。
今月のゲストと蕎麦屋守屋貴行/TAKAYUKI MORIYA総合プロデューサー。映像制作会社のロボット、エウレカを経て、2016年にNIONを設立。映像やVR、AI開発などの先端技術を駆使したクリエイティブを展開。2018年には、アジア初のバーチャルヒューマン「imma」を生み出し、2019年にAwwを設立。
手打ち蕎麦 驀仙坊中目黒に2001年に創業。モダンな店内の内装でランチから夜まで営業。蕎麦は玄蕎麦挽きぐるみの二八蕎麦。店名をつけた「驀仙坊」は親田辛味大根、かつお節、かいわれ、山葵のおひたしをのせた冷たいお蕎麦。
YOSHIROTTEN(ヨシロットン)ファインアートと商業美術、デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、複数の領域を往来するアーティスト、アートディレクター。代表を務めるクリエイティブ・スタジオ「YAR」では、商業において視覚芸術が関わるほぼ全ての範囲の仕事を手がけている。
PHOTOGRAPHS BY KAZUKI MIYAMAE
WORDS BY YOSHIKO KURATA
EDITED BY KEITA TAKADA (GQ)
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