欧州で急成長中のスコダ
チェコの自動車メーカーであるスコダのクラウス・ツェルマーCEOは、今回の特集記事のためのインタビューや撮影の合間に、素早く席を立ってオフィス家具をどかしたり、照明スタンドを設置したり、背景を選んだりと、進んで手伝ってくれた。その姿に、彼の神髄が如実に表れている。
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毎年恒例のAUTOCARアワードで、ツェルマー氏は2026年の「アウトスタンディング・リーダー(傑出したリーダー)賞」を受賞した。インタビュー当日は上機嫌だった。この翌日に、2026年第1四半期に同社が欧州で22万3500台という驚異的な販売台数を記録したことが発表されたからだ。
これにより、スコダはフォルクスワーゲンに次ぐ欧州第2位のブランドとなっただけでなく、わずか4年で8ランクも順位を上げるという、最も急成長しているブランドの1つともなった。
AUTOCARのカメラマンと部屋のセッティングについて確認し、インタビューの時間を確保するために午後の予定を快く調整してくれた後、ツェルマー氏はこうした輝かしい成果について謙虚に振り返った。
「欧州市場全体に成長が見られない中で、当社は17%の売上成長を達成しました。売上高は9%増ですが、利益は21%増となっています」と彼は満面の笑みを浮かべた。
「当社は全速力で前進しています。この極めて厳しい時代でも、強固なビジネスモデルと、会社を前進させる素晴らしいチームがあれば成功できるのです」
謙虚で親しみやすい人柄
スコダは欧州の販売ランキングで順位を上げただけでなく、EVの販売台数がほぼ倍増し、競争の激しいインド市場でも17%という堅調な売上増を記録した。いずれも大いに称賛に値する成果であり、その少なくとも一部は、ツェルマー氏のリーダーシップスタイルと、彼が推進する企業文化に起因していると言える。
彼は、そのような影響力のある役割をしっかりとこなしている一方で、それを当然のこととは決して考えない謙虚さも兼ね備えている。世界100か国以上に4万人以上の従業員を擁する、世界でも有数の販売台数を誇る自動車メーカーのトップを務めているが、権力を誇示したり、そのような高位の人物にありがちな独断主義にふけったりすることはない。
むしろ、正反対だ。ツェルマー氏の経営スタイルの根幹にあるのは、耳を傾け、学び、教わろうとする姿勢だ。この姿勢は、取締役会においても協調的な(ひいては生産性の高い)環境を育み、結果として物事がより迅速かつ高い水準で成し遂げられるようになっている。
「わたしの最大の原動力の1つは好奇心です。好奇心こそがわたしを突き動かしているのです。好奇心はまるでバッテリーのようなもので、もっと学び、もっと知り、もっと質問するためのエネルギーを絶えず供給し続けてくれます。無理やり何かを学ぼうとすると大変ですが、興味を持って知りたい、質問したいと思うなら、ずっと簡単です」
ポルシェ米国法人からVW販売責任者へ
ドイツ生まれのツェルマー氏にとって、探求と実験への情熱こそが、そもそもスコダの役職を引き受けた大きな理由だった。彼は、ポルシェの米国法人を率いた長い期間について「おそらく最高の仕事でした」と振り返るが、23年間も勤める中で新鮮さが薄れ始めていたという。そのため、量販ブランドへの転身は、新しいことに挑戦する絶好の機会だった。
そのチャンスが訪れたのは2020年のこと。当時フォルクスワーゲン・グループのトップだったヘルベルト・ディース氏から、ドイツに戻りフォルクスワーゲンの販売・マーケティングを統括するよう求められたのだ。職務範囲はこれまでとは劇的に異なり、課題も山積していた。特に、新型コロナウイルスのパンデミックが世界的に猛威を振るう中、自動車業界が生き残りをかけた熾烈な戦いを繰り広げていたことを考えればなおさらだ。
とはいえ、ツェルマー氏はそうした状況にも特に怯むことはなかった。持ち前の謙虚さから、自分に必要なスキルがあるかどうか完全には確信が持てなかったものの、気さくな性格ゆえに、とにかく全力で取り組んでみようと決意したのだった。
「ヘルベルトはわたしにこう尋ねました。『クラウス、君は量販ブランドをこなせるか?』と。わたしは『分かりません。正直なところ、答えられません。自分にそれができる素質があるかどうか確かめてみます。そして、持てる力をすべて注ぐつもりです』と答えました。そして、実際にそうしました」
功績が認められスコダのトップに
ツェルマー氏がこの役職に就いた直後の2021年、フォルクスワーゲンは激動の時期を乗り切り、販売減少率を比較的許容範囲内の8%に抑え、欧州で最も売れた自動車ブランドとして1年を締めくくった。販売台数は、次点のトヨタとプジョーを合わせた台数にほぼ匹敵するほどだった。
同様に重要なのは、フォルクスワーゲンのEV販売台数が約2倍に増加し、利益率向上という目標に向けて順調な軌道に乗っていたことだ。同時期、他の主要ブランドにとっては夢に見るような成長だった。
高級車ブランドから世界最大級の販売台数を誇る量販ブランドへの転身は、当初、学ぶべきことがあまりにも多く、「消防ホースから水を飲むようなもの」だったという。それでも、ツェルマー氏の貢献はフォルクスワーゲンの業績に多大な好影響を与えた。当然のことながら、キャリアの階段をもう一段上るチャンスがすぐに訪れた。
ツェルマー氏はこう振り返る。
「(スコダの経営を引き継ぐよう)打診された時、普通なら少し躊躇して『一晩考えてみる』と言うところを、わたしは即座に『はい、やります。すごく面白そうですね』と答えたんです」
(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます。)
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みんなのコメント
あまり話題にならないが、欧州第2のブランドはこのところトヨタだったんだけどな。
VWグループの上四半期の欧州内販売数を見ると、スコダの伸びが確かに大きく、ただポルシェの落ち込みも大きい(-14.7%)。