同じホンダのコンパクトSUVでも、ヴェゼルとWR-Vはかなり性格が違う。価格が安い分WR-Vが売れてるのかなと思うと、実は販売面ではヴェゼルが大きく先行しているという衝撃の結果も。しかし、だからといってWR-Vに魅力がないわけではない! 装備やパワートレーンの違い、そしてWR-Vならではの実用性から、両車の立ち位置を改めて見ていこう!
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】ヤリスクロスより広い後部座席がコレ! WR-Vの車中泊仕様ショットもあるぞ!!(14枚)
WR-Vはなぜヴェゼルの5分の1しか売れないのか
ホンダは全長が4500mm以下のコンパクトSUVとして、ヴェゼルとWR-Vを用意している。両車ともボディサイズはほぼ同じで、プラットフォームも基本部分を共通化した。
その一方でボディスタイルは明らかに異なる。ヴェゼルは上質な印象で、WR-Vはシンプルかつ野性的な雰囲気を感じさせる。
パワーユニットは、ヴェゼルはハイブリッドのe:HEVが中心で、駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを選べる。WR-Vはノーマルガソリンエンジンのみを搭載して、駆動方式も2WDに限られる。WR-Vに用意されないノーマルガソリンエンジンと4WDの組み合わせは、ヴェゼルに設定した。このようにヴェゼルはe:HEVを中心に選択肢が豊富だが、WR-Vはノーマルガソリンエンジンの2WDのみだ。
両車の売れ行きにも差がある。直近となる2026年上半期(1~6月)の1か月平均登録台数は、ヴェゼルは6189台だが、WR-Vは1172台に留まる。WR-Vはヴェゼルの19%しか売れていない。
設計は新しいのになぜ? WR-Vの販売台数が「半減」した舞台裏
ちなみに発売された年は、現行ヴェゼルは2021年で、WR-Vは2023年だ。WR-Vは設計が新しいのに、売れ行きはヴェゼルを大幅に下まわった。
WR-Vの販売実績を振り返ると、2024年には1か月平均で2528台が登録された。2025年の1か月平均も2252台であった。それが2026年の上半期は1172台だから半減している。もともとWR-Vの売れ行きは、1か月に6000台前後を登録するヴェゼルに比べて少なかったが、2026年上半期は、さらに激しく落ち込んだ。この原因は何か。
販売店は以下のように述べた。
「WR-Vとヴェゼルの売れ行きを比べると、今はヴェゼルが圧倒的に多い。WR-Vがヴェゼルに比べて不利なのは、メカニズムや装備の選択肢が少ないことだ。今はハイブリッドの人気が高いが、WR-Vは普通のガソリンエンジンのみになる。
(駆動方式も)4WDは用意されず、2WDだけだ。サイドブレーキも(ヴェゼルは人気の高い電動式だが)WR-Vはレバー式になる。最近はステアリングヒーターやシートヒーターの人気が高く、ヴェゼルは装着可能だが、WR-Vではオプションを含めて採用していない」。
「HVなし・4WDなし」がもたらした販売現場の弱点
販売店のコメント通り、今はガソリン価格の高騰もあり、ハイブリッドの人気が高まった。例えばコンパクトSUVのトヨタヤリスクロスは、ハイブリッドとノーマルガソリンエンジンの両方を用意するが、2026年の販売状況を見るとハイブリッドが85%を占める。現時点でハイブリッドを選べず、ノーマルガソリンエンジンのみになるのは辛い。
またWR-Vのフロントマスクは、前述の通り、都会的なヴェゼルに比べて野性味を強く感じさせる。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)も、全車が195mmを確保したから、悪路のデコボコを乗り越えやすい。そうなれば4WDも検討したくなるが、WR-Vはヴェゼルと違って2WDのみだ。販売店では「WR-Vの4WDを希望するお客様は少なくない」と述べている。
さらに電動パーキングブレーキ、ステアリング/シートヒーターなど、人気の装備が採用されないことも、販売面でマイナスに作用した。WR-Vは、既に欲しいユーザーに行き渡り、新たな需要を呼び込みにくくなっている。
WR-Vには、以上のような販売面の不利な条件が多いため、販売店は販売促進に力が入らない。WR-Vよりも価格が高く、しかも販売しやすいヴェゼルに力を入れるのは当然だ。その結果、両車の売れ行きにはさらに差が開いてしまう。
ライバルを超える広さ! 最廉価WR-V Xグレードの隠れた実力
それならWR-Vは、どのようなユーザーに人気が高いのか。この点も販売店に尋ねた。「WR-Vを購入するお客様は、年齢が比較的若い。上級の装備が不要だったり、価格の安さを重視するお客様の間でも人気を得ている」。
WR-Vで最も安価なXは214万9400円だ。ヤリスクロスに直列3気筒1.5Lノーマルガソリンエンジンを搭載する最も安価なXの212万6300円と同程度になる。
そこでWR-V Xとヤリスクロス Xの実用性を比べると、車内はWR-Vが広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、WR-Vは握りコブシ2つ半でヤリスクロスは1つ半だ。5名乗車時の荷室容量も、WR-Vは458Lで、ヤリスクロスの371Lを上まわる。
またWR-VのXと、上級グレードのZを比べると、乗り心地は安価なXが優れている。タイヤサイズは、Zが見栄えを重視した17インチになり、Xは空気の充填量が多い16インチを採用したからだ。シートの座り心地も同様で、Zの複数の素材を使ったコンビシートよりも、Xのファブリックのシート生地が柔軟に感じる。リラックスして使えるツール感覚のSUVを好むユーザーは、WR-V Xを検討する余地がある。
ヴェゼルは販売が好調で、多くのユーザーが使っている以上、優れた商品と判断できる。だからといって、売れ行きがヴェゼルの20%以下に留まるWR-Vが、劣った商品とはいえない。WR-Vは、多くのユーザーが欲しがるクルマではないが、少数でもニーズが合うユーザーは確実に存在するからだ。売れていないからダメとはいえず、販売データを見る時の注意点もそこにある。
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みんなのコメント
積雪なんて考える必要がないからね。
4WDも必要なのは積雪地もしくはそこに行く可能性がある人だけなんだよね。
ハイブリッドや4WDが必要ない人にとってはWR-Vはめちゃお得だと思う。
だから、ヴェゼルほど売れなくても問題ないし
多分WR-Vが売れまくると、国内生産モデルが更に減るかもよ