日本とは運転免許取得方法もガラリと異なる
新年度に加え新元号となり、記念すべき新しい年が始まった。大学への進学や就職など、新たな生活が始まった時期でもあり、なかには初めて自分の車を所有することになる若い人たちも多いのではないだろうか。今回はとくに娘が初めてクルマを持つことになった親御さんに向け、筆者なりの意見をまとめておきたいと思う。
【注意】フロントガラスに初心者マークやお守りなどを付けるのはNG!
そういう我が家にも娘がひとりおり、5年前に都内の高校を卒業して渡米。アメリカの大学に進学した。あちらでの生活の初年度は寮生活なので生活上の不便はほとんどないようだったが、2年に進学すると寮を出てアパート暮らしをするようになる。そうなるとクルマがなければ生活が成り立たないのがアメリカ。そこでクルマを購入することになり、父親であるとともにクルマの専門家として選択を任されたのである。
アメリカでは州にもよるが運転免許は16歳から取得可能。日本人も学生ビザがあれば取得できる。高卒の娘は18歳になっていたので年齢的には問題ない。だが免許取得には日本ではあり得ない試験制度が壁となった。娘の留学地域には教習所のような仕組みはなく、練習は自宅のクルマで空き地などで行うのが一般的。まわりが学生ばかりなのでクルマも借りられず教える人もいない。しかたなく筆者が渡米しトヨタ・カムリのレンタカーを借りて学内の広い駐車場で許可を得てアクセルとブレーキから教えた。
試験当日は自分でクルマを用意して試験場まで誰かに運転してもらい、実技試験を公道で受けるという。練習しているときに娘のクセをある程度見抜き2~3日で練習を終了したが、このとき行ったアドバイスは試験でとても役に立ったという。クルマの車幅感と路上の位置関係の見極め方や、車線の維持や車庫入れなどだが、とくに停止線手前で止まるときの位置把握感覚が不得意であるようだったので、集中的にアドバイスしたのだ。
日本では教習所に通わせて法的試験に受かれば免許が交付され、あとは好きなクルマを買えばよいわけだが、アメリカでは本人の身近な人(通常は親御さん)が付き添い寄り添いながら免許取得からクルマ購入まで決めていくわけだ。日本だとセダンの教習車で練習し、購入するのはミニバンだったりするわけだが、それでは免許取得してからまた新たに感覚的な慣れを一般道でこなしていかなければならないから怖さも増すだろう。
娘は練習で使用したカムリが運転しやすく慣れたので安心して運転できそうだと購入を希望したが、予算的に厳しいのでワンランク車格を下げ北米・カローラを購入させた。
試験場で受験し合格すると直に免許が発行される。そのまま隣にあるトヨタのディーラーでカローラの新車を受け取り自分で運転して返ったという。日本では考えられないシステムだ。しかし帰宅後すぐに連絡があり「カローラの運転しやすさはカムリ以上で自分には丁度いい!」と大喜び。その後3年で6万キロ以上を乗り回したそうだ。
できることなら教習所へ通っているときから気にかけたい
ここで言いたいことは、もし自分の娘が免許を取得して初めてクルマを買うという状況なら、一度は一緒に教習所へ行き娘さんの運転技術とか癖、特性を見極めてほしいということ。男の子なら小さなころから自転車を乗りまわしたりバイクに乗ったり交通環境に慣れていることが多い。
だが女の子の場合は自分がクルマを購入する段階になるまで、交通環境にもクルマにも興味を持つことがなく育ってきている場合が多い。自分の身体よりはるかに大きくて、はるかに速い速度で走るクルマを正しく安全に走らせるために、デザインの好き嫌いとか色とかより運転能力とバランスの取れるクルマ選びが重要ということなのだ。
軽自動車でもミニバンでもスポーツカーでもいいけれど、身の丈に合わないクルマを買ってしまうと、結局あまり乗らず、ぶつけたり事故を起こしてしまったりとつらい目に合う確立が高くなる。
新車にするか中古車にするかで迷うケースも多いだろう。実際筆者も初めは中古車のカムリはないかと探してみた。しかしアメリカでは10万キロ以上走った中古車がほとんどで値段も新車の3分の2くらいでお高い。それなら十分なサービスも期待できる新車にして安心を買ったほうが結果として安い。
またバックや車庫入れを安全にこなすには高い運転スキルが必要で、娘にはバックモニター付き車であることを必須としてクルマ選びを行った。今なら運転サポート機能に優れたモデルが多く揃っているので、そこは優先的に選択考慮すべきだろう。ただアラウンドビューモニターは一般の方が考えているほど役にたたないし、運転サポート機能つきACCも使いこなすにはむしろ高いスキルと状況判断能力が求められる。そんななかで被害軽減ブレーキやブライドスポットモニター、リヤクロストラフィックアラームは有効で安心感が高い。日ごろのクルマのメンテナンスや注意点など、クルマの取り扱い説明書を熟読することも忘れてはならない。
そして最後は保険だ。アメリカでは21歳未満で運転経験1年以下の保険は極めて高額だった。年間50万円近くかかる。それでも娘の安心の為に加入は必須。保険に未加入なら他人には運転させられないし、貸すこともできない。日本の保険はそこまで高額ではないが、クルマをワンランクさげてでも運転初心者には最高レベルの保険に全加入することを推奨しておきたい。
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