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サイズが合えばOK? 装着時の最高速度は? 車のタイヤチェーン「誤解しがち」な5つのポイント

掲載 更新 38
サイズが合えばOK? 装着時の最高速度は? 車のタイヤチェーン「誤解しがち」な5つのポイント

■タイヤがチェーン指定のサイズでも要注意?

 冬にクルマで走る際はタイヤチェーンの携行が推奨されています。

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 しかし、豪雪地帯ではスタッドレスタイヤが主流で、タイヤチェーンは少数派。降雪がほとんどない地域ではタイヤチェーンを装着する機会がほとんどなかったり、あったとしても数年に一度だったりで、タイヤチェーンについての知識がほとんどないドライバーも多いかと思います。

 そこで今回は、タイヤチェーンにまつわる知識で「誤解がありそうなポイント」を5つ紹介します。

1:タイヤチェーンはサイズが合っていれば装着できる?

 タイヤチェーンは、基本的にはタイヤのサイズに合ったものを選びましょう。

 自分のクルマがモデルチェンジして乗り換えた場合でも、タイヤサイズは変わっていたためチェーンが使い回しできないといったことがあります。クルマを変えた際は、タイヤのサイズを必ず確かめる必要があります。

 しかし、タイヤがチェーン指定のサイズでも、クルマに装着できない場合があります。

 例えば非金属チェーンなどは、タイヤにしっかりフィットさせて装着するため、タイヤサイズは同じでも、チェーンは夏タイヤと冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)で別品番が適合する場合があります。

 そのため、購入を検討する際は、装着対象が夏タイヤか冬タイヤかを考えてからタイヤサイズを調べる必要があります。

 なお、特殊な形状をした一部銘柄は、一般的なタイヤサイズとは別の品番が適合する場合もあります。

 さらに一部のオフロード用タイヤは、装着したチェーンがタイヤの溝に食い込んでしまい効果が発揮できないこともあるため注意が必要です。

 特に溝が深いタイヤの場合は、車種ごとの適合をチェーンメーカーのウェブサイトで事前にチェックすることをおすすめします。

2:タイヤチェーンは装着できるが、実は危険な場合も?

 前述のとおりタイヤチェーンは、サイズが合っていてタイヤに装着できれば大丈夫かというと、そういうわけでもありません。

 タイヤチェーンはタイヤに巻いて使うため、タイヤとサスペンションのクリアランス(空間)が充分にないと走行時にチェーンがサスペンションに接触して切れたり、クルマが破損したりする恐れがあります。

 必要とするクリアランスは2cmから3cm程度が一般的ですが、チェーンによって異なるため、購入する製品の必要クリアランスを知っておくと良いでしょう。

 ちなみにサスペンションとのクリアランスがあった場合でも、ハンドルを左右にいっぱいに切った際にチェーンがボディに接触したりすると、破断や車体破損につながる恐れがあります。

 そのため、試し履きの際はハンドルを左右に切ってボディなどに干渉しないことを確認しましょう。なお、このようなことは特殊なクルマに限った話ではなく一般的な国産乗用車でもあり得るため注意が必要です。

 大手タイヤチェーンメーカーは、車名やグレード、年式、型式ごとのチェーンの適合を公表しています。これを参考にすれば、自分のクルマに合ったチェーンを安心して選べます。

 ただし、サスペンションやタイヤ、ホイールのサイズを標準から変えた場合は、クリアランスを自分で測定する必要があります。

 ちなみに筆者(yokohama)が調べた範囲では、21インチなどの大径ホイールタイヤなどに適合する乗用車用タイヤチェーンはなく、また一部のクルマには純正チェーンの設定がないなど、チェーン自体が装着できないクルマも少なからずあります。

 そのような場合は冬用タイヤを装着するしかないため、降雪時期の前に冬タイヤに履き替えておく必要があります。

3:タイヤチェーンは駆動輪に装着すればOK?

 一般的にFF(前輪駆動)のクルマは前輪に、FR・RR(後輪駆動)のクルマは後輪にタイヤチェーンを装着します。4WD(全輪駆動)の場合はFFベースかFR・RRベースかでどのタイヤにチェーンを巻くかを決めるといわれています。

 いずれの場合も、クルマの取扱説明書にチェーンを装着するべきタイヤについての記載があるため、これに従いましょう。

 ただしトヨタ「ハイエース」など一部のワンボックス車の場合は注意が必要です。

 ハイエースの場合、チェーンを冬タイヤに装着する場合は後輪で良いですが、夏タイヤの場合は4輪に装着することが、タイヤチェーンメーカーによっては推奨されています。

 ハイエースは重心が高く、積み荷の有無によってタイヤへの荷重も変わるため、後輪と前輪の両方にチェーンを巻かないと走行が不安定になることがあるとのことです。

 4輪にタイヤチェーンを装着するのは手間もコストもかかりますが、事故が起きては元も子もないため、推奨されている使い方をおすすめします。

■チェーン装着時の高速道路でのスピードは? 関越トンネルではどうする?

4:チェーンを装着したら、高速道路は普通の速度で走って良い?

 一般的に降雪時は通常時より制限速度が低く設定されていますが、タイヤチェーンそれぞれにも最高速度がメーカーにより設定されています。

 そのためチェーン装着時は、高速道路でも速度制限にかかわらず、そのタイヤチェーン指定の最高速度内で走行する必要があります。

 タイヤチェーンの指定の最高速度を超えてスピードを出すと、遠心力でチェーンがタイヤから離れる方向へ膨らみ、ボディに当たって切れたり、ボディや足回りのパーツが破損したりする恐れがあります。

 そして最悪の場合、交通事故を起こす原因にもなるため、タイヤチェーン指定の最高速度は厳守する必要があります。

 昔からあるベーシックな取り付け方法の金属チェーンは、最高速度が30km/hに設定されているものが多く、その場合には、比較的ハイスピードで走るスタッドレス装着車と並走する高速道路はあまりおすすめできません。

 タイヤにフィットするタイプの金属チェーン、非金属チェーン(エラストマーやゴム、ネットタイプ)の最高速度は50km/hに設定されているため、高速道路での使用に適しています。

 しかしそうはいっても、夏タイヤの感覚で高速道路を走るとあっという間に50km/hを超えてしまったり、下り坂などで気が付かないうちに速度制限を超えてしまったりすることがあります。

 そのため、クルマにクルーズコントロールが付いている場合は、タイヤチェーン指定の範囲内でスピードを設定することもおすすめです。

5:雪が積もっていない関越トンネルは、チェーンを外す?

 タイヤチェーンは、積雪路を走るために作られています。そのため、ほとんどのタイヤチェーンの説明書には、乾燥路ではチェーンの寿命が短くなるため取り外すよう書かれています。

 エラストマーやゴム製の非金属チェーンなどは、乾燥路をある程度走っても大丈夫なように設計されていますが、特にベーシックな金属チェーンだと路面との摩擦で摩耗し寿命を縮めてしまうため、雪や氷がなくなったらチェーンをすぐ取り外す必要があります。

 このように積雪時に金属チェーンで走行している際に悩みどころとなるのが、関越自動車道の関越トンネルです。

 関東と新潟を結ぶ関越道は、群馬県と新潟県の県境に長い関越トンネルがあります。長さは約11kmで、道路トンネルとしては日本で2番目に長いトンネルです(1位は首都高の山手トンネルで全長約18.2km)。

 雪の季節は、新潟県側でチェーン規制がおこなわれており、トンネルを出た所でチェーンを装着する場合が多くあります。群馬県側も積雪があるときは、関越トンネルの前からチェーンを装着するときもあります。

 しかし途中にある関越トンネルの中は当然積雪がなく、乾燥路が続きます。このトンネル内では金属チェーンでの走行は禁止です。

 そのため、群馬と新潟の両県でチェーン規制があるときは、関越トンネルの前後で脱着を繰り返すことになりますが、寒い中での作業はなかなか辛いものです。

 このような場合におすすめなのが、JASAA(日本自動車交通安全用品協会)認定品の非金属タイヤチェーンです。JASAA認定品は、チェーンを装着したまま関越トンネルを走行できるため、寒い中での脱着の苦労や時間を省くことができます。

 ちなみにJASSA認定品は、警察庁交通局やJAF(日本自動車連盟)などで構成される「タイヤ滑り止め装置認定委員会」の委員立ち会いのもと各種の実車走行試験をおこない、性能が確認された製品です。各種試験規格をクリアした高性能なタイヤチェーンの目安になります。

※ ※ ※

 東京都内に住むあるドライバーが年末、金属チェーンを購入して大阪へ帰省することになりました。岐阜県の関ケ原付近で豪雪に遭遇してチェーンを装着しましたが、大阪に着いたときには摩耗で破断。そのため大阪でチェーンを買い直して東京に戻ったという話を聞いたことがあります。

 タイヤチェーンが切れてしまう要因はさまざまですが、使うシーンやクルマに合わせてタイヤチェーンをしっかり吟味して選びたいものです。どれが良いのか分からない場合は、カー用品専門店などでスタッフにアドバイスを仰ぐと良いでしょう。

 タイヤチェーンには寿命があります。一度使ったチェーンは、傷や破損がないかチェックして、安全なスノードライブを楽しんでください。

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みんなのコメント

38件
  • ハイエースは後輪だ!
    記事を書くなら取扱説明書位読んで。ネットで5分もあれば確認できるだろう。
  • 積雪時にクルコンなんか怖くて使えない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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