3年間通算8勝を挙げたヒル選手はチームを離脱
アメリカで大人気のストックカーレース「NASCAR(ナスカー)」の3大シリーズのひとつである「CAMPING WORLD TRUCK SERIES(トラックシリーズ)」。今季第22戦をアリゾナ州にあるフェニックス・レースウェイで開催し、今シーズンの全レースを終えることとなった。
白熱のデッドヒート! HREは大クラッシュでリタイア【2021NASCARトラックシリーズ第20戦】
このトラックシリーズへ、長年参戦している「Hattori Racing Enterprises(HRE)」は、ナスカー界で唯一となる日本人オーナー・チーム。このHREは過去にはシリーズタイトル獲得経験もあり、オーナーの服部茂章代表は、長年ナスカーやインディカーなどアメリカンモータースポーツに参戦を続けたあとに、チームを立ち上げている。
このHREから参戦しているドライバーのオースティン・ヒル選手は、トラックシリーズ参戦を今年限りで終了。さらに今シーズンをもってHREチームから離脱することも発表されており、3シーズン続いたHREとヒル選手のレギュラーとしての組み合わせは、この最終戦が最後となる。
第2ステージ開始前にトラブルが発覚
トラックシリーズ最終戦となる第22戦となる「Lucas Oil 150」は、フェニックスの1周1マイル(約1.6km)のトライ・オーバルコースを150周で争うこととなる。昨年から決勝レースのみを行うレースフォーマットを多く採用しているこのシリーズだったが、この最終戦では、きっちり練習走行セッションと予選セッションを設けられ、これらを1日で終わらせるワンデー開催となった。
朝8時からスタートした練習走行では、セッティングを試していたこともあって26秒96(13番手)のタイムでセッションを終了。午後2時すぎに行われた予選セッションでは、路面コンディションが変わってしまったこともあって27秒00とタイムは伸び悩んだものの、大きくタイムを落とすマシンも多く、11番グリッドに「# 16 United Rentals TOYOTA TUNDRA」をつけることとなった。
決勝レースはこの11月5日の夕方5時にスタートした。それぞれチェッカーが第1ステージ45周、第2ステージ45周、そして最終ステージが60周という3ステージ制のレースとなる。スタート直後に接触クラッシュが起きる波乱の序盤だったが、ヒル選手は一進一退の攻防を続け、12番手で第1ステージのチェッカーを受ける。このステージブレイクで給油とタイヤ交換してピットアウトさせるものの、直後にヒル選手からスロットルに異常があるとの無線が入り再度緊急ピットインしたため、同一周回最後尾の26番手から第2ステージのスタートを迎えることとなる。
最終戦最終ステージは各車攻めた走りを見せる
54周目に第2ステージがスタートすると、ヒル選手は、スタートとともにポジションを上げていき、13番手で第2ステージのチェッカーを受ける。このステージブレイクでは、給油と4本のタイヤ交換をチームクルーが素早い作業で行って、3グリッドのポジションアップに成功。16号車は10番手から最終ステージを迎えることとなった。
100周目に最終ステージのグリーンフラッグが振られると、すぐに後続のクラッシュによりイエローコーションとなり、仕切り直しのリスタートが106周目に切られる。シリーズチャンピオン争いも掛かっている最終戦だけに緊張感のあるサイドバイサイドの展開が繰り広げられるレースだったが、この終盤は各車が多様なライン取りを駆使して追い抜きを仕掛け、順位を入れ替えながらの攻防が繰り返されていく。ヒル選手は何とか優勝争いに絡もうと最後まで果敢に攻め続けるも、残念ながら一歩及ばず、150周目に10位でチェッカーを受けた。
シーズン15回目となるトップ10でチェッカーを受けたHREチームとヒル選手は、2勝を含む8回のトップ5フィニッシュを記録し、チームランキング7位で2021シーズンを終えることとなった。HREは来シーズン、新たなドライバーを起用しチーム体制を一新し、来季投入される新型タンドラで2018年以来のシリーズチャンピオン獲得に向けて挑むこととなる。
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