荷台にバイクを積んで楽しむ唯一無二のスローな4WDライフ! 1983年式スズキ「ジムニー1000ピックアップ」の魅力に迫る
カタログモデルとして販売されていた希少な1983年式スズキ「ジムニー1000ピックアップ(SJ40T型)」のオーナーを取材。部品取り車からの復活エピソードや、荷台にスズキ「バンバン90」を積載して楽しむカーライフを解説。「最後の一台」として代えのきかない専用の荷台を守り抜く覚悟や愛車の魅力をお伝えする。
総額350万超! スズキ ジムニーを徹底レストアして再び美しい輝きを放つ
部品取り車から奇跡の復活! 希少な1983年式スズキ ジムニー・トラックのカーライフ
スズキ「ジムニー」と聞けば、多くの人が思い浮かべるのはコンパクトなクロスカントリー4WDだろう。しかし、かつてスズキには、ジムニーをベースにしたピックアップモデルが存在した。それが今回紹介する1983年式スズキ「ジムニー1000ピックアップ(SJ40T型)」である。当時の販売台数は321台と言われている。
一見すると後ろ半分がカスタムされた車両にも見えるが、実は当時カタログモデルとして販売されていた正真正銘の純正モデルだ。オーナーの“yamato_7111“さんは、この希少な1台を手に入れてから約4年、古いクルマならではの苦労と向き合いながら、現代のライフスタイルに合わせた楽しみ方を続けている。
部品取り車として眠っていたSJ40Tと運命の出会いを果たす
もともとスズキ ジムニー(JA11型)に乗っていたという“yamato_7111“さん。ジムニー1000ピックアップは若い頃から探していたそうだ。
「以前からお世話になっていた静岡県浜松市のショップに、このジムニーのトラック(1000ピックアップ)が置いてあったんです。最初は部品取り車という扱いでした」
その車両は、ショップオーナーが同じジムニー1000ピックアップに乗っていたことから、予備部品用として保管されていたものだった。しかし、乗っていたJA11の調子が悪くなったタイミングで相談したところ、譲ってもらえることになったという。
「部品取り車とはいっても、エンジンやミッションがない状態ではなく、少し整備すれば走れる状態でした。それなら乗れるんじゃないかと思ったんです」
こうして、新たな相棒としてSJ40Tとの生活が始まった。
荷台にバイクを積んでジムニー1000ピックアップならではの遊び方を楽しむ
SJ40Tに乗り換えてから、カーライフのスタイルも変化した。
以前はJA11でオフロードコースへ走りに行くこともあったが、現在はキャンプやツーリングが中心。その象徴ともいえるのが、荷台に積載されたスズキ「バンバン90(RV90型)」だ。
「バンバン90は、オフロードも走れる当時のレジャーバイクですね」
ジムニー1000ピックアップにバイクを積み込み、キャンプ場へ向かう。現地でバイクを降ろし、周辺をゆっくり走る。そんな楽しみ方が、このクルマにはよく似合う。
「エアコンもあまり効きませんし、長距離移動は正直厳しいです。でも、そういうスローな楽しみ方がこのクルマには合っています」
速さや快適性を追求するのではなく、時間をかけて楽しむ。それこそがSJ40Tとの付き合い方なのだ。
古いクルマだからこそ必要になる徹底したメンテナンス
手に入れてから約4年。希少車だけに、維持には苦労もある。
「一番大変だったのはエンジンのオイル漏れですね。オイルシールやガスケット類は一通り交換しました」
さらにパワーステアリングのオイル漏れも修理。古いクルマだからこそ、壊れた部分をひとつずつ直しながら乗り続ける必要がある。
一方で、カスタムの方向性は明確だ。
「基本は現状維持です。この雰囲気を壊したくありません」
変更したのはタイヤとホイール程度。装着しているホイールは、広島のジムニー専門店「シーエルリンク(CLリンク)」の製品で、昔ながらのスチール製。現代のジムニーにも対応するサイズながら、あえて1983年式のピックアップに合わせることで、クラシカルな雰囲気と機能性を両立している。ちなみに足まわりは市販品をベースにリーフスプリングを足して、3インチの車高アップとしている
「玉ねぎ農家のために作られた」という浜松の伝説を紐解く
SJ40Tの魅力は、その独特なスタイルだけではない。スズキの本拠地である浜松には、「ジムニー1000ピックアップは玉ねぎ農家のために生まれた」という有名な話が残っている。砂地の多い浜松の玉ねぎ畑では、荷物を積んで走れる4WD車が求められ、ジムニーをベースとしたトラックモデルが活躍したというものだ。
「本当かどうかは分かりませんが、そういう歴史や背景も含めて魅力を感じました」
実際の開発背景とは別としても、地域に根付いた物語を持つことも、旧車ならではの楽しみ方と言える。
エイジングしたボディもこのクルマの個性として受け入れる
外装のサビやヤレ感についても、あえて残している。
「購入した当初はもう少し綺麗でしたが、4年乗っているうちにいい味が出てきました」
新品同様に復元するのではなく、時間が刻んだ表情を楽しむ。それもまた旧車との付き合い方のひとつだ。
室内では、前のオーナーがJA11から換装したシートをそのまま使い、自分のJA11からはステアリング、シフトノブを装着。ステアリングは当時設定されていたスズキ純正オプション品で、シフトノブは輸出仕様スズキ「サムライ(Samurai)」用を採用している。インパネ周りの塗装は前オーナーによるものと思われ、長い年月を過ごしてきた車両ならではの個性を感じさせる。
最大の悩みは二度と手に入らないリア周りの部品
SJ40Tを維持する上で、現在もっとも気を使っている部分がリア周りだ。フロントのエンジンや足回りは、他のジムニーから流用できる部品もある。しかし、トラック専用となる荷台やテールランプ周辺の板金部品は、新品はもちろん中古部品もほとんど存在しない。
「もし後ろから追突されたり、バックでぶつけて荷台を潰したら、もう直せないと思います」
だからこそ、日々の運転にも細心の注意を払う。
「絶対に後ろだけは当てない、当てられないように気を付けています」
バックカメラもない時代のクルマだけに、後退時は何度も確認する。信号待ちでも後続車との距離を意識する。希少なボディを守り抜くこと。それこそがオーナーに課せられた使命なのである。
1983年生まれ同士の縁で選んだオープンカントリー
このSJ40Tは1983年式。そして、現在装着しているトーヨータイヤ「オープンカントリー」ブランドが誕生したのも同じ1983年である。(装着タイヤは785)
「クルマもタイヤも同じ年に生まれて、今こうして一緒に走っている。それに縁を感じました」
40年以上前に生まれたクルマを、現代の道路で走らせる。見た目には年月を感じさせながらも、必要な整備を施し、まだまだ現役として活躍するSJ40T。古いから価値があるのではない。大切に乗り続ける人がいるからこそ、その価値はさらに高まっていく。
なお、このSJ40Tは2026年7月18日、愛知県で開催されたTOYO TIRES主催のユーザーイベント「俺の#オプカン ~さなげ場所~」で撮影したもの。会場でもひときわ注目を集めていた!
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みんなのコメント
ノマドが売れなくなったら、次はこれを再販すればいいでしょうね。
全く、スズキさんはいいモノを持ってますね〜。