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ゼロポッドを捨て去ったメルセデス……目立つアップデートの裏に隠されたモノとは?

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ゼロポッドを捨て去ったメルセデス……目立つアップデートの裏に隠されたモノとは?

 メルセデスは、先日行なわれたF1モナコGPで、マシンに大幅なアップデートを施した。特に注目されたのはそのサイドポンツーン。これまでのゼロポッドを捨て、他チームのように大型化かつダウンウォッシュを目指した形状となった。また、フロントサスペンションにも変更が加えられ、そのレイアウトが以前とは大きく変わった。

 しかし目立つようなアップデートだけではなく、目立たない細かなアップデートも多数投入されている。実はこれらが、今後に向けて非常に重要なのかもしれない。

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 フロントサスペンションは、アッパーウイッシュボーンの前方のアームの、シャシー側の取り付け位置が高くなった。以前はモノコックのフロントバルクヘットの上端から10cmほど低い位置にこのアームが取り付けられていたが、アップデートが施されたことにより、モノコックの上端ギリギリの部分に取り付けられることになった。これにより、アンチダイブとも言われるマシンの姿勢制御に大きな影響を及ぼしていることだろう。

 しかしそのアームは、姿勢制御のためだけにアップデートされたわけではないようだ。取り付け位置が変更されたことで、他のアームやパーツと角度が一致することになった。その結果、マシンの後方に向けて流れる気流を整えるという働きもありそうだ。これを最大限に活用するため、サスペンションを覆うフェアリングの形状も変更されている。

サイドポンツーン激変。インテーク部分にも注目!

 フロントサスペンションの後方に続く”シャシーブリスター”と呼ばれる膨らみも変更されているようだ。このシャシーブリスターは昨年から使われてきたもの。アッパーウイッシュボーンの前方アームの位置から、気流を下に導くように設けられていた。今回アームの位置が変わったことで、このシャシーブリスターが下に向かう角度に変更が加えられている。これはサスペンション位置の変更だけでなく、サイドポンツーンやフロアなど、マシンのより後方のボディワークの変更とも関連しているだろう。

 この変更に関連して、フロアの先端部に上に向いて取り付けられた羽(青い矢印)が加えられた。メルセデスはシャシー横に、気流を下向きに導く小型のフィンを取り付けているが、この新しい羽根は前方のシャシーブリスター、そして小型のフィンと関係し合っているのは間違いない。

 なお見た目で一番変わったのは、サイドポンツーンだ。これについては様々な機会で語られているが、一方で変わっていないモノは何かということについても注目する必要がある。そのひとつが、側面衝撃吸収構造を覆うように設けられた、飛行機の羽のようなフェアリングである。

 F1マシンは、側方からの衝撃を吸収するため、コクピットの左右に、上下1本ずつ衝撃吸収構造を取り付けることが義務付けられている。本来ならばこの衝撃吸収構造はサイドポンツーンの内部に設けられるが、メルセデスはゼロポッドを採用したことで、衝撃吸収構造を単独で存在させ、その周りをウイング状のフェアリングで覆った。

 このフェアリングは、アップデートが施された後もW14にそのまま残っている。もしこれを作り替えることとなれば、モノコックを再設計する必要もあっただろう。しかし現在のF1は、年間予算の上限額が設定されているため、モノコックの再設計はほぼ不可能と言える。そのため、メルセデスは衝撃吸収構造とそのフェアリングをそのまま残し、アップデート版のパッケージに取り込んだ。

 このフェアリングの下には、以前から縦方向のフィンが吊り下げられていた。このフィンはアップデート後も残されることになったが、その高さは短くなっており、先端は三又に分けられるようになった。イラストの丸の中が旧仕様である。

 さてこのフェアリングの下に、横幅が広げられたサイドポンツーンのインテークが開けられている。ゼロポッドの際には縦に長いインテークだったが、横に広げられ、インテークの下にはアンダーカットが設けられている。

 ただこのインテークは、多くのチームが採用しているレイアウトとは逆のデザインになっていると言える。

 メルセデスはフェアリングの方が前方に存在し、その下にインテークが開いている。しかし多くのチームは、インテークの下の方が前に伸び、受け口のような形になっている。これは、フロントタイヤで生み出される乱流が、インテークに入る気流に影響しないようにした考え方である。

 メルセデスは他チームとは考え方を別にしているが、インテーク下のアンダーカットにより、ボディワーク周辺の気流を改善することに成功したようだ。

 サイドポンツーンは、横幅が広げられたことで、上面が後方に向けて後傾するダウンウォッシュを形成している。これはメルセデスのオリジナルというわけでなく、他のチームでも見られたもの。アルピーヌやアストンマーチンなどがその先輩格に当たる。

 そしてメルセデスのサイドポンツーン上面には、必要な冷却レベルに応じて開口部を変更できるパネルが存在している。

フロアエッジに4連トンネル

 なおゼロポッドを捨て去り、サイドポンツーン全体の幅を広げたことで、フロアを支える金属製のステーを新設されている。これにより、フロアの変形を抑制している。ポーパシングやバウンシングの再発を抑える働きもあるだろう。

 そのフロアも変更が加えられている。この新しいフロアは、新しいサイドポンツーンに調和するように作られただけではなく、フロアフェンスの角度やエッジウイングのデザインにも変更が加えられた。

 そのうちエッジウイングは、以前は前後に長い単一のトンネルが設けられていたが、新しいエッジウイングは、4つのトンネル状の空間が設けられた。

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みんなのコメント

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  • ゼロポッドが一目瞭然なので注目が集まるけど、そもそものコンセプトは、サイドポッド上面と下面で気流を上手く制御しようとするのではなく、前方投影的に富士山形の形状のマシン上面カウル全体を綺麗に流れることで、余分なドラッグを減らし、フロア下で殆どのダウンフォースを稼ぐと言うコンセプトが、ポーパシングの影響で出来なくなり、更にはカウルに沿って綺麗に流れるはずの気流も、外に逃げて仕舞っていたので、完全にミスだったのでしょうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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