現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > マクラーレンは屋根ナシがデフォルト?──スーパーシリーズの最高峰「マクラーレン720S スパイダー」を試乗

ここから本文です

マクラーレンは屋根ナシがデフォルト?──スーパーシリーズの最高峰「マクラーレン720S スパイダー」を試乗

掲載 更新
マクラーレンは屋根ナシがデフォルト?──スーパーシリーズの最高峰「マクラーレン720S スパイダー」を試乗

「マクラーレンはルーフなしでもボディ剛性が全く変わりません」と、プロダクトマネージメントのトップ、イアン・ディグマン氏。

量産マクラーレンの最速モデルたる720Sのオープンバージョン、720Sスパイダーに北米アリゾナで乗ってきた。車名通り720psのV8ツインターボをリアミッドに搭載する2人乗りピュアスポーツで、現在1億円とも言われるセナを除き、マクラーレンで最も魅力的で最も速いシリーズと言える。

伝説のレーシングチームがスーパーGTに参戦──チームゴウが再びマクラーレンとタッグを組む

そしてマクラーレンが面白いところは、クルマの味わいを素材で限定するところ。あたかも「これは大間の本マグロの一番いいところ」と大将が言い切る一流の寿司屋のように、だ。

まず720Sが量産マクラーレンで一番速くて旨い理由は独自のボディストラクチャーにある。ご存じ現在マクラーレンは、前述セナなどがいる数量限定のアルティメットシリーズ、720S、650Sなどがいるスーパーシリーズ、600LT、570Sなどがいるスポーツシリーズの“松竹梅”に枝分かれしている。

シリーズ分けの最大の根拠はボディ骨格にあり、松のアルティメットシリーズがカーボンモノケージIII、竹のスーパーシリーズがカーボンモノケージII、梅のスポーツシリーズがカーボンモノセルIIと、すべてF1由来のカーボン素材で作られているのはもちろんだけれど、構造が微妙に違う。

こだわりまくりの新電動オープンルーフシステム
ロールオーバーシステム軽量化で開閉11秒


そして720Sスパイダーが使っているのはカーボンモノケージII-S。一見、ルーフ構造がクーペと違うので剛性が落ちてそうだがディグマン氏は「バスタブ構造で稼いでいるので全く同じ」と言い切る。

厳密にはクーペ比で乾燥重量が49kg増えているものの、スーパーシリーズの旧オープンモデル、650Sに比べて38kgの軽量化がなされている。と同時に、転倒を考えフロントピラーが強化されているし、リアに全く新しいROPS(ロール・オーバー・プロテクション・システム)を備えている。これが以前鉄製だったのに対してむき出しのカーボン素材。単品で6.8kgの軽量化を果たしており、650Sスパイダーに比べてボディと一体化して構造強化に繋がっている上、重心は低くなるわ、コンパクトデザインで後方視界は広がってるわ、と実にマジメなブラッシュアップ。このあたりの細かいこだわりこそが720Sの白眉だ。

そのほか屋根が開く分、乗り降りはラクになったし、新しいドアヒンジ構造と軽量フレームレスドアにより、ドアの上げ易さや上げた時の角度が変わり、空けた時のドア横幅も82mm狭く、便利になった。同時に新しい電動リトラクタブル・ハード・トップは開閉11秒とこれまた快速。

ついでにオプションのルーフのエレクトロクロマティック機能によりスイッチ一つで、屋根が半透明から濃いサングラス状態に変えることができ、疑似オープン状態も楽しめるという具合。とても硬派なスポーツカーメーカーとは思えないサービス精神なのである。

いよいよ肝心の走りだが、正直小沢がアリゾナ公道をぶっ飛ばした限りでは、ボディ剛性、ステアリングフィールの低下は全くナシ! どころかオープン化で逆にキモチよくなってるんじゃないの? というレベル。

事実、サスペンションはスプリング、アンチロールバーともにクーペと全く変わってないし、せいぜいダンパー制御を少しイジった程度。

パワートレインも同様で、エンジンは650S比でパーツを41%新作した4リッターツインターボで、720psの最高出力、770Nmの最大トルクもギアボックスの7速SSG(シームレス・シフトデュアルクラッチ・ギアボックス)もクーペと同じ。

さらにいうと2.9秒の0→100km/h加速も、ルーフクローズ時の341km/hという最高速も同じで、違うのは0.1秒落ちた0→200km/h加速と、1秒落ちた0→300km/h加速ぐらい。要するに時速200kmオーバーの加速がちと違うか? という日本の公道では全く関係ないレベル。

そのほか競合のフェラーリ488ピスタ・スパイダー、ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ・スパイダーなどと比べてもパワーウェイトレシオは一番上とか。

というか面白いのは720Sスパイダーに長らく乗っていると「オープンがクーペに比べて走り味で負ける」ってのが迷信にも思えてくること。空力なんかは逆にオープン時のリアのダウンフォースがクーペより増えているって話だし、エンジン冷却的にも有利で、フロントスクリーンも短く、開放感は650Sスパイダーより上。

そもそもマクラーレンは屋根開きのF1マシンを延々と作ってきたF1コンストラクターであり、そもそも“屋根なし当たり前”。ある意味その公道バージョンなんだから、マクラーレン・ロードカーも、オープンがデフォルトという気もしてきちゃうのだ。

価格は3788万8000円と確かになかなか。でも買える人は、クーペとの価格差も気にならないんではないだろうか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村