後輪駆動のシャシーに3.0L直6ターボ
クルマは見た目だけで判断してはいけない。2011年に発表された2代目1シリーズは、スタイリングで選ばれるBMWではなかったかもしれない。だが、一風変わったフロントマスクの裏側には、過去に例がないようなホットハッチの素地が隠れていた。
【画像】M仕立てのFRホットハッチ BMW M135i 1シリーズMクーペと現行の1・2シリーズも 全107枚
そんなF20型の1シリーズに、M135iが追加されたのは2012年。2015年にフェイスリフトを受け、2016年まで生産が続けられた。同年にはアップデートされたM140iが登場。2019年にFFとなった3代目へバトンを繋いでいる。
現在の英国の中古車市場には豊富な数のM135iが流通しており、9000ポンド(約148万円)程度から選べる。日本市場でも、意外とタマ数は少なくない。
このお値段で、M社が仕上げたパワフルな3.0L直列6気筒ターボエンジンが手に入る。最高出力320psを発揮し、みなぎるトルクと聞き惚れるサウンドを謳歌できる。しかもシャシーは、運転しがいのある後輪駆動だ。
トランスミッションは8速オートマティックのほか、英国では6速マニュアルも選択できた。またボディは5ドアのほか、よりスタイリッシュな3ドアも設定されていた。
動力性能に不足はなく、0-100km/h加速は4.6秒。48km/hから112km/hの中間加速も、6速MTなら3速にシフトダウンさせれば4.1秒でこなせる。6速に入れたままでも、8.1秒という粘り強さを備えていた。
可変パワステにアダプティブMダンパーも
滑らかなストレート6は、低回転域から不足ないパワーを発揮し、意欲的に回転数を高めていく。新車当時には8速ATの人気は低調だったが、現在では受け止められ方が異なるだろう。クイックに反応し、キビキビ変速してくれるユニットだ。
M135iには、ドライブ・パフォーマンス・コントロールと呼ばれるドライブモードが搭載され、エコ・プロからスポーツ+まで幅広い特性が選べる。また、アダプティブMダンパーも装備し、モードに応じて姿勢制御を引き締めることも可能としていた。
パワーステアリングは可変レシオで、スポーツ・モード以上では操舵時の重み付けがプラス。スタビリティ・コントロールの介入も控えめになり、思う存分振り回すことを許してくれる。
多くのユーザーの場合、最終的には街乗りでコンフォート・モードに落ち着くようだ。舗装のきれいな峠道に足を進めたのなら、スポーツ・モードの出番となる。
M135iには、賛否あるランフラットタイヤが装備されていなかった。ややノイジーなミシュラン・パイロットスーパースポーツを履き、乗り心地を担保しつつ、確かなグリップ力でパワーを受け止めた。
ステアリングフィールも滑らか。正確性が高く反応は素早く、切り込んでいくほどレシオが変化し鋭さも増していく。直進性の良さと、回頭性の良さを両立させていた。
お手頃価格で購入できるFRホットハッチ
M135iの車重は1545kgと、後輪駆動の小さなハッチバックとしては重めだが、前後の重量配分は52:48と良好。優れたシャシーバランスで、重さを感じさせない身のこなしを披露してくれる。限界領域での扱いにくさもない。
一般道の速度域でも、クルマを運転する楽しさへ充分浸れる。腕利きのドライバーを満たす余裕もある。ちなみに、標準では異なるリアのタイヤ幅をフロント側へ合わせ、テールスライドしやすい特性を楽しむドライバーも英国にはいるようだ。
BMWらしくインテリアは上品で、充分な大きさのセンターモニターも装備されていた。M社が仕上げた素晴らしいFRホットハッチをお手頃価格で購入するなら、今がチャンスといえそうだ。
新車時代のAUTOCARの評価は
スタイリングは、BMWのMモデルには見えない。写真では確かにそうだ。しかし、実用性に優れた1シリーズの魅力を維持しながら、より強い輝きを放つ能力が与えられている。それが、見事に機能している。
驚くようなパワーを獲得し、驚異的な動的能力を実現している。それでいて、高すぎない価格設定には訴求力がある。素晴らしいドライバーズカーといえるだろう。(2012年4月18日)
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
事故時の修復が完璧でないと、錆びる可能性がある。ボディパネルのズレがないか、フロントフェンダー・パネルを固定するボルトや、ウインドウ周辺のラバーが不自然に新しくないか確かめる。
エンジンルームや荷室フロアのパネルが、波打っていないか観察する。ヘッドライトの年式がモデルの年式と一致するかも確かめたい。
エンジン
メーターパネル内のオンボード・コンピューター診断を確かめる。ウォーターポンプやサーモスタットは不具合を起こしがち。点火コイルも同様。
高速道路などで高回転域まで回す機会が少なく、走行距離が長いクルマの場合は、エンジン内部にスラッジなどが蓄積しがち。点火系にも負荷が掛かる。
トランスミッション
6速MTは冷間時にシフトフィールが悪くなる。フルードが温まるにつれて改善するはず。8速ATは密閉構造ながら、10万km程度でフルードとフィルターを交換しておくと安心。
サスペンションとブレーキ、ホイール
前後のベアリングが破損する場合がある。フロントサスペンションのボールジョイントは摩耗しやすい。
攻め立てた運転を繰り返すと、スタビリティ・コントロールが介入してリアブレーキを摩耗させる。過度に減っていないか確認する。
試乗時は、ステアリングホイールへ異常な振動が伝わってこないかも確かめたい。ホイールが変形していることも。タイヤの残り溝やブランド名もチェックポイント。
インテリア
オプションがふんだんに選ばれているクルマは特に、すべて機能するか調べる。ヘッドアップ・ディスプレイやiドライブは故障しがちだが、修理は安くできない。
専門家の意見を聞いてみる
ケビン・バード氏:バード社代表
「AUTOCARの長期テスト車になっていたM135iを、2018年から所有しています。走りは素晴らしく、足取りも完璧です。この価格帯で、これほど快適で速いモデルはM135i以外に見つからないでしょう」
「後期に登場したM140iの方が全体的にはベターですが、標準のM135iでも間違いなく楽しめます。燃料インジェクターが不調になることがあり、メーターパネルの警告灯は事前に確認したいポイントです」
「iドライブのコントローラーなど、すべての電気系統が正常に動くかも確かめたいですね。モノによっては、大きな出費に繋がる場合があります」
知っておくべきこと
M135iは、ドイツ・ミュンヘンのM社の工場ではなく、他の1シリーズと同じライプツィヒ工場で生産されていた。ただしE39型M5以降、基本的にMモデルは各標準モデルと同じ工場で生み出されている。
M135iのMスポーツ・サスペンションの構成は、125i Mスポーツのもとの大きな違いはない。フロントはアルミニウムが中心のマクファーソンストラット式で、リアはマルチリンク式が採用されている。だが、ダンパーとスプリングは専用品となる。
アダプティブMダンパーは、英国仕様ではオプションだった。可変レシオのパワーステアリングは標準で装備されている。
パワフルなエンジンを受け止めるため、小さなハッチバックながら前後のタイヤサイズが異なり、リアが太い。リミテッドスリップ・デフの設定がなかったという点が、Mを冠するモデルとしては惜しいところだ。
英国ではいくら払うべき?
9000ポンド(約148万円)~1万1999ポンド(約197万円)
英国では2014年式くらいまでのM135iを探せる価格帯。走行距離は長めだが、車両によって幅はある。整備記録なども確かめたい。
1万2000ポンド(約198万円)~1万5999ポンド(約263万円)
英国では走行距離が10万km以下のM135iを購入できる。ホットハッチなだけに、事故歴を含めて状態確認には時間を割きたいところ。
1万6000ポンド(約264万円)以上
状態が非常に良いM135iを英国では探せる。2015年から2016年にかけてのクルマも含まれる。
英国で掘り出し物を発見
BMW M135i(F20型/英国仕様) 登録:2013年 走行距離:10万6200km 価格:1万3500ポンド(約223万円)
整備記録が揃った、大切に乗られてきたと思われる初期のM135i。スポーツシートに18インチのMスポーツ・アルミホイールなどを装備する。エグゾーストはミルテック社製のものが組まれている。売り手は素晴らしい状態だというが、恐らく偽りはないだろう。
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