シュワルツェネッガー父子のスーツ姿に見る、テーラードスタイルの世代間ギャップ

アーノルドとパトリック、2人のシュワルツェネッガーが体現する、世代で異なるそれぞれのスーツスタイルとは。

アーノルドとパトリック・シュワルツェネッガーは、スーツの着こなしにおける世代の隔たりを物語る完璧な例を提示してくれている。たいていの場合、父親と息子は多くを共有している。同じ習慣、同じスポーツチームへの忠誠心、（ほぼ）同じ音楽の趣味……。しかし、スーツの趣味が同じとは限らない。

シュワルツェネッガー父が主演するNetflixのシリーズ『FUBAR』シーズン2のプレミアでは、そのギャップがはっきりと表れた。

レッドカーペットでシュワルツェネッガー・シニアはベビーブーマー流のアプローチを披露した。クラシックなシングルブレストに2つボタンのカットで、とても着こなしやすいミッドブルーの一着だ。パンツは細身で、ライトブルーのシャツは襟を少し開き、ジャケットの裾はサヴィルロウのルール通り親指の付け根まである。彼の世代のお父さんたちが何千回と披露してきた着こなしだ。いつの世も通用するスタイルなのだから、何の不思議もない。

若い世代はよりファッションを楽しんでいる？

ここで対比となるのが、ミレニアル世代のテクニックだ。若きシュワルツェネッガーは、もう少しファッションを楽しんでいるようである。テクスチャーのある黒のピンストライプジャケットを揃いのネクタイと合わせ、パンツは黒の無地のものを合わせている。

パトリックが着ているアントニオ マラスのスーツが、ミレニアル世代ならではのものであることを示すディテールがいくつかある。まずは手首と同じ長さでカットされたジャケットの着丈、そして、一度は廃れたものの若い世代のあいだで再び人気が高まっているダブルブレストの前身頃だ。加えて、ゆとりのあるパンツ幅と、ややプラットフォームなブローグシューズも見逃せない。

これぞまさにミレニアル世代のスーツスタイルだ。少し楽しく、少しリラックスしているが、突飛なことはしていない。快適かつクールな着こなしである。ただし、このスタイルもZ世代にまでは波及していないようだ。27歳以下は通常、さらにもう少しファッションを楽しんでいる。ブローチなどの装飾品、スパンコール、冒険的なプロポーションといった要素が加わってくるのだ。

しかし、それがテーラリングという伝統の素晴らしいところではないだろうか。雰囲気はまったく違うかもしれないが、ふたりのスタイルはどちらも最高なのだから。一緒にお洒落をして並ぶことは、家族の絆を深めるのに最適なオケージョンだ。

From British GQ

By Mahalia Chang
Translated and Adapted by Yuzuru Todayama