日米関税交渉で浮上
石破首相は、2025年5月21日の党首討論で、日本メーカーが米国で生産した自動車を日本に「逆輸入」する案に言及した。対日貿易赤字の縮小に向けた選択肢のひとつとして「あり得る」との見解を示した。この案は、米国が難色を示す対日自動車関税の撤廃を引き出すための交渉カードでもある。25%の追加関税解除を念頭に置いた動きといえる。
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赤沢亮正・経済再生担当相は、5月24日に行われた日米閣僚級の第3回関税交渉に出席し、翌25日に帰国した。6月中旬に予定される日米首脳会談での合意を見据え、協議を継続する構えだ。5月29日から6月1日までの日程で再訪米する方針を固めている。
日本車の逆輸入案は、一見すると奇策に見える。ただ、日米双方の利害が交錯するなかで、現実的なオプションになり得る。日本側にとっては、関税を回避しつつ米国現地での生産体制を維持できる点が大きい。
米国にとっても、この案は魅力がある。国内生産と雇用の維持・拡大をアピールできるほか、日本への自動車輸出拡大という長年の目標に道筋がつく。トランプ政権にとっても、内政的な成果として強調しやすい内容だ。
本稿では、日本車の逆輸入という異例の通商手段について、その実現性と経済的な意義を多角的に検証する。
メーカー別にみる「輸出可能車」
日本自動車工業会の統計によると、2024年1月から12月までの国内乗用車生産台数は713万9188台だった。このうち輸出は381万9813台で、全体の過半を占める。米国向けは156万5715台にのぼる。
一方で、日本の自動車メーカーによる同年の米国生産台数は約330万台と推計される。日本から米国への輸出台数の2倍以上を、現地で生産していることになる。
メーカー別の米国生産台数は、トヨタ127万台、ホンダ100万台、日産52万台、スバル36万台、マツダ11万台など。各社は北米市場専用車だけでなく、グローバル戦略車も現地で生産している。米国における主な日本車の生産モデルは以下のとおりだ。
・トヨタ:カローラ/カローラクロス、カムリ、RAV4、ハイランダー/グランドハイランダー、タンドラ/セコイア、シエナ、レクサスES/TX
・ホンダ:アコード、シビック、CR-V、パイロット、パスポート、オデッセイ、リッジライン、アキュラTLX/ZDX/RDX/MDX
・日産:アルティマ、ムラーノ、ローグ、パスファインダー、ナバラ、タイタン、リーフ、インフィニティQX60
・スバル:アウトバック、クロストレック、アセント
・マツダ:CX-50
これらの車種には、北米市場の需要特性が色濃く反映されている。ただし、日本国内では未展開のモデルも多く、逆輸入が実現すれば、潜在的な需要を掘り起こす可能性がある。とりわけ、日本市場で一定の認知度があるブランドや車種であれば、受け入れられる素地はある。
日本で売れ筋となりそうなモデル
前述した米国生産モデルのなかから、日本市場で売れ筋になりそうな車種を予測した。米国での希望小売価格をもとに、為替はトランプ政権下で進む円高・ドル安の基調を踏まえ、1ドル=120円で試算。さらに、輸送費や型式認証にかかるコストとして、米国価格に20%を加算し、日本での想定価格を導き出した。
まずトヨタでは、並行輸入ですでに人気を集めているフルサイズピックアップ・タンドラ、セコイアが有力候補だ。想定価格は920万円から。正規輸入されれば、一定の需要が見込める。大型ミニバンのシエナも注目度が高い。8人乗りで、価格帯は580万~840万円。トヨタの主力車種であるアルファードに対抗し得る存在といえる。
ホンダでは、新型となったパスポートがすでに日本で関心を集めている。角ばったデザインに3.5リッターV6エンジンと10速ATを搭載し、価格は660万円からとなる。また、この機会にホンダの高級ブランド・アキュラを本格導入する選択肢もある。米国市場で人気の高いスポーツタイプ多目的車(SUV)RDXなどは、性能と価格のバランスに優れ、最上級グレードでも800万円以下に収まる。
スバルでは、2025年3月末に生産を終了したレガシィ・アウトバックの復活が期待される。米国では年内に新型が登場予定で、想定価格は500万円から。これまでの販売価格とほぼ同水準であれば、根強いファン層から歓迎されるモデルとなるはずだ。
逆輸入構想の実現可能性
通商カードとして日本車の逆輸入構想には一定の整合性があるが、実現には複数の課題が存在する。
まず、日本の保安基準をクリアする必要がある。多少の緩和があっても、衝突安全性や排出ガス規制といった最低限の基準は満たさなければならない。
次に、米国生産モデルを右ハンドル仕様にするには、車両設計の全面的な見直しが必要となる。生産設備の変更にも多額の追加投資がともなうため、ハードルは高い。このため、左ハンドルのまま逆輸入する案が現実的とされるが、一部ユーザーにとっては商品魅力が損なわれる可能性もある。
あわせて、既存の国内ディーラー網によるアフターサービス体制の整備も不可欠となる。修理マニュアルの整備や交換部品の在庫体制も課題となる。
さらに、輸入台数を拡大するには米国工場の生産能力を引き上げる必要がある。日本メーカーにとっては投資負担が重い一方で、トランプ政権にとっては国内への追加投資となり、政治的な成果にもつながる。
逆輸入構想は、日米双方にとって戦略的に有効な通商カードといえる。関税交渉において前向きな議論が交わされる可能性が高い。そのため、日本側には、トランプ政権が非関税障壁とみなす認証制度について柔軟な対応が求められる。
また、トランプ大統領が求める米国車の輸入促進に対しては、同様の特例措置を講じることが前提条件となる。この前提が整えば、想定よりも短期間で日本車の逆輸入が実現する可能性もある。
最終的に、日本車の逆輸入を限定的にでも容認することが、日米の関税交渉を妥結へ導く妥協案となる可能性がある。対日自動車関税の緩和、あるいは撤廃を引き出すには、日本市場での受け入れ姿勢が必要となる。
この合意は、グローバル生産戦略における転換点となり得る。日本メーカーの米国工場が対日輸出拠点として機能することで、グローバル供給網における重要なポジションを担うことになるだろう。
日米による相互尊重のもとで、米国の雇用を維持しつつ、日本市場の段階的な開放を実現する。こうした合意は、両国にとって戦略的かつ象徴的な意味を持つはずだ。
日米対立を和らげる合理的妥協案
トランプ政権が推進する米国ファースト政策により、日米間の通商摩擦が再び顕在化しつつある。このような状況下において、日本車の逆輸入という選択肢は、単なる奇策ではない。政治・経済・産業の利害が交差するなかで、現実的かつ合理的な妥協案となり得る。
今後の日米関税交渉は、単に関税の緩和や撤廃といった合意にとどまらない。自動車産業における新たな国際分業体制を形づくる、重要な分岐点となる可能性がある。
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みんなのコメント
値段が高くなりすぎて日本人では買う事も出来ない。
そもそも人件費が高いアメリカで生産して日本に輸送する輸送費を加算して…。
高級車とかスペシャリティカーならともかく、普通のグレードの車が高級車枠のアルファードより高くなるんだから、売れる訳無いじゃん。
今、日本国内で「売れてる車」は約半数が軽自動車だよ…
アメリカ人に軽自動車造れるの?(笑)
しかも、日本人が組んだくらいの高品質で軽自動車造れるの? 日本メーカーの自動車工場も外国人の派遣社員や期間工働いてるけど、アメリカ人よりは、手先器用だよ何より日本式のマニュアルや教育受けてるからね
バカでかいアメ車作って売りつける前に、軽自動車造れるようになってからほざけ(笑)