電動バイクによって争われる世界選手権『FIM Enel MotoE World Cup』(以下、MotoE)の第4戦オランダ大会の決勝レースが、2022年6月25日(レース1)、26日(レース2)にオランダのTT・サーキット・アッセンで行なわれました。
MotoEライダーにとって、オランダ大会は複雑な状況となりました。初日はフリープラクティス1がウエットコンディション、さらにフリープラクティス2が雨によりキャンセルとなったのです。
【画像】2022年シーズンのMotoE第4戦オランダ大会を見る(6枚)
同日の夕方に行なわれた予選はドライコンディションでしたが、土曜日の決勝レース1までのドライコンディションでの走行はほぼこの予選の10分間、という状況でした。
TT・サーキット・アッセンは「ダッチウェザー」と呼ばれる変わりやすい天候が特徴であり、MotoEはその影響をモロに受ける形となりました。
予選ではドミニケ・エガーター選手がポールポジション、2番手がエリック・グラナド選手、3番手がマッテオ・フェラーリ選手で、チャンピオンシップでランキングトップ3のライダーがフロントロウに並びました。
土曜日に行なわれたレース1の序盤はフェラーリ選手がトップに立ち、後方との差を広げつつあるかに見えました。しかし2番手のグラナド選手がじりじりとフェラーリ選手に接近。フェラーリ選手とグラナド選手は激しいトップ争いを展開し、5周目にグラナド選手がトップに立ちます。さらに2人が火花を散らす間にエガーター選手が迫り、2番手を奪いました。3番手となったフェラーリ選手は、マシンが振られて5番手に後退します。
トップ争いは終盤に入ってさらに激しいものとなりました。残り2周、トップを守っていたグラナド選手をマッティア・カサデイ選手がパス。最終ラップにはトップのカサデイ選手と2番手のエガーター選手にグラナド選手が接近すると、三つどもえで最終コーナーを立ち上がり、エガーター選手がトップでチェッカーを受けました。2位はグラナド選手、3位はカサデイ選手で、優勝のエガーター選手から3位のカサデイ選手までの差は0.081秒。本当にわずかな差で勝負が決することになりました。
大久保選手は予選で転倒を喫して最後尾からのレースとなり、13位でチェッカーを受けました。
日曜日のレース2は、スタート前に雨が降ってきたことで2度のスタートディレイ、さらにレース周回数は2周減算されて6周となり、約30分遅れでスタートしました。
一時は4番手に後退したグラナド選手が3周目でトップに浮上。ここで転倒が発生したことでトップグループはグラナド選手を先頭に、カサデイ選手、エガーター選手、フェラーリ選手となり、激しいポジション争いを繰り広げていました。
しかし4周目に入ったところで3周目の転倒により赤旗が提示されます。トップのライダーであるグラナド選手が3周を終了し、この中断をもってレース終了となったため、確定した結果に対し通常の半分のポイントが付与されることになりました。
この結果、優勝はグラナド選手、2位はエガーター選手、3位はカサデイ選手が獲得しています。大久保選手は11位でした。
現在ランキングトップのエガーター選手は今大会でチャンピオンシップのポイント差を広げ、148ポイント。ランキング2番手のグラナド選手は114ポイント、ランキング3番手のフェラーリ選手は106ポイントです。残り2戦で、ここまでコンスタントに表彰台を獲得しているエガーター選手が抜け出す格好となりました。
MotoE第5戦オーストリア大会は、8月20日、21日にオーストリアのレッドブル・リンクで決勝レースが行なわれます。
■FIMエネルMotoEワールドカップとは……
2019年にスタートした電動バイクによるチャンピオンシップ。MotoGPのヨーロッパ開催グランプリのうち数戦に併催され、2022年シーズンは各2レース、7戦14レースが予定されている。バイクはイタリアの電動バイクメーカー『Energica Motor Company(エネルジカ・モーターカンパニー)』の電動レーサー『Ego Corsa(エゴ・コルサ)』のワンメイク、タイヤはミシュラン。2022年シーズンのMotoEには11チーム18名のライダーが参戦し、唯一の日本人ライダー大久保光選手は2年目のシーズンを迎えている。
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