11月4~5日、栃木県のモビリティリゾートもてぎにて、2023年のスーパーGTはいよいよ最終戦を迎える。今大会では、トヨタ、ニッサン、ホンダの3メーカーが三つ巴となってシリーズタイトルを争うことになる。現在ランキング2位のNiterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は、新チームとして挑んだ2022年シーズンにも、チャンピオンを懸けて最終戦を戦ったが、決勝でペナルティを受けたため逆転を許し、悔しい結末を迎えた。『今年こそは』とタイトル獲得を切望するドライバーの千代勝正、高星明誠のふたりは、集まったメディアに逆転チャンピオンへ向ける抱負を語った。
特に大きな願掛けもせず、普段のレースと同じ流れで今週の最終戦を迎えたというふたり。昨年は結成1年目の新チーム、新ペアで最終戦のタイトル争いに臨んだが、「昨年は硬くなってしまっていた」と語るのは千代だ。
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「昨年はチームも1年目で、自分自身も含めて緊張していたところがありました。ですが今年は、昨年よりもこの状況を冷静に見ることができていますので、今回はチーム全体で自信を持って冷静に戦えると思います」と、力まず自然にというスタンスを心がけているという。
昨年の決勝レースでは、スタートドライバーを務めた千代が1周目の5コーナーでブレーキングミスから他車との接触を起こしてしまい、3号車にはドライブスルーペナルティが課されてしまった。その結果、3号車はその時点でタイトルを争う権利を失ってしまい、その接触は自身の言う緊張の象徴するようなシーンとなってしまった。千代はその接触に関して「早く記憶を更新したいイヤな思い出」と語るが、高星は「僕が無線で『5コーナー気をつけて!』と言いますよ」と冗談を口にし、メディアらからも笑いが起こった。そこには、先輩後輩である千代と高星ふたりの間にあるフラットな関係や、その接触を乗り越えた力強さが感じられる。
10月14~15日に行われた第7戦オートポリスでは、優勝を飾った36号車au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)は3位フィニッシュの3号車を逆転してランキングトップに返り咲いた。現在2台の点差は7点となっているが、この7点の差について高星は「普通に考えてみれば大きい差だと思う」と語る。
「自分たちが優勝したとしても、36号車が2位であれば僕らはチャンピオンを獲ることができません。チャンピオン争いは、なるようにしかならないと思いますので、それだけを意識せずに自分たちのベストを尽くすレースがしたいです」
今回タイトルを争う36号車au TOM’S GR Supra、16号車ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)の印象については、ふたりとも口を揃えて「36号車は決勝が強く、16号車は予選が強い」とコメント。
高星は続けて、「36号車は決勝が強いだけでなく、ドライバーふたりがクレバーだなと思います。ペナルティを受けることも少ないですし、速いペースで淡々と走って順位を上げてくる。チームもクレバーで戦略面も決勝が強い。16号車について印象深いのは、予選での1発の速さです。予選順位で良い順位を獲ることで得るメリットを最大限に生かす作戦が強い」と語り、ライバルに得意な展開に持ち込まれることを警戒している様子だ。
事前の天気予報では、3号車が履くミシュランタイヤの得意とする雨の予報も流れており、それを知ったときには千代も思わず「ニヤッとした」という。直近の予報では雨の確率は低いとされているが、ドライで行われた第7戦でも3号車はハイペースでの追い上げを見せて3位表彰台を獲得した。いよいよ迫る大一番へ向け、昨年からは一皮むけた3号車は、自然体の構えで逆転王座の獲得に臨む。
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