センサーが生む“究極の深剃り” – 「i9000 プレステージ ウルトラ」
フィリップスが2025年6月、電動シェーバーの新旗艦モデル「i9000 プレステージ ウルトラ」と携帯型の「コンパクトシェーバー 700シリーズ」を発表した。
【画像】賀来賢人を起用の理由は? フィリップス発表会の模様を画像で見る(43枚)
世界シェアNo.1を誇るブランドが、この2つの革新的プロダクトを武器に日本市場でトップシェア獲得に挑む。その背景には、日本独自の嗜好への対応や技術革新、新アンバサダー賀来賢人さんの起用など戦略的な狙いがある。
家電スペシャリストの滝田勝紀が、フィリップス アジア担当イノベーションマーケティングディレクターのBas氏にインタビュー。製品技術の本質から市場戦略まで、今後のフィリップス躍進の鍵を探った。
2025年6月11日発売の「フィリップス i9000 プレステージ ウルトラ」は、同社シェーバー史上もっとも高度なテクノロジーを結集した意欲作だ。
最大の特徴は、“肌の下-0.08mm”という領域までヒゲを深剃りできる点。これは従来はカミソリの領域と思われた超接近シェービングを、電動シェーバーで実現したことを意味する。
実現の鍵は新開発のシェービングヘッドとセンサー技術だ。
外刃(シェービングネット)は前モデルより10%薄型化され、内蔵する「スーパーリフト&カット」機構で1枚目のリフト刃がヒゲを根元から引き上げ、2枚目のカット刃が深部からカットする。これによりヒゲを根元から0.08ミリ下でカットする前例のない深剃り性能を得ている。
外刃(シェービングネット)は前モデルより10%薄型化できたことで、これまで0mmだった深剃りをマイナスの領域に進化させられた。
さらに、本機は内部に72枚もの回転刃を搭載し、毎分16万5千回(1秒間に約2750回)ものカットを行う強力なシステムで、あらゆる方向に生えたヒゲを効率よく捕捉して剃り切る。加えてセンサー制御も秀逸だ。
ヒゲの密度を毎秒500回感知し、自動でモーター出力を調節するヒゲ密度感知システムが搭載されており、ヒゲが濃い部分でもパワー不足を感じさせない。
一方で肌に優しく使う工夫として、過圧防止センサーが搭載されている。シェーバーを肌に押し当てすぎると本体リングのLEDライトが色変化してリアルタイムにガイドを行い、適切な力加減と円を描く最適なストロークへ導く仕組みだ。
通常・インテンス・フォーム・センシティブ・カスタムの5種類のシェービングモードも備え、ユーザーの肌質や好みに応じて細やかに調整可能である。
まさに“パーソナルヘルス”領域で培ったセンサー技術フィードバックを駆使し、深剃りと肌ケアの両立を図っている。
このi9000シリーズはハードウェア面の品質も極めて高い。
筆者は過去にフィリップスのオランダ・ドラハテン工場を訪れ、シェーバーの精密刃を製造する現場を取材したことがあるが、その経験から本機にも同工場製の高精度ブレードが投入されている点に注目したい。
具体的には、内刃素材に航空宇宙用途にも使われるスウェーデン製の強靭なオーステナイト系ステンレス鋼、外刃素材には低刺激のサージカルステンレスを採用し、耐久性と肌への優しさを両立している。
この刃は2年に1度程度の交換で良く、オイル差しも不要とのこと。筆者自身、ドラハテン工場で目の当たりにした刃へのこだわりが、日本向け最上位モデルにも余すところなく注がれていると感じる。
こうした先端技術と心配りが凝縮された本モデルは、“究極の深剃り”を求めるハイエンド志向の男性にとって非常に魅力的に映るはずだ。
Bas氏も「我々の持てる技術の粋を集め、日本のお客様が求める深剃り性能と肌への優しさを両立させました。これはフィリップスのイノベーションの象徴と言えるモデルです」と自信を示す。
価格はオープンながら実勢で10万円近辺と予想される超プレミアム帯だが、その価値に見合うだけの技術と体験を提供してくれるだろう。
“ポケットサイズ”で攻める新領域 – コンパクトシェーバー 700シリーズの戦略
一方でフィリップスは、よりカジュアルかつ機動力あるシェービング体験を提供する製品として「コンパクトシェーバー 700シリーズ」を同時投入する。
7月上旬より国内発売されるこのモデルは、本体サイズわずか88×59×34mm、重さ150gという手のひらに収まるコンパクトボディが特徴だ。
胸ポケットにも収まりそうなサイズ感ながら、中身は侮れない。搭載されるのは回転式シェーバーの「最上級システム」であり、薄型化した外刃とリフト&カット機構によって小型でも優しい深剃りを実現している。
具体的には、外刃を従来比10%薄くし、ヒゲを根元から引き上げてカットするフィリップス独自のスーパーリフト&カットテクノロジーを組み込むことで、従来以上の深剃り性能を発揮する。
小さくとも侮れない“本格派”であり、搭載する回転刃は合計48枚にも及び、多方向に生えたヒゲを効率よく捕捉して深剃りするという。強力なマイクロモーターも内蔵し、サイズを超えたパワフルな剃り味を実現している。
Bas氏によれば、このコンパクト700シリーズの狙いは「今まで電動シェーバーを使う機会が限られていたシーンにも、フィリップスならではの心地よい剃り体験を届ける」ことにあるという。
実際、携帯型シェーバー市場は近年活性化しており、競合ライバルメーカーも次々と参入している。
例えばパナソニックは本年6月に手のひらサイズのリニアシェーバー「ラムダッシュ パームイン LITE」を発売し、3枚刃と高速リニアモーターで深剃りと携行性の両立を図っている。
ブラウンも従来からモバイルシェーバーを展開してきており、主にコンパクトな簡易モデルが中心だが、デザインの良さなどから同じく人気を博す。
フィリップスの700シリーズは、そうした競合製品に対し「深剃り性能」と「スマートな使い勝手」で差別化を図る戦略と言えるだろう。
Bas氏は「日本のビジネスパーソンは身嗜みへの意識が高く、一日中どこでもベストな状態でいたいと考えています。700シリーズはそうしたニーズに応える切り札です」と語り、外出先やオフィスでの“隙のない身だしなみ”をサポートする商品として自信を示した。
高性能な据置き型シェーバー(9000シリーズ等)で朝しっかり剃り、日中や出先では700シリーズで手軽にお直し――フィリップスはこの二本立てで、日本人男性の24時間に寄り添おうとしているのだ。
世界No.1が日本市場でトップを狙う理由
「なぜ今、フィリップスは日本攻略に本腰を入れるのか?」――インタビューの中で筆者はBas氏に率直に問いかけてみた。ご存知の通り、フィリップスは電動シェーバー分野で世界123カ国に展開し、85年以上の歴史を持つ世界シェアNo.1のブランドだ。
しかしながら、その実力に反して日本国内でのシェアは長年伸び悩んできた。同市場(年間約500億円規模)の8割近くはパナソニックやブラウンといった往復式シェーバーが占めており、回転式のフィリップスは後塵を拝する状況が続いていたのである。
日本人男性は昔から往復式(いわゆる網刃シェーバー)に慣れ親しんでおり、その深剃り性能への信頼感もあって、回転式の肌当たりの良さを訴求してもなかなか食指が動かなかった背景がある。
また「深剃り=往復式」という根強いイメージや、国内メーカーへのブランドロイヤリティなど、市場固有のハードルも存在した。
Bas氏はそうした文脈を踏まえ、「日本のお客様は非常に品質に厳しく、要求水準が高い。しかし同時に、新しい価値にも敏感で、納得すれば受け入れてくれる市場で、それはアジア全体を攻略することにも直結する」と分析した。
フィリップスにとって日本は単なる一国市場ではなく、“世界一の座を盤石にするために攻略すべき最重要市場”という位置づけなのだろう。
新アンバサダー賀来賢人が象徴する「大人の男」の夢
また、同社は「現在フィリップスは日本でマーケットリーダーではないが、日本のユーザーの心はつかんでいると考えている」と自信を見せるなか、それを多くの方々に知らせるためのインフルエンサーの起用についても重要視しているとBas氏。
発表会では新アンバサダーの賀来賢人さんが登壇し、最高峰モデルを手にフィリップスの新製品発表会で抱負を語った。
その狙いについてBas氏は「賀来さんは30代半ばにして国内外で活躍し、洗練とチャレンジ精神を兼ね備えた存在。同世代の男性が憧れるストイックな魅力が、我々のブランドビジョンと重なります」と説明する。
実際、賀来さん自身も発表会のステージで新アンバサダー就任の喜びを次のように語っている。
「フィリップスの電動シェーバーって、きちんとした大人が持つイメージがあったので、それにふさわしい自分になれたのかなと思うと素直に嬉しかったです」。彼にとってフィリップスのシェーバーは“成熟した男性の証”のように映っていたようで、そのイメージと自身の成長が重なる起用となったことが伺える。
新CM撮影の裏話では、賀来さんが疾走するシーンに10回以上テイクを重ねたことや、カメラとの距離を自分で調整しながら走る難しさに「まるでアクションシーンのようだった」と語る場面もあった。
同CMは、静かにひげを剃るシーンと全力で駆け抜けるシーンという対照的な二面性を描いており、「リラックスしているようで、どこか緊張感もある。不思議な感覚でした」と撮影を振り返っている。
自身が役柄ではなく“賀来賢人本人”として出演する内容にも最初は照れがあったそうだが、「カメラの前でも自然体でいられて新鮮だった」と述べ、作品としての仕上がりにも手応えを感じているようだった。
CMのラストでは「剃って身だしなみを整え、走り出す。その流れの中に“次の自分へ進んでいく”というメッセージが込められています」と明かし、次なる挑戦へ踏み出す男性像を自ら体現してみせた。
実際賀来さんは「英語を本格的に学び、海外作品への挑戦という夢に年々気持ちが強くなっている」と語っており、フィリップスというグローバルブランドと、グローバルな舞台に挑む意欲を示していた部分が重なるのが印象的だった。
フィリップスは日本で新たな時代を切り拓くか
フィリップスの新型シェーバー「i9000 プレステージ ウルトラ」と「コンパクトシェーバー 700シリーズ」は、それぞれが異なる角度から日本のユーザーにアプローチする“双璧”と言える。
前者は最先端テクノロジーで深剃りの常識を覆し、後者は発想転換でシェービングシーンを拡張する。Bas氏とのインタビューを通じて感じたのは、フィリップスが単に製品を売るのではなく、日本人男性のライフスタイルそのものに変革をもたらそうとしている点だ。
グローバルNo.1企業のプライドと、日本市場へのリスペクトが融合し、生み出されたこれら新製品と戦略は、まさに「新しい技術と長い歴史の融合」である。
家電ジャーナリストとして長年フィリップスの挑戦を取材してきた筆者から言えば、2025年は同社シェーバー事業にとって日本で飛躍するターニングポイントとなるかもしれない。
かつてない深剃り性能と洗練のユーザー体験、そしてそれを支える確かな戦略と情熱。これらが実を結ぶなら、フィリップスが日本のシェーバー市場でトップの座を獲得する日も遠くないだろう。(滝田勝紀)
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