2025年3月7日にトヨタが発表した中国市場向けの新型BEV「bZ3X」。補助金抜きで11.98万元(約225万円)からという価格は、これまでの高価で手が届きにくかったトヨタのBEVから大きく前進し、中国勢に対する、まさに逆襲の一手といえる存在だ。
しかしながら、中国ではすでにBYDを筆頭にBEVメーカーが大きなシェアを獲得している。いくらトヨタでもここに今から割って入るのは、簡単ではないだろう。はたして、bZ3Xは中国で成功するのか!?? 考えてみよう。
トヨタが中国で激安BEV発売!! 約220万円ってマジか!! 勝ち目はあるか? 日本への逆輸入は……??
文:立花義人/写真:TOYOTA、BYD
【画像ギャラリー】日本でも売ってほしい!トヨタの新型BEV「bZ3X」を写真でもっと見る(10枚)
若年層を狙った攻めのデザインと、驚愕のコスパを実現したbZ3X
トヨタ「bZ3X」はCセグメントに分類されるSUVだ。ボディサイズは全長4600mm、全幅1850~1875mm、全高1645~1660mmと、日本でも販売されているbZ4Xよりも少しだけ小さい。シャープなフロントマスクと流線型のボディが特徴的で、スポーティで近未来感のあるデザインは、中国市場、特にZ世代の若年層を強く意識したものとなっている。
プラットフォームにはトヨタと中国の合弁パートナーである「広汽トヨタ」が開発したBEV専用アーキテクチャ「e-TNGA」をベースとする派生プラットフォームを採用。室内空間の広さと乗り心地のよさをバランスよく実現している。
最大の特徴は、やはりその価格だ。11.98万元という設定は、中国市場でシェアを拡大しているBYDの主力モデル「元PLUS(BYD Atto 3)」や「海豚(ドルフィン)」とほぼ同等。同クラスのBEV市場に真正面から挑む設定となっている。
この価格設定を可能にしたのは、トヨタと中国の自動車メーカー「広汽集団(GAC Group)」の強固な連携にある。bZ3Xは広汽トヨタの工場で現地生産され、部品調達や製造コストを最大限に抑える仕組みが整っている。バッテリーには中国製のリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを採用、コストを抑えつつ安全性と耐久性を確保している。
スポーティかつスタイリッシュで先進性も感じられるbZ3Xのデザイン。Cセグメントクラスの小型車でありながら堂々とした存在感も感じられ、日本で販売しても売れそうだ
細いラインで構成されているリアテールランプ。車両後方のピラーがブラックアウトされており、リアスタイルはとてもスタイリッシュ
もちろん安いだけじゃない!! 「便利」を超えた最先端技術もしっかり搭載
bZ3Xの航続距離はCLTCモード(China Light-Duty Vehicle Test Cycleの略。中国の小型車試験サイクルで、より走行実態に近い試験条件)で約500km。都市部や郊外を主な活動範囲とするユーザーには十分なスペックだろう。モーター出力は最大160kWで、日常的な加速や高速道路での合流もスムーズにこなせるはずだ。
また、トヨタ独自の走行制御システム「Toyota Active Drive Control」や最新の運転支援技術「Toyota Safety Sense」もしっかりと搭載。BEV初心者にも安心感を提供する先進運転支援技術を備えている。このあたりはさすがトヨタ。価格が控えめであっても妥協は一切ない。
ただ、bZ3Xにはさらに、エヌビディア製SoC(System on a Chip)による人工知能(AI)運転支援機能や自然言語でできる音声認識機能など、単なる「便利」を超えた最先端技術など、中国のBEVユーザーの心をつかむ装備もしっかりと搭載。200万円ちょっとのBEVにこれだけの装備を備えるとは、日本では考えられないレベルだ。
bZ3Xのインテリア。ただ便利なだけじゃ中国のEVユーザーは満足しない。最先端技術の搭載は必須だ
中国市場での勝算はある!! ただ日本導入は難しい
中国のBEV市場の現状は、BYDが年間300万台以上を販売するトッププレイヤーだ。リーズナブルなコンパクトカーからハイエンドのフラグシップまで、幅広い価格帯のBEVラインアップを揃えており、中国市場ではもはやBYDの敵はいない状況。その勢いに割って入るのはもちろん容易ではないのだが、bZ3Xには価格競争力に加えて、「トヨタブランド」という強力な武器がある。
中国でも、特に地方都市では「トヨタ車は壊れにくい」「長く乗れる」というイメージが根強いという。BEVであってもそのブランド力は効果的であるだろうし、トヨタのディーラーネットワークやアフターサービス体制の充実度は、多くの新興BEVメーカーがまだ到達できていないレベルにある。
また、トヨタの現地パートナー「広汽トヨタ」の存在も大きい。製造拠点の最適化だけでなく、中国市場特有の消費者ニーズを理解し、それを製品に反映させる「ローカライゼーション」のスピードは、他の外資メーカーにはないものがある。
広汽はすでに独自ブランド「AION(アイオン)」でBEV市場に一定のプレゼンスを持っており、そのノウハウもbZ3Xに活かされているはずだ。bZ3Xの価格競争力に、世界に誇る日本のブランド+現地企業の強みという化学反応が加わることで、中国市場で爆発的な効果を生み出すことは十分あり得るのではないだろうか。
また、この内容であれば、日本に導入(逆輸入)されてもかなり売れるのではないだろうか。中国生産車であるにせよ、bZ3Xは「トヨタブランド」だ。ほかの海外メーカーの廉価BEVよりも、絶対的にイメージがいい。補助金込みで300万円以下で買えるようならば、ヒットする可能性は十分にあると考えられる。
ただ、残念ながら日本導入の可能性は限りなく低いだろう。bZ3Xは「中国スペシャル」だからこそ実現できたものだからだ。
日本でも販売されているBYDの主力コンパクトSUV「ATTO 3」。bZ3Xの直接的なライバルといえる
◆ ◆ ◆
価格、性能、デザイン、ブランド力、そして現地パートナーとの連携という多層的な戦略が織り込まれたトヨタ「bZ3X」は、BYD一強の構図に風穴を開けるポテンシャルを秘めているクルマだ。
ただ、中国BEV市場の変化は速く、bZ3Xの成功が一過性で終わらないためには、今後のソフトウェアアップデート体制や、モデルライフサイクルにおける迅速な改良、そしてbZ3Xの派生車の開発も必須。引き続きトヨタの動向に注目だ。
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BYDと共同開発だからバッテリーもBYDで安いんでしょ、純トヨタEVじゃないから中国専売モデル。