警視庁に在籍した33年間中、実に22年間もの日々を白バイに捧げた元警察官の洋吾(ようご)氏。取り締まり件数において3年連続で警視庁トップに輝き、警視総監じきじきの表彰も受けた伝説の白バイ隊員だ。洋吾氏の警察時代の悲喜こもごも、厳しくも「とほほ」な日常を綴った著書『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』も上梓(小社刊)。
今回は、パトカーや白バイのメンテナンスって、いつ、どこでやっているのか? あまり知る機会のない警察の日々の裏側について、筆者・洋吾氏が語ってくれた。昭和~平成の白バイを担ったバイクたちの変遷・ウラ話もご紹介!
パトカーや白バイの整備ってどうやってるの? 元白バイ乗りが明かす 知られざる日々の裏側
文/洋吾、写真/洋吾、Adobestock(メイン写真=moonrise@Adobestock ※画像はイメージです)
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■白バイ整備道。愛車のメンテは自分次第
2004年頃の小松川分駐所の車庫。2個中隊4個小隊の白バイ。この頃はホンダのVFR800Pが主力となっていた
交機隊員の大事な相棒であり、商売道具である白バイ。もちろん、担当者が日々メンテを行っている。
洗車、ワックスがけ、それからオイル交換。まれにバッテリーの充電、チェーンのメンテなどもだ。
さすがに難しい整備までやっている暇はないし、いくらバイク好きが多いとはいえ、隊員みながメンテの知識や経験が豊富というわけではない。
なので、基本的にパーツ交換が必要な場合や突発的な故障の対処は、隊本部の整備係や本部の自動車整備工場で行う。
また民間メーカーへ入庫させる場合もあった。これは所轄の白バイやミニパト、地域係のPC(パトカー)なども同じであった(所轄には整備係はない)。
先にも挙げたように、オイル交換は担当者が実施する。
自隊の車庫内に油庫室があり、二輪用、四輪用のオイルが常備され、廃油専用のドラム缶も設置されていた。担当車両のオイル交換は自由にどうぞという状態である。
この油庫室は、所轄も含め全所属に必ず設置されている。
基本的に、警視庁の警察官は、街中の民間ガソリンスタンドではオイル交換を行わない。
ちなみにガソリン給油施設の有無は各所属まちまちで、設置されていない所属の場合は近くの指定された民間スタンドで給油する。
車両整備は、休憩中や勤務時間外を使って各自が自由に実施していた。
若い新隊員が、自分のバイクのみならず、分隊長や班長の白バイも磨いている姿をよく見かけたものだ。
小松川分駐所には給油施設が備えられていた。警らが終わると洗車・満タンが基本であった。交パが4台、覆面が2台あった
たまに小隊全員が揃って一斉に車両整備を実施することもあった。
小隊全員でやる時間は、みんなでわいわいがやがや、取り締まりに明け暮れる日々の中での楽しい息抜きのひとときでもあった。
■担当バイクとの付き合いは1台1年半前後 昭和~平成の白バイを担ったバイクたち
ちなみに、自分が乗るバイクとの付き合いは、そんなに長くはない。新車で担当したとしても大体1年半前後だ。その他の場合は半年から1年くらいしかない。
期間の長短は各所属でそれぞれ異なるが、私の場合、大所帯だった頃の旧三交機時代に最短で約2カ月ということがあった。
さて、私が白バイデビューした新隊員当時(1985年~)、担当分隊長はスズキGS750P、筆頭班長がスズキGSX750EPに乗っていた。
スズキ GS750P(1977年デビュー)…警視庁交機隊の白バイがスズキばかりになった時代の最初の主力白バイ。当時は、この白バイを担当することが新隊員卒業の証しだった。私が担当したのは1988年頃
どちらも白バイとしては新しい車両だったが、当時の市販車と比べたら古いバイクであった。
特にGS750Pはキャストホイール、コムスターホイールが多い大型バイク界にあって、未だにスポークホイールだった。
ちなみに同時期の最新白バイは、スズキGSX750PのE4というハーフカウルモデル(ネイキッドモデルもあり)だった。
この頃、警視庁交機のナナハン白バイは、スズキの天下だった。後の大ベストセラー白バイ、ホンダ VFR750Pが登場する前の時代である。
ホンダ VFR750P…1989年にデビュー、白バイの代表的なモデルとして全国で大活躍した。ベース車はあまり人気がなかった。
白バイの形状も時代の流れと共にいろいろと様変わりし、整備性も変わっていった。
大きな変化と言えば、ネイキッドタイプからカウル付き(風防装着タイプ)の白バイが主流になっていったことだ。
私自身、ビキニカウル、ハーフカウル、フルカウルといろいろなタイプの白バイ乗務を経験させてもらったが、整備の時に昔の白バイより手の届く範囲が狭まったという印象があった。
これはこれで白バイの清掃が楽になってよい面もあるのだけど、視界に入っているけど手が届かない部分の汚れがそのまま何人もの隊員に引き継がれていくという残念な面も見受けられることとなった。
ところで、カウルといえば、せっかく担当した車両がビキニカウル付きの新車白バイ(ヤマハFZ750P)だったにもかかわらず、そのカウルを自分で取っ払ってしまった隊員もいた。
昔からのネイキッドタイプの白バイにどっぷり慣れ親しんだせいだろう、自分なりにカスタムしてしまったのだ。
このように新しい時代の流れを受け入れようとしない白バイ乗りが時々いて、今では当たり前の装備となっている通称リアパト(白バイ後部の赤色回転灯)が初めて標準装備された時も、自分の新車白バイ(ホンダVFR750P後期タイプ)からリアパトを取っ払ってしまった者もいた。
ホンダCB1300Pの後ろ姿。リアから伸びる赤色灯がリアパト。ポールを伸ばして、赤色灯の高さを変更することができた。切符処理中などに、後方からの追突を避けるために、リアパトで注意喚起を行った
ビキニカウル取っ払い、リアパト取っ払い、両者2名とも、同じ小隊だった古くからの白バイ仲間だった。
また、カウル以外では、ヘッドライトが市販車両と同じく常時点灯になった新車の白バイ(ホンダVFR750P後期タイプ)に、早々にヘッドライトON・OFFの切り替えスイッチを自作して取り付けていた白バイ乗務員もいた。
これはヘッドライト常時点灯の趣旨をまったく考えていない……というか、取り締まり時に少しでも一般車両に気付かれないようにという、せこい思惑から取り付けられたものだったが……。
まさに白バイの整備・メンテは人それぞれ……という具合であった。
* * *
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●洋吾(ようご):元警視庁の警察官。交通機動隊や警察署の白バイ隊員を長く務める。運転技術はいまいち、ドジでオッチョコチョイだが、3年連続で取り締まり件数トップの実績もあり。ブログ「脱公務員の部屋・元白バイ乗り親父の話」を公開中。2022年10月『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』を上梓。同書のイラストは同ブログのマスコットキャラクター「ニャンコ白バイ隊」。
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みんなのコメント
単に規律がユルユルだったってだけでしょ。
そういやあの頃の警官は態度悪いのが多かったよな
…
しかしその警察官は詳しくないので面倒だとも。
アイドリング不安定な為プラグ見たら真っ黒、エアクリーナーも真っ黒
両方とも清掃してあげました。