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【気軽に愛車で走れる唯一の外国】1986年式『痛車』トヨタ・カリーナEDで韓国ドライブ!

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【気軽に愛車で走れる唯一の外国】1986年式『痛車』トヨタ・カリーナEDで韓国ドライブ!

長年の夢、実現へ

山口県下関市に生まれた筆者にとって、お隣の国である韓国は身近な存在であった。駅前には在日韓国人が経営する小規模な商店が並び、港からは韓国南部の都市、釜山へ向かう関釜フェリーが毎日1便就航している。

【画像】1986年式『痛車』トヨタ・カリーナEDで韓国ドライブ! 全16枚

1905年に開設された関釜連絡船をルーツに持つ関釜フェリーは旅客だけでなく、貨物輸送や車両航送も手がけており、下関市内では上陸したばかりの韓国ナンバー付き車両を見かけることも珍しくない。

日本では特例に基づき、海外旅行者の乗用車は新規登録等を受けなくても日本国内を走行することが原則可能だ。韓国の場合はナンバープレートにハングルが使われているため、それをアルファベット転写した国際ナンバーの装着(ステッカーや紙で可)が求められている。

一方、日本から外へ出る場合は地名やひらがながアルファベット表記になっている国際ナンバーを装着するが、韓国はこの国際ナンバーが規定により省略可能となっているため、本当に日本で走っている姿のまま、韓国国内を走行できるのだ。

かねてから自分のクルマを韓国に持ち込んで旅をしたいと思っていたものの、2020年に発生した新型コロナウィルス感染症の拡大により、海外旅行そのものが難しくなってしまった。先が見えない状況が続いていたが、2022年12月に関釜フェリーが旅客営業を再開すると発表、あとはタイミングの問題だけだった。

そんな中、筆者が好きな作品のイベントが首都ソウルで開催されると2024年7月に発表されたので、「これしかない!」と思って長年の夢を実行に移すことにした。

約40年前のクルマで海を渡る

筆者が所有しているクルマは、1996年式のトヨタ・カレンと1986年式のトヨタ・カリーナEDの2台だ。どちらも好きな作品のキャラクター絵を貼った『痛車』で、今回はソウルで開催されるイベントに出演するキャラクターを貼っているカリーナEDの方で韓国へ向かうことにした。

1980年代の旧車ということもあってメンテナンスについてはよく心配されるが、前オーナーは約35年間車庫保管しており、なおかつ走行距離も8万kmに満たないほどの超優良個体だ。そして大前提としてトヨタ車なのでそもそも壊れにくいし、壊れたとしても大体の部品はなんとか調達できる。

それでも駆け込み寺のない韓国で走ることは若干不安だったので、事前にブレーキまわりの整備(キャリパーO/H、ローターとパッドの交換など)や、ラジエーター交換、そしてアライメント調整を実施した。予備部品として各種ヒューズも持っていったが、結局使うことはなかった。

夢への一歩

もちろん、ただ自分のクルマを港へ持っていくだけではフェリーに乗れない。韓国自走に際して必要となる新たな書類は主に『車両航送申込書』と『国際運転免許証』、そして『登録証書』となる。国際運転免許証は居住地の運転免許センターにて2500円前後で発行可能だが、登録証書はご存知ない方も多いだろう。

これは自動車を国外へ一時輸出する際に必要な書類で、車両が登録されている地域を管轄する運輸支局で発行してもらうものとなる。筆者のカリーナEDは『山ナンバー』であるため、山口県山口市にある山口運輸支局にて申請した。登録証書は運輸支局長の決裁が必要なために即時発行はされないが、筆者の場合は11時前に申請、昼休みを挟んで12時半ごろに発行された。

登録証書は車両のナンバープレートと初度登録年月日、申請者の氏名と住所、車名、そして車体番号がそれぞれ日本語と英語で記載されている。ナンバープレートの地名表示は国際ナンバーの様式に沿っており、例えば『江東』であれば『TKK』、『沼津』であれば『SZN』、『金沢』であれば『IKK』のようになる。

片道1500キロの旅

今回の旅のスタートは同行する友人が住む東京都世田谷区からとなった。東名高速道路の東京ICを12月12日の午前2時に通過し、約10時間かけて山口県下関市に到着した。

下関港国際ターミナルでの受付開始は15時からで、ビル内で代金の支払いといった諸々の手続きを行なう。そのあとはフェリーへの搬入まで3時間ほど時間があるので、下関駅周辺で時間を潰した。

乗船した日は我々以外にもう1台いたが、聞けば下関から釜山へ向かう自家用車は年間20台程度とのこと。それに対して釜山からは年間800台ほどが下関に上陸しているというので、韓国人のクルマ好きの間では愛車をフェリーに積んで、ドライブしながら日本旅を楽しむことがちょっとしたブームとなっているのかもしれない。

翌13日午前8時に下船し、まずは釜山税関による荷物検査を受ける。これは帰国してから知ったのだが、釜山ではX線検査だったのに対して、日本ではひとつひとつ荷物を手で開封させられるという違いに驚かされた。

その後、クルマを釜山港の保税区域内に置いたまま、通関手数料や自賠責保険あわせて3万円前後を韓国ウォンで支払う。すべての手続きが完了したら、釜山港の門を出ていよいよ自走開始だ。

やがてソウルへ

筆者はアメリカや中国での運転経験があるので右側通行は特に難しく思わなかったが、韓国特有の交通ルールである『Pターン指定』やハングル表記の看板はハードルが高かった。出発する際にソウル在住の友人がわざわざ釜山まで迎えに来てくれて、同乗してソウルまでの約450kmを案内してくれたのは心強かった。

ソウル入城手前でとてつもない渋滞に見舞われながらも、なんとか午後7時ごろにはホテルへ到着した。イベントはその翌日から2日間、ホテルから片道1時間ほどの場所にある高麗大学で開催された。

2日間ともイベント開始前後の空き時間を使い、韓国の友人と現地のクルマ好きが集まるスポットへ訪れたり、漢江を挟んで北朝鮮側を望める『愛妓峰』の展望台を訪れたりと、短い期間ながらも韓国ドライブ旅行を満喫した。

韓国滞在4日目の午前9時前にはソウルを出発し、そこから一気に釜山へと戻る。日本出発時同様、午後3時前に乗船受付を済ませ、その6時間後に我々は韓国を後にした。下関上陸後は再び横浜へ1000kmの道のりを走ったが、全行程を通して大きなトラブルは特に無く、下関市内でパンクしたぐらいにとどまった。

日韓『クルマ好き』交流の架け橋?

韓国からクルマで日本を訪れる人はとても多く、個人的には増加傾向にあると感じる。そしてせっかくクルマを持ち込むのならばと、日本を2~3週間かけて縦断するロードトリップを組む人がほとんどだ。

目的地は様々だが、各地の有名な峠や首都高速、秋葉原、大黒PAといったクルマ系ゲームやアニメに登場する場所を訪れているという点はだいたい共通している。また、最近では痛車に乗っている韓国人旅行者も多く、日本で開催される好きなアニメのイベントや、痛車イベントへ自分のクルマで参加するスタイルも定着している。

現に、韓国で痛車に乗っている筆者の友人も2月上旬に関釜フェリーで日本を訪れており、この原稿を書いている本日25日に再びフェリーで韓国へ戻って行った。下関に上陸し、好きなアニメ作品の聖地巡礼を目的に仙台まで自走したとのこと。

彼はこれまで何度か日本を訪れているが愛車で来たのは初めて。驚いたことは高速道路の通行料の高さだったという。韓国の高速道路は釜山~ソウル(約450km)で約2500円だが、ほぼ同じ距離の下関~加古川までは9940円(現金)と約4倍で確かに高額だ。大手レンタカー会社では外国人旅行者であっても貸出用のETCカードが利用できるが、自家用車だと現金払い以外は難しいのが難点である。

痛車に限った話で言えば、韓国から日本へ自走するというお知らせをSNS等で毎月2~3台ほどは目にする。反対に日本から韓国へ自走で向かう人はとても少ないが、韓国は日本から気軽にクルマで行ける唯一の外国でもある。片道12時間の船旅を楽しみつつ愛車での海外ドライブをもっと多くの人に体験してほしいと筆者は思っている。

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みんなのコメント

5件
  • zoo********
    懐かしいですねー。
    このモデルのGリミテッド5MTにしばらく乗っていました。
    性能はそこそこでしたが、低くスタイリッシュなハードトップでカッコ良かったです。
  • mon********
    トップグレードの2.0G-Limitedに漢字一文字地名ナンバーがイカしてる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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