この記事をまとめると
■アメリカ・カリフォルニア州に拠点がある新興ハイパーカーメーカー「Czinger(ツィンガー)」
これぞクルマ好き究極の夢! 「F1エンジン」を積んだモデル5選
■V8ツインターボと2基の電気モーターでシステム全体で1250馬力を発揮する
■ツィンガー21Cにはロングテール版の「21C Vmax」も登場している
アメリカに生まれた新たなハイパーカーメーカー
Czinger Vehicles Inc.、通称Czinger(ツィンガー)と呼ばれるこのハイパーカーメーカーは、アメリカのカリフォルニア州に拠点を置き、2019年から独自のモデルの開発を行ってきたメーカーだ。創業者は起業家のケビン・ツィンガーと、その子息であるルーカス・ツィンガー。さまざまな分野に常にアンテナを張り巡らす起業家が、ハイパーカー・ビジネスを次なる事業に選んだというのは、ある意味それを成功に導く十分なチャンスがあると判断された結果と考えることもできる。
同社が開発したモデルは「21C」と呼ばれるもので、それは2020年のジュネーブ・ショーで世界初公開される予定だったが、COVID-19のパンデミックの影響によって同ショーは中止となり、代わりにそれは数日後にロンドンで開催された特別イベントで初公開された。
ツィンガー21Cのボディデザインは、まさに走行中のエアの流れをそのまま可視化したかのような、ダイナミックでかつ繊細なフィニッシュだった。最大の特徴は、コクピットをドライバーとパッセンジャーがタンデムで着席する2シーターとして設計していることで、それによってコクピットの幅は最小化され、それに対してサイドシルはほぼタイヤの幅に相当する厚みが与えられた。
ちなみにこの21CのデザインにはAIと3Dプリンターが駆使されており、シャシーもあたかも人体の一部のような有機的なデザインのパーツによる独特な形状が採用されている。ブレーキキャリパーとサスペンションコンポーネントは、ブレーキノードと呼ばれる単一のユニットにまとめられる。
ミッドに搭載されるパワートレインは、まずエンジンが176立方インチ(2.88リッター)のV型8気筒ツインターボで、さらにフロントアクスルに2基のエレクトリック・モーターが組み合わされる。V8エンジンのレブリミットは1万1000rpmと高く、最高出力はシステム全体で1250馬力、オプションでは1350馬力を引き出すこともできる。このパワーが油圧式多板クラッチ付きの7速シーケンシャルトランスミッションを介して後輪に伝達されるのが、パワートレインの概要となる。
全モデルを合わせても80台のみのリリース!
それではこのツィンガー21Cは、どれほどの運動性能を発揮するモデルなのだろうか。メーカーの公称値による車重は1250kgであるから、スタンダードなエンジンチューニングでもパワーウエイトレシオは1:1(1kg/PS)。じっさいの0-100km/h加速は1.9秒で、さらにその強烈な加速は最高速の405km/h以上まで続く。フロントの大型スプリッターやリヤのウイングは、超高速域においても十分なダウンフォースを得るために大きな役割を果たす。
だが、ツィンガーの挑戦はこれでは終わらなかった。先日同社は新たに、「21C Vmax」と呼ばれる21Cベースのニューモデルを発表。こちらはその大型ウイングの廃止や、4輪のホイールにエアロカバーを装着するなど、走行中のドラッグをさらに低減させることを目的とした、いわゆるロングテール仕様。メカニズムのディテールに変化はないが、今後はスタンダードな21Cとロングテールの21Cで、その人気はわかれそうな気配だ。
とはいえツィンガーはすべての21Cを合せても、その生産計画は80台かぎりと発表している。さらにそのなかでロード・バージョンとトラック・バージョンが用意されるというから、カスタマーは合計4タイプのC21から好みの仕様を選択できる。
アメリカで新たに誕生した新興ハイパーカー・メーカー、ツィンガー。その活躍に期待したいところである。
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