ここ数年、日本市場でフランス車の人気が上がってきているのはご存じだろうか。ドイツ系メーカーたちの新車登録台数が横ばい状態にあるのに対し、フランス系メーカーは、緩やかな右肩上がりで、新車登録台数を増加させているのだ(ソース:JAIA(日本自動車輸入組合)の統計データ)。
とはいえ、輸入車全体に対しては、ドイツ系メーカーの方が圧倒的にシェアは大きく、フランス系メーカーはまだまだ少数派だ。
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フランス車は、デザインが独特で、お洒落な雰囲気を持ち、そしてドイツ車よりも安いなど、長所だらけに見えるのだが、なぜ日本では、ドイツ車の陰に隠れたままなのだろうか。
文:吉川賢一/写真:PEUGEOT、VW、BMW、Fiat、ベストカー編集部
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フランス車の魅力は、「デザイン」と「走りの良さ」
「フランス車は壊れやすい」などと言われていたのは、今は昔。現代のフランス車において、そんなことは全くない。もちろん多少の初期不良はあるが、それは国産車でも、ドイツ車でも同じく起きうる現象であり、昨今のフランス車は、国産車並みの信頼性の高さを誇っている。
メルセデスは5年連続トップ、VWとBMWが2位を争っている状況だ
フランスメーカーの中で、プジョーの伸びに勢いがある
主要フランスメーカーはこの5年、右肩上がりで日本市場での販売台数を伸ばしている
ここで、なぜ日本国内で、フランス車が苦戦しているのかを考察するため、フランス車の魅力を振り返っておこうと思う。
筆者の考えるフランス車の魅力は2つある。ひとつめは、日本車にはない華やかでポップなデザインやカラーだ。ライトブルーやイエローといった、原色に近い艶やかなボディカラーは、少し前の日本車やドイツ車では、ほとんど見ることができなかった。
新型プジョー208は、コンパクトなボディサイズとそれに似合うデザインが良い
しかし昨今、メルセデスやBMW、フォルクスワーゲンからも、ポップなボディカラーをまとったコンパクトカーが出ている。若々しい色味で、ブランドのイメージを変えるには、うってつけだ。これらは、フランス車が使ったカラーを参考に、導入したのではないか、と考えられる。
VWのT-Rocにも、艶やかなボディカラーが設定されている
ふたつめは、乗り心地の良さだ。アウトバーンを200km/hで飛ばすことにも耐えうるドイツ車とは異なり、フランス車は、多少道が荒れていても、衝撃をいなしながら、ぐいぐいと前へ突き進む足回りを持っている。これが日本の道路環境にも適しているのだ。
一時期は、フランス車も、ドイツ車並みのダンピングが効いた、引き締まった足回りになったことがあったが、昨今はまた、かつての乗り味を取り戻すクルマが増えているように思える。プジョー308など、コーナーでは深めのロールをしながらも、地面をつかんで離さない走りの良さは、現代の「猫足」といえる。
なぜ日本ではドイツ車が強いのか?
日本人に刺さるような商品構成や価格、そしてドイツ車に比べてコンパクトカーのラインアップが多いなど、もっと日本でもフランス車が売れてもよいように思えるが、残念ながら、その通りにはなっていない。そこには日本人の、「恥ずかしがり屋」な部分と、「長いものに巻かれる」性格が、現れているように感じる。
オシャレでかわいいフランス車は、一瞬、目を引くが、そのクルマを手にした自身のライフスタイルが想像つきにくい、という気持ちが表れているのではないだろうか。国産車から離れた、おしゃれすぎるクルマを、すぐさま自分のものとして、取り入れることができない「気恥ずかしさ」が、ブレーキをかけているのではないだろうか。
イタリアのフィアット500もおしゃれなクルマの筆頭だ
それに対してドイツ車は、落ち着いた色味と、質実剛健な使い勝手、そして高級車ブランドとしてのステータス、そして乗っている人が多い、といった「安心感」が働いているように思う。
ドイツ系メーカーも、あらゆる戦略を練って、日本市場に提案している
クルマは高い買い物だ。しかも、同じ装備や性能を得るのであれば、国産車の方がはるかに安く買える。そのため、チャレンジングな海外メーカーのクルマはなかなか選びにくい、と話すユーザーもいるのは確かだ。
走りの違いを体感することで、カーライフはもっと豊かになる!
実は筆者もいま、フランス車を購入しようかと、わりと本気で検討している。人生は一度きり。そして、クルマを運転できる期間はだいたい50年程度だ。そのカーライフの中で、国産車だけではなく、フランス車、ドイツ車の走りの違いを、ぜひ体験してほしい。きっと、カーライフの幅を広げることができるはずだ。
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みんなのコメント
芸術と言えばフランスイタリアってくらいでアート志向の人には関心を持たれてたけど。
日本人はどちらかというと性能とか実用性を重んじる傾向が強いので、そっちにアピールするドイツ車が売れるのは必然な気がする。