■中古車市場でMT車は根強い人気
現在の日本はATしか設定のない車種も多く、MT車のラインナップが少ない状況でした。
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しかし、スポーツカーに限らず、コンパクトカーやSUVでも少しずつMT車が増加するなど、一定の需要があるようです。
そこで、手頃な予算でMTを運転したい方に向けて、中古車だったら100万円以下買えるスポーティなMT車を5車種紹介します。
●トヨタ「オーリスRS」(2代目)
トヨタ「カローラ」のコンポーネンツを活用し、欧州市場向けに開発されたハッチバックとして2006年にデビューしたのが初代「オーリス」です。
見た目の派手さは抑えつつ、ベースとなったカローラが5ナンバーだったのに対し、オーリスは3ナンバーのボディで、欧州車のような剛性感の高い走りが特徴でした。
オーリスはグッドデザイン賞を受賞するなど好評でしたが、その大人なテイスト過ぎる没個性なスタイリングであまり注目される存在ではありませんでした。
そんな印象が一変したのが、2012年に登場した2代目オーリスです。
初代より全長を30mm短く全高を55mm下げたサイズとなり、ボディの低重心化と室内スペースの拡大を果たしただけでなく、よりスポーティなルックスへと進化。
Cd値0.28とスポーツカー並みのエアロフォルムのボディの採用で注目を集めました。
搭載されるエンジンは、1.5リッターモデルと1.8リッターモデルですが、1.8リッターモデルに設定されたスポーティな「RS」グレードは6速MTが設定されています。
最高出力は144馬力ながら、その気になればスポーティにも走れるオールラウンダーなモデルです。
現在の「カローラスポーツ」に通じる「キーンルック」のデザインも魅力で、カーボン調のインテリアがスポーツカーの雰囲気を演出してくれます。
中古車市場では、ほかのグレードと比べれば絶対数は少ないものの、50万円代後半から選べるところもうれしいポイントです。
●ホンダ「フィットRS」(3代目)
コンパクトモデルのホンダ「ロゴ」の後継として、2001年に誕生した初代「フィット」は、センタータンクレイアウトを採用し、コンパクトな外観で広々とした車内空間で人気モデルとなりました。
2007年には2代目へとフルモデルチェンジ。初代の美点はそのままに、5ナンバーサイズのギリギリまでボディを拡大し、シャープな顔付きへとフェイスリフトしました。
さらに2013年に3代目モデルが登場し、それまでの高い実用性にプラスして、優れた環境性能をも両立しています。
新開発の1.3リッターガソリンと1.5リッターガソリンを搭載し、駆動方式はFFと4WD。トランスミッションは新開発のCVTがメインになっています。
3代目フィットで唯一となる6速MTを搭載したのが「RS」グレードです。132馬力を発揮する1.5リッターエンジンでスポーティなフィーリングと、低燃費(19.0km/L・JC08モード)を体感できる、スポーティなモデルに仕立てられています。
ちなみに、「RS」は「レーシングスポーツ」といった意味として、スポーティグレードに付与されることが多いのですが、フィットのRSは「ロードセーリング(ゆったりクルージングする)」を意味しているといわれています。
中古車市場での3代目フィットは、まだ年式が新しいモデルが多いこともあり、価格は80万円前後からとなっております。
3代目「フィット」はハイブリッドモデルに人気が集まりやすいのですが、6速MTを装備する「RS」もなかなかの人気。
それでいて現代のクルマらしくETCやナビ&バックカメラなど装備も充実しており、ちょっとスポーティなだけでなくお買い得な気分も味わえるモデルです。
●日産「マーチNISMO S」
日産のコンパクトカーといえば、昨今は「ノート」が売れ筋モデルとなっていますが、ロングセラーモデルの「マーチ」を忘れてはいけません。
その歴史は古く、初代は1982年に3ドアハッチバックとしてデビュー(後に5ドアハッチバックを追加)。1980年代にブームを起こした「パイクカー(レトロ調のデザインを採用した限定車)」のベースになるなど、マーチは重要な役割を果たしていました。
実際にマーチの人気が確立されたのは、1992年に登場した2代目からでしょう。丸みを帯びたデザインで誰からも愛されるキャラクターのクルマとなり、3ドア、5ドアモデルだけでなく、カブリオレやステーションワゴンも追加されて、実用性や趣味性も高められています。
2002年には3代目へフルモデルチェンジ。ルノーとの共同開発となる「アライアンス Bプラットフォーム」を採用し、エンジンは1リッターだけでなく、1.2リッターや1.4リッターの3種類に拡大されました。
そして2010年には現行モデルの4代目へとフルモデルチェンジ。生産はすべて海外となっています。
プラットフォームは新開発された「Vプラットフォーム」を採用し、シンプルなボディ構造と最適なレイアウトを実現。しかしグローバル化したことでデザインは地味になり、以前ほどの人気を獲得できていなかったのも事実です。
そんな現行マーチには、NISMOがチューニングしたホットハッチとして「マーチNISMO」が設定されています。
全長3870mm×全幅1690mm×全高1500mmと、全高が5mm低いところ以外は通常モデルとほぼ一緒ながら、街乗りに最適な1.2リッター+CVTの「NISOMO」と、1.5リッター+5速MTでレーシーな「NISMO S」が用意されます。
NISMO専用のエアロパーツや16インチアルミホイールといった特別な装備に加え、内装はブラックとレッドを基調としたスポーティさが感じられるデザインを採用。
さらに、サスペンションからタイヤ、ステアリング、ブレーキ、シャシに至るまで専用チューニングが施され、スポーティな走りを楽しめます。
マーチNISMO Sは、中古車市場でもまだ90万円以上の値がついている状態ですが、ベースモデルとは一線を画すホットハッチとして魅力的なモデルです。
■オープンやターボならMTで操る楽しさも倍増!
●マツダ「ロードスター」(3代目)
1989年の登場以来、国産オープンカーの第一人者として安定した人気を誇っているのがマツダ「ロードスター」です。
コンパクトボディの2シーターオープンカーで、クルマとの一体感を追求した走行性能は「人馬一体」といわれています。
初代ロードスターは、1950年代から1960年代に流行したライトウェイトスポーツを、当時のマツダの既存車種のパーツを活用して蘇らせ、世界中で大ヒット。その後多くのメーカーが似たようなコンセプトでオープンカーを誕生させたほどです。
1998年にフルモデルチェンジした2代目ロードスターは、安全基準の厳格化によってリトラクタブルヘッドライトが廃止されましたが、1.6リッター(または1.8リッター)エンジンなども変わらず、基本的にはキープコンセプトでした。
そして2005年に大幅な進歩を果たした3代目へと生まれ変わります。
初代から受け継ぐ「人馬一体」コンセプトはそのままながらプラットフォームから一新。全長3995mm×全幅1720mm×全高1245mmのワイドな3ナンバーボディを採用します。
さらにエンジンは、170馬力(MT)を発揮する2リッターへと排気量をアップ。スポーツグレードである「RS」や豪華な「VS」グレードでは6速MTが用意されました。
デザインは、初代っぽさを感じさせる楕円状のオーバルシェイプへと回帰し、強化されたエンジンや広げられたトレッドなど足回りの改良によって、さらにスポーティさを増しています。
2015年に現行型となる4代目へフルモデルチェンジしましたが、初代から一貫して楽しさを追求したロードスターだけに、MT比率が高いのも特徴です。
とくに中古車の場合、MT車から売れていく傾向があり、価格も比較的高めです。最終型でも5年以上経過している3代目なら50万円前後から選べますが、運転が楽しいモデルだけに、過走行ぎみの個体が多めなことは注意点です。
●スバル「インプレッサ S-GT」(3代目)
スバル「インプレッサ」と聞くと、世界ラリー選手権で活躍する「WRX STI」を連想するほど、インプレッサのスポーツイメージは強烈なものがあります。
しかし「WRX」でなくても、スポーティに走れるグレードが存在します。
1992年のデビュー当時、ボディはセダンと5ドアハッチバックでしたが、あえて「スポーツワゴン」の称号を与えられていました。
2000年には2代目へとモデルチェンジ。しかし当時のスバルはブランドイメージ構築で迷走中。結果として2度も大幅なフェイスリフトを実施しましたが、中身は順調に進化していました。
2007年に登場した3代目インプレッサは5ドアハッチバックをメインとし、セダンは1年遅れて登場。
この3代目では、コンパクトさがウリだったインプレッサが3ナンバーサイズとなり、ハイパワーモデルのWRX STIも、それまでのセダンボディから5ドアハッチバックに変更されています。
搭載されるエンジンは、自然吸気の1.5リッターエンジンおよび2リッターエンジン、さらに2リッターターボを用意。1.5リッターエンジンにFFも設定されていますが、それ以外はすべて4WDのみの設定になっています。
もともとスポーティな特性のインプレッサですが、十分にパワフルな動力性能をお手頃な予算で堪能できるグレードとして「S-GT」があります。
S-GTのボディサイズは、全長4415mm×全幅1740mm×全高1475mm。WRX STIに比べると全幅は55mm狭くなっています。
搭載される2リッターターボエンジンは250馬力。WRX STIの308馬力には及びませんが、そのぶん扱いやすい性格でした。
たとえるなら、WRX STIを、取り回しや日常での扱いやすいセッティングでマイルドに仕立てあげたグレードが2.0S-GTといえます。
中古車市場では2007年から2008年の初期モデルであれば50万円以下で探せますが、MTモード付きとなった4速AT搭載が多く、MT車が少ないのが難点。
インプレッサのターボモデルをMTに乗りたいユーザーが多いこともあり、希少なMTは中古車価格もATより20万円程度高い値がつくこともあります。
それでもスバル伝統のボクサーターボをMTで操る楽しさは、ほかのモデルでは味わえない魅力があります。
※ ※ ※
今の時代、あえてMTを選ぶのはかなりのクルマ好きともいえます。ただATのMTモードが進化したとはいえ、やはり実際のMTのダイレクト感は格別なものがあります。
渋滞などではATのほうが快適ですが、そこをあえてMTで走らせるのは、所有した者のみが味わえる楽しさだといえます。
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