2011年4月に開催された上海モーターショーでシトロエンDSラインの第3弾となる「DS5」がデビューした。革新的なクルマづくりを見せるシトロエンの真骨頂というべきモデルで、他モデルと明確に異なる個性を備えたデザインとハイレベルなダイナミクスを持っていた。今回は、日本導入を前に、2011年11月にフランス・ニースで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年1月号より)
内側から盛り上がってくるようなパワーを感じさせるデザイン
コートダジュールの五つ星リゾート「グランドホテル・キャップ・フェラ」のロビーに飾られた本物のDS5を見て、その迫力に圧倒された。フランス人デザイナー、フレデリック・スビルーの手によるエクステリアは内側から盛り上がってくるようなパワーを感じさせ、これまでにないおもしろさとバランスの良さが矛盾しないデザインに魅力を感じた。
ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
このあたりが、本当にシトロエンらしくて良い。そして、C4、C5、C6といったCラインのモデルに対して、ちょっと高級で別のキャラクターが与えられるDSラインには、きちんと豪華さも備えられている。
ボディサイズは全長4530mm、全幅1871mm、全高1513mmでホイールベースは2727mm。全長の割にはゆったりした車幅と余裕のある車高で成立しているこのDS5のフォルムは、セダンとワゴンとSUVとクーペをミックスしたような独特のもので、新しいカテゴリーを創ったともいえる造形だと思う。
搭載するガソリンエンジンは、1.6L 4気筒ツインスクロールターボチャージャー付きで2種類の仕様が用意される。「THP155」は最大過給圧が0.8バールで、115kW(156ps)/6000rpm、240Nm/1400-4000rpmを発揮。ハイパワーバージョンの「THP200」は、排気側にもバリアブルバルブタイミングを採用し、吸気側にはバリアブルバルブリフトを装備。最大過給圧は1.2バールに高められて、147kW(200ps)/5500-6800rpm、275Nm/1700-4500rpmを発揮する。
この他にも、ハイブリッドモデルやディーゼルエンジン車もラインナップされるが、今回は2012年夏に日本導入が予定されているTHP155の6速ATモデルのインプレッションをお届けしよう。
高レベルな走り味と安定感、内外装のデザインも魅力的
ベースモデルのタイヤサイズが225/50R17なのに対して、試乗車は235/45R18 98WXLのコンチネンタルCSC3を装着。車両指定空気圧(バール)は前後2.3/2.2(高荷重は2.3/2.8)である。
2人乗車でドライブしたが、ハンドルの操作に対する反応が正確なのが良かった。シトロエンらしく小さなハンドル角から遊びなく応答してくれるから、ワインディングロードでのカーブごとのターンインからコーナリング、そして出口へと向かうライントレースが非常に楽にできる。電動油圧式パワステの操舵力と手応えはちょっと軽めだが、バランス的にはちょうど良い。
サスペンションの設定もターンインしていく際にボディのロールがゆっくりと来るものなので、不安定な姿勢になりにくい。最近のシトロエンは昔ほどロール角が大きくならず、切り返しでの素早さも身に付けている。ちなみに緊急時の障害物回避行動での急操舵も試してみたが、ダブルレーンチェンジのような運転でも滑ってしまうどころか姿勢が乱れることもなく、素晴らしく安定したまま抜けることができた。
実はシトロエンのハンドリング性能のレベルは相当に高く、それでいてドイツ車とはまた別の味わいを備えているところが良い。これは実際に運転してみればすぐにわかるのだが、あまり知られていないのは実にもったいないことだと思う。
タコメーターのレッドゾーンは6300rpmから、スピードメーターの目盛りは260km/hまで刻まれている。100km/h巡航時のタコメーターは2000rpmを指していたが、250rpmごとの赤いゾーン表示なので目安である。資料には6速1000rpm時で44.38km/hとあるので、100km/hなら2200rpm強のはずだ。
THP200も試乗したが、通常の走りならTHP155でもトルクは十分で、市街地でもワインディングロードでも高速道路でも力不足は感じなかった。
DS5は外装と同様に内装も凝っている。ダッシュボードにはきれいなアナログ指針式の時計が備わり、セレクターレバーのそばに少し斜めの面白いデザインのパワーウインドウスイッチが並ぶ。シートの座り地も良い。バックレストはあまり高くなくボクの肩と同じくらいしかないが、腰のフィット感は良い。
ルームミラーで後ろを見るとルーフ後端にまでリアウインドウが付いているところが見えて、かつてのミニカ スキッパーを思い出した。
独特な形状のAピラーは前方に向かってやや狭まっているから、ワインディングロードではやや視界の邪魔になる。進行方向の状況がAピラーで見えないこともあり、首を動かして見ることもあった。ヘッドアップディスプレイはカラーで、速度だけでなくナビの行き先表示もしてくれる。偏光レンズのサングラスをかけていてもクリアに見えた。2012年の日本上陸が楽しみである。(文:こもだきよし)
シトロエン DS5 THP155 主要諸元
●全長×全幅×全高:4530×1871×1513mm
●ホイールベース:2727mm
●車両重量:1420kg
●エンジン:直4SOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:115kW(156ps)/6000rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1400-4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●最高速:202km/h
●0→100km/h加速:9.7秒
※EU準拠
[ アルバム : シトロエン DS5 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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