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「感無量です!」悲願の富士24時間制覇にTKRIのメンバー歓喜。大一番の先に王座を見据える

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「感無量です!」悲願の富士24時間制覇にTKRIのメンバー歓喜。大一番の先に王座を見据える

 5月31日~6月1日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦『NAPAC富士24時間レース』は、DAISUKE/片岡龍也/奥本隼士/中山友貴/元嶋佑弥の5人がドライブしたTKRI松永建設AMG GT3が制し悲願の優勝を飾った。2024年は中升ROOKIE AMG GT3との死闘に敗れ2位だったが、そのリベンジを果たすことになった。

 TKRIは、『Tatsuya Kataoka Racing Invitation』の略であり、その名のとおり片岡龍也が代表を務めるチーム。会社社長を務めるかたわら、40歳を過ぎてレースを始めたDAISUKEの目標をGT3での頂点と定め、2020年からST-Zクラスに挑戦してきた。

TKRI松永建設AMGが富士24時間初制覇。seven x sevenポルシェとの接戦を制し歓喜の総合優勝

 2022年にはST-Xに移行し、先生役として元嶋佑弥、中山友貴とともにシリーズを戦ってきた。ただ、2023年には片岡が中升ROOKIE AMG GT3のドライバーとして同クラスに参戦。シリーズチャンピオンを目指し、2024年にはそれまでスキップしていた富士24時間にも初参戦したものの、TKRI松永建設AMG GT3は中升ROOKIE AMG GT3と死闘を展開するも、ペナルティが響き2位に終わる。

 さらにその年の最終戦富士では、タイトル争いを優勢に進めつつも、こちらもやはりペナルティ等もあり王座獲得はならず。中升ROOKIE AMG GT3がチャンピオンを獲得し、いずれも片岡が自チームの前に立ちふさがっていた。

 2025年、片岡はようやく自らのチームに合流した。二人三脚でレースキャリアを歩んできたDAISUKEだが、一緒に組んでレースを戦うのは今年が初めてだった。第1戦もてぎでは、「走行時間が少なくクルマを煮詰めきれず(片岡)」2位。第2戦鈴鹿では片岡はニュルブルクリンクで戦っていたこともあり欠場。TKRI松永建設AMG GT3は決勝ペースに苦しみ4位で終えていた。


●決勝でのペースを見据えたセットアップ

 迎えた富士24時間は、TKRIにとっては昨年のリベンジを期するレースだが、チームは頼もしい助っ人として、今季レギュラーではドライブしていなかった元嶋を呼んだ。実は元嶋はこの富士24時間は別チームから参戦するオファーがあったというが、「DAISUKEさんと食事をする機会があったときに誘ってもらい、別のチームを断って加わりました。僕としても昨年勝ちきれなかったこともありますし、一緒にレースをやってきたDAISUKE選手と勝ちたい思いがありました」と加入を決めた。

 元嶋を迎え始まったレースウイークで、片岡が重視したのは「とにかく落ち着いたレース運びができ、一発よりもみんなが乗りやすいクルマを作る」ことだった。ふだんのレースであれば、DAISUKEの練習時間を長くとっていたが、今回はセットアップを重視。懐が深く完成度が高いクルマができあがり、それが決勝でのペースの良さに繋がった。

 雨で始まり、濃霧や赤旗中断と荒れた展開となった決勝では、TKRI松永建設AMG GT3はひたすらノーミス、ノーペナルティ、そしてノーアクシデントにこだわってレースを進めた。DAISUKEは深夜のセーフティカーランの時間には志願しドライブ。また明け方、日中にスティントを担当し、安定したペースで戦ってみせた。展開もあり、河野高男監督は明け方には勝てる手ごたえを感じていたという。

 河野監督がライバルとして警戒していたのはDAISHIN GT-R GT3だったが、トラブルで後退。またCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3もトラブルでリタイアするなど、ライバルたちが少しずつトラブルに巻き込まれた。終盤にはseven x seven PORSCHE GT3Rのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラに猛追されるものの、最終スティントを担当した中山友貴が冷静にリードをキープ。目標として掲げたノーミス、ノーペナルティ、ノーアクシデントで走り切り、2024年のリベンジを果たしてみせた。


●涙の24時間制覇

 15時、歓喜のチェッカーを受けた中山は、TKRI松永建設AMG GT3をピットロードに向け、渾身のガッツポーズで迎えたDAISUKEをはじめ、チームメイトたちを乗せ歓喜のパルクフェルメに向かったが、その目には涙が浮かんでいた。

 2022年からチームに加わった中山は「自分のためにやるレースより、人と一緒に目標を叶えにいく、チームとしてやっていく戦いを続けてきたので、すごく感情がこみ上げてきましたし、DAISUKE選手がお金を出して、チームを動かしていく大変さは、ひとりの大人としても分かりますし、その夢に乗せてもらって手助けする使命に対し、結果を出せた安心感と嬉しさでこみ上げました」とその思いを語った。

 そんな中山がコクピットを下りると、「隣を見たら自分より泣いていてビックリしました(笑)」というのが奥本。チーム加入は今季からだが、「ボンネットの上に乗った瞬間にワッと来てしまいました」という。また、自らのスピードよりも安定さを重視する戦いを続けた元嶋も「チェッカーを受けてすぐは実感はあまりなくて、ホッとした方が大きかったのですが、ボンネットに乗って表彰台まで行ったときに、思っていた以上にその景色が良くて。そこでウルっときてしまいました」と嬉し涙を浮かべた。

 そして、涙をみせずとも喜びを噛みしめていたのがDAISUKE。「感無量ですね」と悲願の勝利を喜んだ。

「昨年はチャンピオンに王手をかけながら、最後は獲れませんでしたが、やはりシーズンを考えると、この富士24時間を獲ることが大事なのは明らかなんですよね。そういった意味では、このレースを勝つことができて、またシリーズ戦に向けても力が入ると思うので、ここからさらに気合を入れなければと思っています。またひとつひとつ、ステップを踏んでていねいに戦っていきたいです」と次なる目標に向けて語った。

「僕が片岡さんに『レースをやりたいです』と言ってから、長い年月過ごしてここまできているので、まさに感無量です。それに、片岡さんと一緒に組んでみて『強い』とはどういうことかをまざまざと見せられたと思っています。今回は特にそれを痛感しました」


●“ふたつめの目標”へ

 DAISUKEとの勝利を喜ぶのは、自身にとっては富士24時間3連勝となった片岡も同様だ。「一緒にやってきて、こうして組んだ最初の年で、24時間の大舞台で勝つことができたのは良かったです。DAISUKE選手の活躍も効いた優勝でしたし、ポルシェ(seven x seven PORSCHE GT3R)のBANKCYさんと良いペースで勝負もできたので、成長も感じたと思います」とレースを振り返った。

 ただ、今回の勝利は片岡にとってはまだ通過点。「とりあえず、これでなんとか“ひとつめの目標”はクリアできた感じがするので、“ふたつめの目標”であるシリーズを意識してやっていきたいと思います」と次なるターゲットとしてシリーズチャンピオンを見据える。

「こういうイメージでレースをすると勝てるというものを、他のドライバーとも共有できたと思っています。これを機に目指すものがみんな見えてくれば、もっとコメントを共有できると思いますし、もうちょっと強くなれる気がしますね。今年はずっと気になっていた自分のチームを、中に入って良いところを伸ばし、足りなかったところを補強しながらやっています」

 かつてスーパー耐久で十勝24時間が開催されていた頃を含めると「5連勝です(笑)」と24時間レースを熟知する片岡が加わったことで、DAISUKEが言うように『強さ』を身につけたTKRI。今回大一番を制したことで、ランキング首位のseven x seven Racingにポイントでも肉迫した。次なるターゲットに向けて、大事になってくるのは次戦からの戦いだ。

[オートスポーツweb 2025年06月01日]

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