8回目となる「オートモビルカウンシル 2023」が、4月14日から16日まで千葉県の幕張メッセで開催された。「クルマを超えて、クルマを愉しむ。過去から現在、そして未来へ」をコンセプトに開催されているので、いわゆるモーターショーや自動車イベントなどとは趣きがちょっと違っているところが見どころだ。
なぜ、2009年型の「カイエン・ターボ」が?
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コロナ禍のために昨年や一昨年は出展も来場者も少なくて寂しかったが、今年は、なんと過去最大規模になった。実際に、14日午前中から会場に足を運んでみても、ブースが増えて、行き交う人々が足早になって、活況を呈していることがすぐにわかった。
会場に入ってすぐの広いブースはポルシェ。最新の「911 GT3RS」や「タイカン」などに混じって、初代の「カイエン・ターボ」が並べられていた。なぜ、2009年型の「カイエン・ターボ」が?
「装着されているルーフラックとホイール、トレイラーヒッチなどが、新たにアクセサリーパーツとして販売されることになりました」(ポルシェ・ジャパン広報部)
これはいい!
初代「カイエン」を新車から乗り続けているオーナーも、中古で買ったオーナーもポルシェ純正アクセサリーパーツを用いて、オフロードユースのために仕立て上げることができる。「カイエン」のためにデザインされているからピッタリだ。
最近では街中で見る機会が多くなった「カイエン」だが、もともと卓越したオフロード走破性能も併せ持ったSUVとして生まれてきた。特に初代は副変速機を装備してローレンジモードを備えた本格的な悪路走破機能を持っていた。
これらのアクセサリーパーツを組み込めば、初代「カイエン」をリフレッシュさせて楽しむことができる。過去のモデル用のアクセサリーパーツを自動車メーカー自らが新たに製造販売する例は少なかったが、これがキッカケとなって、他のモデルや他のメーカーも続くかもしれない。新しい傾向と言えるだろう。
ポルシェの右隣は、アルピーヌ。1972年型の「A110 1600S」に、現代の「A110R」と「A110GT」が展示され、人気を集めていた。
通路を進んでいくと、ポルシェの奥がマセラティ。スーパースポーツの「MC20」に追加された、オープントップの「MC20チェロ」が、クラシックの「ミストラル・スパイダー」とともに。クラシックカーを並べて昔を懐かしむだけでなく、未来を見据えるようになったのも今回の特徴だ。標語にも謳われている。
EVで存在感を増す中国のBYD
もはや“未来”とも呼べなくなったEV(電気自動車)だけを並べたのが、昨年に日本に進出した中国のBYDだ。「ATTO」と「SEAL」を展示。「ATTO」は試乗も可能という力の入りようだった。
同じように、EVとPHEV(プラグインハイブリッド)を強くアピールしていたのは、三菱自動車。電動化されたレーシングカーも並べ、モータースポーツ活動をアピールしていた。
他には、ステランティスがプジョー「308」とアルファロメオ「トナーレ」を展示。
日産は、昨年に発表して販売好調の軽自動車EV「サクラ」を中心に展示しつつ、その周囲に「スカイラン2000GT」(1970年)、「パオ」(1989年)、「シーマ」(1990年)、「フェアレディZバージョンS」(1998年)などを並べて、自らのヘリテージをわかりやすく示した。
それに対して、コンセプチュアルだったのがホンダだ。「1962、Honda四輪進出前夜」と題して市販化されなかった「スポーツ360」と初の4輪車である軽トラック「T360」を展示した。数年前は写真家の森山大道に「NSX」をモノクロで撮影させた画像を大きく展示していたから、コンセプチュアルなのは変わらない。毎年、今年は何を目論んでくるのかと楽しみだ。
40年以上も前の貴重なコンセプトカー「MX-81」に試乗!?
そして、今年のオートモビルカウンシルで最も入念かつ丁寧な展示がマツダだった。テーマは「ロータリーエンジンの可能性の追求と新しい価値への挑戦」。
すでにヨーロッパで販売されている「MX-30 e-SKYACTIVE R-EV」という長い車名のEVには、発電機としてロータリーエンジンが組み込まれている。これまでマツダのラインナップからロータリーエンジンが絶えてしまっていたが、復活することを記念して搭載モデルが展示された。
それは喜ばしいことだし、「MX-30 e-SKYACTIVE R-EV」には早く乗ってみたいのだが、皮肉なことに会場で強い存在感を示し、実際に多くの来場者の足を止めさせていたのは、ロータリーエンジンを搭載しているわけではない「MX-81」だった。
「MX-81」は、1981年に当時の東洋工業(マツダの昔の社名)が“10年後のファミリア”を表現するコンセプトカーとして、1981年の東京モーターショーに出展した。直線と平面をつなげた角ばったボディや極力拡大されたグラスエリア、リトラクタブルヘッドライトなどの時代の流行を物語っている。デザインしたのは、イタリアのカロッツェリア、ベルトーネ。東京をはじめ、各地のモーターショーに出展されたのち、長らくマツダの倉庫で眠っていた。それをイタリアへ送ってレストアされたものだとマツダのブランドアンバサダーを務める山本修弘氏(ND型ロードスターの主査)が教えてくれた。
「運転席に座ってみて下さい」
40年以上も前の貴重なコンセプトカーに座っても構わないのか!?
「どうぞ、どうぞ」
ドアハンドルがポロッと外れてしまったりしないだろうか!?
「大丈夫ですよ」
山本氏は笑っている。
なんと、運転席シートが回転して、乗り込みやすくなっているではないか。ステアリングホイールがなく、メーターコンソールの外周上のプラスチックのコマを動かしてクルマの向きを変えるようになっている。そのコンソールの中心部には、ブラウン管でマルチモニター画面を設えている。
「使わない時には見えないようにフタが付いていますし、グローブボックスも使っていない時は仕舞って広くすることができます」
山本氏が助手席で実演してくれる。簡単な仕組みなのだけれども、知恵を使って良く考えられていて、実用性はとても高そうだ。こうした装備は、果たして当時のマツダ車に取り入れられていたのだろうか?
「それはわかりませんねぇ」
山本氏も、まだ東洋工業に入社していなかったのだろう。実用性を高める工夫は、現代のクルマにも取り入れて欲しい。
エイムというエンジニアリング企業が出展したEVコンセプトカーも注目を集めていた。「AIM EV Sports 01」はリアにモーター2基を搭載しながらもロングノーズショートデッキというクラシカルなスポーツカーのフォルムをまとっている。デザインしたのは、元日産自動車専務の中村史郎氏。最新のEVを古典的プロポーションでまとめる手法もまた新しい。
会場中央に「エンツォ・フェラーリ生誕125周年企画」
会場中央には主催者テーマ展示「エンツォ・フェラーリ生誕125周年企画」として、「スペチアーレ・フェラーリ」(限定車のこと)6台が展示されていた。「288GTO」(1984年)、「F40」(1990年)、「F50」(1997年)、「エンツォ」(2004年)、「J50」(2016年)、「モンツァSP1」(2020年)だ。一堂に会する姿は眼福そのもの。まさに、縁起物。
クラシックカーの販売業者の出展も多かった。目立っていたのは、日本車の価格高騰が高止まりしていることだった。「カローラ・レビン」(1973年)に550万円のプライスタグが下げられているのを見ると、溜め息しか出てこない。
奥のブースで、良く知った顔を見つけた。自動車ジャーナリストの九島辰也さんだ。ビスポーク東京という業者とコラボして、アストンマーチン「DB9ボランテ」の内外装を独自に“九島センス”で仕立て直した。ビスポーク、つまり顧客の望み通りに中古車をリフレッシュすることができる。内外装だけでなくカーナビユニットと画面を最新のものに入れ替え、アップルのCarPlayを使えるようにしている。価格は798万円と良心的。
パーツショップや書店、アパレルショップ、ギャラリーなども変わらず多くが出展していた。ここでも、すでに出来上がった絵を売るのではなく、顧客の注文に応じた絵を買いて販売する業者が出展していた。
他にも、音楽ライブやアート作品の展示、トークライブなど、クルマ以外のパフォーマンスが多数用意されているのが、いつもと変わらない。クルマもアートや音楽を楽しむのと変わらないスタンスで楽しもうとする人々へ向けてのイベントとして成熟しながら定着してきた感が強かった。そうした人々は世間的なマジョリティではないから、他のイベントと比較しても意味はないだろう。“量”に惑わされることなく、今後も“質”を追求しながら開催し続けてもらいたい。
取材・文/金子浩久(モータージャーナリスト゜)
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みんなのコメント
大丈夫かよ、金子ちゃん
メッチャ斬新なデザインだな❗️
行ってみてーわ❗️チワワ❗️