いつも編集部を驚かせて、喜ばせてくれるONO ENGINEERINGからリリースされるバスたち。今回は何と久々のボンネットEVバスが登場した。
クラシックな内燃機車ならエンジンが置かれるボンネットだが、最新の電気バスにそんなモノは無い!! んじゃあ、何で? という疑問が普通に湧くが、そこはソレ。運行会社も利用者も、そして何より作り手のONO ENGINEERINGスタッフもワクワクするロマンがあるからだ!!
【画像ギャラリー】クラシカルムード満点のボンネットEVバス!! ノスタルジックなボディに最新装備を詰め込んだオノエンスター セントロ(29枚)
(記事の内容は、2025年9月現在のものです)
執筆/近田 茂 写真/バスマガジン編集部
※2025年9月発売《バスマガジンvol.130》『バス作りの新勢力から』より
■クラシカルムード演出への徹底したこだわりが何しろ凄い
すでにお馴染みのオノエンジニアリング、今回もワクワク気分で訪問すると、本誌取材班を迎えてくれたのは茨城県結城市にある「城西観光株式会社」(JKB)への納車を控えたニューモデルだった。その名は「オノエンスター・セントロ」。
ルーフに見られるデザインセンスやリアのオーバーハングが長いそのフォルムは、どこかアメリカンスクールバスを彷彿とさせるが、艶のある赤系の車体色にサイドウインドーや乗降扉などの要所を、黒地に黄色いピンストライプで引き締めた仕上がりはまるで別格。
前方ボンネット部は、両サイドにポールを立てたクローム仕上げの頑丈そうなバンパーを備え、メリハリの効いた縦長の3ピースグリルと丸形の小糸製H4ハロゲンヘッドランプといった、あえて旧式のウインカーとフォグランプが採用され、個性的なフロントマスクに仕上げられている。
まるで見たことのない斬新なスタイリングが醸すネオクラシカルな雰囲気がとても印象深い。
JKBはマイクロバスから大型観光まで、貸し切りバス事業を手がける会社で、サロンバスも含めて多彩なニーズに対応すべく、豊富な車種がそろえられている。
そんな中、本誌で以前にレポートしたイーグルバスが運用する川越の小江戸循環バスに注目。同様のクラシカルなボンネットバスの導入が検討されたと言う。
その話は実績のあるオノエンジニアリングでの商談に繋がった。しかし小江戸循環に納入された、ヤーシン製のベース車両はすでに生産終了となっており、新車での入手は叶かなわない状況。
そこで小野社長は代替モデルを探し、行き着いたのがセントロだったという。セントロブランドの国内輸入販売代理店契約も締結済みと言うから、いつもの事ながら事業拡大への積極姿勢と行動力には感心させられてしまう。
■ボンネット式という姿ながら最新鋭のバスに仕上がった!!
セントロはアメリカのカリフォルニアに本拠を、オンタリオと中国に生産組立工場を構える企業。2013年に創設され、2021年にはナスダック上場企業へと大きな躍進を果たし、いまでは欧米やアジアの35カ国以上に販路を拡大している。
主に小型・中型商用車のBEVに特化して、設計・製造を行う商用電気自動車メーカーだ。主力モデルでは「ロジスター」が知られ、バンやトラック、パネルバンなどへ多彩な展開を誇っている。
車格に応じてすでに6機種のバリエーションがそろえられているほか、小型車のメトロやオフロード系のティーマックなど、工場や倉庫などで無人運用できる“iシャーシ”も注目されている。
オノエンスター・セントロのベース車両となったのは、ロジスターの最大サイズであり、2024年にデビューしたLS4500BUSである。
基本構成はラダーフレームを持ち、リヤにはリーフリジッドサスペンションを備えたキャブ付きトラックシャシーをベースに、ワイドなバスキャビンを架装したタイプ。
あくまでベースモデル(LS450)の基本諸元ながら、ラダーフレーム間の空きスペースを活用して効率良くリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載。
定格は128kWで、最高速度は時速104km。航続距離は約240km。1km当たりの消費電力は約0.53kW。バッテリー残量30%から80%までの充電所要時間は45分で賄えるという。充電口は助手席ドアを開けたBピラー部に装備されている。
そんなベース車両のキャブ前方部分、つまりボンネットフードやフェンダーなどを前述のような改造を施し、ワンオフされたのが今回の取材車両というわけ。
車内は後方に非常口、また左後方には車椅子利用者を昇降させるリフト付きの専用扉も装備。
左中程の乗降扉を開け、やや段差の大きなステップを上がると2段目がフロアで客室スペースは完全にフラット。前方運転席や助手席へのウォークスルーも容易だ。一般的なバスと異なっているのは、運転席と助手席にも専用ドアがある点。
客室内はセンター通路で左右2座ずつ、ゆったりした間隔で青いシートが並ぶ。ちなみに車両開発の技術やデザインにはドイツとフランスのチームスタッフによるセンスも反映されているとのこと。その座り心地や居心地はスッキリと機能的な印象である。
運転感覚はイージーで、穏やかに走らせられる。加減速の扱いが素直で楽な操縦性が印象的だ。特筆点としてルーフエアコンは強力。最新のインフォテーメント機能もフル装備。何より世界で唯一の存在である点が魅力的なのである。
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