■バイクは停車中に追突されることが多いのか?
2018年に内閣府が発表した「事故類型別交通事故発生件数」のなかで、「追突事故」はもっとも多い割合である34.7%(14万9561件)を占めます。そのうち、走行中に起こった1万3630件を除いた残りの13万5931件は、全て停車中に起こった事故になり、バイク事故も数のなかに含まれています。
まさか常識!?ライダーなら知っておきたいバイクのハンドサイン
では、なぜバイクは停車中に追突されやすいのか。理由としては、「バイクは車のドライバーから認識されにくい」ということが主な原因と考えられます。走行中は、対向車や大型車の影、ミラーの死角に入ることで存在を認識するのが困難なだけでなく、停車中は、車と違いバイクは小柄なため、停車前の注意力が薄れたドライバーは、周囲の風景と同化してバイクの存在を認識しきれていない恐れがあります。
運転中にスマホやカーナビを見ながら運転する「ながら運転」は、警察庁データによると2018年で2790件発生しており、このうち1698件は、車のカーナビの画面注視によるものです。交差点で減速中に油断してカーナビに目線がいくことで、信号停車中のバイクの見落としにつながり追突してしまうケースもあります。
ほかにも、警察庁の発表した2020年の事故発生原因を法令違反別にまとめた中で、半数以上の56.5%を占めるのが「安全運転義務違反」、ついで「漫然運転」・「安全不確認」・「わき見運転」などが主要な違反行為として挙げられています。ドライバーの運転操作ミスを指す「運転操作不適」は、周囲の状況を見落として反応が遅れたものも含まれています。
では、信号で停車中に車から追突されないために、普段から注意すべきことや対処法はどういったものになるのでしょうか。
■追突されるリスクを減らす対策方法
一般社団法人日本二輪車普及安全協会では、特に交差点での停車時は危険性が高いとし、気をつけるよう促していています。
「追突されにくい理想的な対策」としては、走行中に前方の信号が赤になり交差点で停車する際は、ブレーキランプを点灯させて後続車に意思表示をしながら、じわじわと左へ寄って左端で完全停止することです。この対策は、追突から自身を守る「安全な信号停止方法」として推奨されています。
また、バイクは「逃げ道の確保」も必要で、停車している車の真後ろにピッタリと詰めて停車する状況を避け、左右に動ける程度の間隔を空けて、後方の車の動向をミラー越しで意識しておきましょう。もし、予期せぬ出来事が起きた際は、前方や左右の路肩にあるスペースへ逃げることができる余裕を持っておくことが大切です。
さらに、高い視点で走行しているトラックは、前方や側面にいるバイクを視認しづらいです。荷物を積載していることから、制動距離がより多く必要になるため、車間を大きく空けているのですが、このスペースに無理やりバイクで割り込んでしまうと、いざというときにトラックが止まれなくなる恐れがあります。信号停車時だけでなく走行中にも追突の危険性が高くなる行為となるので避けるようにしましょう。
ほかにも、前方には、ヘッドライトの常時点灯でアピールできても、後方に対しては、視認性を上げる手段が少ないため、自身の装備に反射板や蛍光色など明るい色を用いたウェアを着ることにより「クルマからの視認性を上げる」という対策もあります。
広い視界を確保できる「広角ミラー」の使用も有効で、後方の情報を多く得ることができます。バイクは、車のように外装で守られているわけではないので、追突時の衝撃対策として、バイクに乗るときには、ヘルメットのあご紐の再確認はもちろん、プロテクター類の装備や、ウェアとして着用するタイプの「エアバックジャケット」もありますので、このようなものを活用して身を守ることも忘れないようにしましょう。
ひるがえって、バイクがクルマに追突する例もあり、警察庁の2020年データの「事故類型別」で見ると、二輪車の事故で単独事故や右折時の事故についで3番目に多いのが追突事故で、無理な車間への割り込みによるもの、すり抜け行為で追い越しをするときに、先行する車の死角となった部分に駐停車している車があり追突する事例もあります。
停車中に追突されないために、普段から対策しておくことは非常に重要ですが、自身の運転を過信せず、常に安全な運転を心掛けることも忘れないようにしておきましょう。
※ ※ ※
警視庁発表の2020年データでは、東京都内で二輪車が関係する人身事故5300件のうち、900件は追突事故となります。これは二輪車が「第1当事者」となるものも含まれた数字です。
過失の重い当事者側を「第1当事者」、過失が軽いか怪我の度合いが重い側を「第2当事者」と呼びますが、財団法人交通事故総合分析センターの調査では「二輪車の事故は7割が第2当事者」という見解を示していて、二輪車の被害の多さが伺えますが、2018年の追突事故の数には「二輪車が第1当事者」になるものも1万6328件ありました。
自身が事故の当事者にならないためにも、事故になるべく合わないための対策をすることが大切と言えるでしょう。
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