世界初採用の技術を搭載したレクサス渾身の意欲作
レクサスから新型ESが登場。いよいよ日本国内デビューとなる。国内ユーザーにはあまり馴染みがないESだが、欧米ではレクサスの中堅モデルとして1989年の初代LSと同時期に誕生しており、今モデルで7代目を数える。
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新型となったES最大の特徴はGA-Kプラットフォームを採用していることだ。これはトヨタが導入を進めるTNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチュア)の一環として開発されたプラットフォームで、昨年登場したトヨタ・カムリがすでに採用しているものだ。
そのGA-Kに2.5リッター直列4気筒エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレインを搭載。フロントにパワートレインを横置きし、前輪を駆動するレイアウトを取っている。
エンジンはロングストローク化、高効率吸気ぽーとの採用などで、燃焼の高速化を実現し、出力と燃費を両立したユニット。エンジン単体では178馬力、221N・mを発生し、120馬力、202N・mのモーターと組み合わされてシステム最高出力は218馬力に達する。
レクサスがこれまでのハイブリッドモデルのイメージを一新すると謳うシステムは、アクセルレスポンスのよさ、そしてスムースで伸びのある加速を追求したものだという。
エンジン以外にも、小型軽量化かつ20%以上も損失低減したトランスアクスル、10%のコンパクト化と20%の軽量化を果たしたパワーコントロールユニットなど、パワートレインは大きな進化を果たしている。
重量物である駆動バッテリーは、実績のあるニッケル水素を使用。GA-Kによりハイブリッドバッテリーをリヤシート下に格納することができ、広いトランクスペースとの両立が可能となったほか、低重心化も図ることができ走行性能を高めることに繋がっている。
またステアリングラック平行式の電動パワーステアリングが採用され、正確なステアリングフィールを得つつ操舵力を軽く抑え操作性にも優れるなど、実用性も向上させているという。
サスペンションはフロントがストラット、リヤがダブルウイッシュボーン方式を採用。サスペンションジオメトリーを最適化し操縦安定性を高めてもいる。
さらにショックアブソーバーにも特別なチューニングが施された。アブソーバー内のオイル流路に非着座式のバルブが設けられサスペンションストロークの極微小領域での流路抵抗を得て減衰力を発生させている。これは「スイングバルブショックアブソーバー」と名付けられた世界初の新技術で、F SPORT以外に採用だ。
そして、version L、F SPORTには前後にパフォーマンスダンパーが装備される。ボディのねじれや微振動を吸収することで、鋭いハンドリングと乗り心地も向上する。
インテリアはデザイン的にも洗練されている。レクサスが唱える人間中心の空間コンセプトに基づき、ドライバー側は適度な包み込み感を持たせドライバーオリエンテッドなコクピットとしている。一方助手席側は広さと安心感を与える落ち着きのあるデザインとなった。
センターコンソールからアームレストにかけて連続感のある上下2段分割構成のコンソールが特徴的で視覚的にも斬新だ。
先進性と視認性を両立したメーターは、ES300hとversion Lが7インチ、F SPORTが8インチのTFT液晶を採用。デジタルの要素とアナログの雰囲気が同居し、必要な情報を瞬時に得られるようなデザインとなっている。
前席シートはショルダー部分の形状を大きくしステアリング操作時の体のホールド性を高め、大型のディスプレイやスイッチ類の操作時にも姿勢変化や視点移動が少なく運転に集中しやすい環境を整えている。また、ぺダルレイアウトやステアリング傾斜角、テレスコピックやチルト機能の調整幅など、徹底した走り込みやデータ解析を得て理想的なドライビングポジションを得やすくしている。
後席の足もと広さも特筆すべき特徴だ。2870mmという長いホイールベースが活かされ、後席足もとスペースは格段に広くなり、ゆとりを持たされている。これまでESのメインマーケットであった北米や中国では広い後席を求める声が強い。グレードによっては後席にも電動リクライニング機能が設定されるなど、そうしたニーズに徹底的に対応したといえるだろう。
ちなみに、リヤシートに関しては、ES300hとF SPORTが固定式、version Lは8度の電動リクライニング機構が設定されている。加えてversion Lは、収納ボックス、エアコンやオーディオ、後席シートヒーター、リクライニング、リヤサンシェードの操作パネルが付いた、センターアームレストを装備する。
外観的にはレクサスを象徴する大きくダイナミックなスピンドルグリルが採用されているが、ラジエター前面には波紋のような連続性のある縦フィン形状のグリルメッシュを組み合わせ、新しい個性が主張されている。
3眼LEDのヘッドライト(ES300hはOP設定)もデザイン的なインパクトが与えられていると言えるだろう。3眼はロービーム、さらにその内側にはアダプティブハイビームシステムを備え、ウインカーは流れるタイプのシーケンシャルターンシグナルとなる。
そしてversion Lにオプションで初採用されるデジタルアウターミラーも、装着車の外観的特徴を未来的に感じさせている。デジタルアウターミラーはサイドミラーを廃止し、その位置に小型カメラを埋め込んだハウジングを設置している。従来型ドアミラーより圧倒的に薄く小型でシャープな印象を与える。加えて小型化されたユニットは、風切音を低減し、静粛性にも寄与するという。
その性能も注目すべきポイントだ。左右Aピラーの室内側付け根に5インチの液晶モニターが備えられ、カメラの映像が映し出される。スイッチング、もしくはリバースギヤやウインカーに連動してズームと広角化が可能で、周囲の状況を正確に映し出してくれるのだ。たとえば雨天やサイドウインドウが曇った時にもモニターカメラ機能なら安定した情報提供が可能だ。
ルームミラーもまた、version LとF SPORTにはオプションでデジタル化されたモニター方式が用意され、通常のミラーとモニター表示を簡単に切り替えることができる。
バリエーション展開的にはベースグレードの300hと上級グレードのversion Lがまず基準となるが、走り系グレードのF SPORTが設定されていることにも注目したい。
F SPORTではフロントグリルとサイドグリルに、ほかのF SPORTモデルと統一されたFメッシュパターンが採用され、一目でF SPORTとわかるように差別化が図られている。
エクステリアではそのほか、19インチの専用アルミホイールやリヤスポイラー、専用エンブレム、専用リヤバンパーロアガーニッシュ、専用ラゲッジドアガーニッシュ、専用サイドガーニッシュなどにより、スポーティな印象を抱かせる。
インテリアに目を向けると、専用のスポーツシート、専用ディンプル本革ステアリングホイール、アルミ製スポーツペダル&フットレストなどもスポーティなテイストが強調されたものだ。
サスペンションチューニングも専用に開発されている。ベースグレードと異なるのはリニアソレノイド式AVSを採用したことで、きめ細かい減衰力制御を行えるとしている。荒れた路面では細かい振動を吸収し、高速域ではダンピング特性を強めて操縦性と上質な乗り心地を実現しているのだ。
さて、新型ESの開発を指揮した榊原康裕さんによれば、GA-Kを採用したことで走行性能を飛躍的に高めることができたという。もともと榊原さんはカムリを担当していただけに、国内ユーザーの要求も理解したうえでESの高い完成度に自信を持ち国内導入を決めたのだという。
世界中のマーケットで大成功を収めているES。今SUVへのシフトが進む国内市場でどのような存在感を示していけるのか注目すべきところだろう。
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