高度成長期に売れていたクルマとは?
無観客での開催となった点をはじめ、国民の歓迎度などには大きな疑問も感じるが、何はともあれ日本では1964年以来57年振り2回目の夏季オリンピックとなる東京オリンピック2020が開幕した。現在日本で売れているクルマは軽乗用車、コンパクトカー、ミニバン、SUVが柱となっている。が、1964年は高度成長期ではあったものの、庶民がクルマを持つのは大変な時代だったこともあり、ここでは1964年に売れていたクルマをピックアップしてみた。
1964年は名車の「当たり年」だった! 東京オリンピック開催年に登場した「夢いっぱいの国産車」8選
※1964年に売れていたクルマは一部正確な統計がないこともあり、編集部独自調査に基づく
日産2代目ブルーバード&トヨタ3代目コロナ
大衆車というジャンルを開拓したサニーとカローラは1966年登場だったこともあり、1964年に販売台数トップを争っていたのはBC戦争という言葉があったように、ブルーバードとコロナである。
当時販売されていたブルーバードは1963年登場の2代目モデルとなる410型で、2代目ブルーバードは日産車初のモノコックボディの採用、SS(スポーツセダン)やブルーバードのトレードマークなった時期も長かったSSS(スリーエス、スーパースポーツセダン)の設定と話題も多かった。しかし、ピニンファリーナが担当したと言われているトランクリッドが下がったデザインが不評で、初代モデルではコロナに対しリードしていた販売面に陰りが出始めていた。
一方1964年に登場した3代目コロナは全体的にオーソドックスながら、この年に名神高速道路が開通し、クルマが100km/hでの走行に対応しなければならなくなったこともあり、名神高速道路で「10万km連続高速走行公開テスト」を行った効果などもあり、BC戦争でもリードするようになっていた。
トヨタ初代パブリカ
1961年に登場した初代パブリカは800cc前後の水平対向2気筒エンジンを搭載するなど、現在のコンパクトカーに近いポジションのモデルで、パブリカの車名はパブリックカーの略で、一般公募で決定された。 初代パブリカの初期モデルは全体的に非常にシンプルなクルマだったのが、そのシンプルさが「クルマを買うことは大きな節目」と考える人が多かった当時の日本人には、車格なども加味すると受け入れられず、販売は伸び悩んだ。そのため、1963年にメッキバンパー、ラジオやヒーターといった装備品が加わったデラックスが追加し、デラックスの追加後は販売も上向きとなった。
トヨタ2代目クラウン
1955年に初の純国産車として初代モデルが登場したクラウンは1962年登場の2代目モデルで、自動車黎明期だけに当時は技術の進歩も非常に早かったこともあり、高速道路時代に対応した6気筒エンジンの搭載など、すべてが劇的に進化した。 なお、2代目クラウンは5年間のモデルサイクルを通した販売台数が約25万台と、当時は貨幣価値などもありクラウンのポジションが現在よりずっと高かったことも考えると、クルマの種類が少なかったためもあるにせよ、現在よりも売れていることに大変驚く。
スバル360
1958年に登場したスバル360は、日本の庶民に「マイカーでの移動の自由」を提供したという意味でも偉大な存在だ。また、スバル360は当時360ccだった軽乗用車の規格で大人4人を乗せて、それなりのスピードで走れるよう、前者達成のためRR構造の採用、後者達成のためには軽量化のためモノコックボディ、アルミやFRPを使うなど、当時の自動車エンジニアにはクルマの前は航空機の仕事をしていた人も多かったこともあり、小さいながら航空機に通じる高度なメカニズムが満載された点も凄かった。
そんなクルマだけにスバル360は長年軽自動車販売のトップに君臨し、スバル360を手にした家族や若者は、夏場に4人が乗るなどすればギュウギュウ詰めで暑かったに違いないが、それでもモノだけではないいろいろ意味での豊かさが感じられ、幸福だったのではないだろうか。
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みんなのコメント
64年式と69年式の車と、69-74年を比べると、64-69の5年間の進歩は素晴らしい。
剛性感や耐候性など、一気にボデーが強くなった様に感じます。