ヒュンダイは2001年から日本での乗用車販売を開始したが、不振により2009年に乗用車部門の撤退した。それから11年。ヒュンダイの乗用車が再び、日本市場で販売されようとしている。
世界的な販売台数でみれば、2019年はフォルクスワーゲン、トヨタ、日産&三菱&ルノー連合、ホンダに続く世界第5位を誇る。しかし、日本ではその認知度は極めて低いというのが正直なところだろう。
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そのヒュンダイが11年ぶりに再参入するにあたって、先鋒として送り込もうとしているのが燃料電池車の『NEXO(ネクソ)』だ。
ヒュンダイ『ネクソ』(写真左)とトヨタ『ミライ』(写真右)。ともに燃料電池車ではあるが、カテゴリーはSUVとセダンに分かれている。その実力は!?
今回はトヨタが販売する市販FCV『MIRAI』に対して、ネクソがどのくらいの実力を持っているのか? 初代MIRAIオーナーである国沢光宏氏がチェックした!
※編集部注:韓国読みで「NEXO=ネクソ」なのだが、ヒュンダイ公式では「ネッソ」と表記を変更している。本稿ではネクソで紹介する。
※本稿は2020年10月のものです
文/国沢光宏、写真/西尾タクト
初出:『ベストカー』 2020年11月26日号
【画像ギャラリー】一体どんなクルマなのか!? 知られざる韓国FCV『NEXO(ネクソ)』の全貌を公開!!
■ウィンカー位置まで変えてきた! ヒュンダイが送り出す日本仕様車
いやいやビックリしました! ホンキで日本仕様車を作ってきましたね! さまざまな表記が完全な日本語になっているのにも驚いたけれど、なんとウインカーレバーまで右についている! 右ハンドルの右ウインカー、ニーズがあるのは日本だけですから。イギリスなどほかの右ハンドル国、ウインカーレバーが左にあってもOK。いや、日本だって多くの輸入車がイギリス仕様をベースにしてます。
2018年のCESショーで初公開されたヒュンダイのFCVで世界初の量産型FCV「ix35」の後継車
ネクソはウインカースイッチと連動し、メーター内にミラーのカメラ映像が映る
つまり、現代自動車(ヒュンダイ)は『ネクソ』という燃料電池車を日本で売るため、高額投資(右にウインカーレバー作ろうとすると常識外れのコストになる)をしたワケです。この一点をもってしても、韓国人の日本に対する複雑かつ微妙なマインドなどが見えてくる。どうやら日本人が納得するクルマ作りをすることにより、韓国車を受け入れてくれると思っているようなのだ。
多くの日本人からすれば、韓国が日本のことを徹底して嫌っているのを見て、もうどうでもいいと考えている。けれど韓国の人は日本人が韓国人の気持ちを受け入れてくれると思っている、ということです。実際、今まで何度もそうしてきましたから。日本人向けに作れば売れる、と信じている? だからこそコストを度外視して一生懸命日本仕様を作ってきたワケ。
最近の韓国を見て好ましくないと思っている私も、真摯なクルマ作りを見ると真面目に評価しようと考えます。以下、韓国車だからどうのこうの、といったフィルターなしでネクソに乗ってみた。
■MIRAIそしてクラリティに並ぶ? 注目のその走りやいかに!?
ということでシステム起動といきましょう。スタートはトヨタ『MIRAI』などと同じプッシュボタンを押す。注目すべきが起動時間。複雑なシステムを立ち上げるため、技術力ないと時間かかります。
2014年にデビューした世界初のセダン型量産FCV。間もなく2代目モデルの登場が予定されている
どうかと思っていたら、MIRAIやクラリティに勝るとも劣らないタイムラグしかない。「ほほぅ」。Dレンジはプッシュボタン式。慣れないと目で探さないと迷うが、毎日乗っていれば気にならなくなる。アクセル踏むと滑らかに走り出す。ここで国沢光宏驚く! 燃料電池を稼働させるためのポンプ音などまったく聞こえない。耳を澄ませて聞いてもわからないレベル。
MIRAIならアクセル開度少ない時でも「シュッシュッ」という音を出し、全開だと「ウォーン!」。クラリティも「キーン」というターボポンプの音を出す。ネクソはまったくの無音で走る。これ凄いです! そもそも燃料電池車を市販できる技術力はハンパない。今でもトヨタとホンダ、ヒュンダイ、ベンツだけ。相当頑張って作ったと思う。素直にリスペクトしたい。
パワー感はどうか? 車重1870kgに対しモーター出力163ps。MIRAIが1850kgの155psなので、ほぼ互角。一般道から高速道路まで乗ってみたけれど、優劣は感じなかった。アクセルレスポンスについちゃ「いい」。なぜかといえば燃料電池と組み合わせている走行用電池の出力が2倍くらい高いためだ。MIRAIのニッケル水素に対し、ネクソは55psも出すリチウムイオンを使う。
撮影日はあいにくの大雨となったのだが、2台のFCVは快調に走る。ネクソのボディカラーは一見すると黒に思えるが、実は「ダスクブルー」という濃紺に近い青系統のカラー
MIRAIを圧倒しているのが実用航続距離。満充填すると500km以上を表示する。MIRAIだと350kmくらい。クラリティでMIRAIとネクソの中間くらい。実用性を考えたら500kmくらいほしいところ。今回ふつうに走って100kmごとに水素消費量1kgといったイメージ。水素消費量もMIRAIやクラリティと同等レベルです。スタックの性能としちゃイーブンか?
ハンドリングも悪くない。SUVということで本来なら不利ながら、低重心かつ前後の重量配分がいいためだろう。ふつうのSUVと比べたらロール方向のイナーシャ(慣性)が少なく、回頭性だって良好。MIRAIにこそ届かないけれどガソリンエンジン搭載するSUVと比べたら勝ち。いずれにしろ乗っていて自然だし、燃料電池車だということを完全に忘れてしまう。
ネクソのメーターには航続可能距離、エネルギーモニター、燃費などの情報が液晶モニター上に表示。走行モード(エコ、ノーマル)に応じてカラーが変わるようになっている
インパネには7インチカラーLCDバーチャルクラスターを備える。ワイドスクリーンを活用した分割画面にはエネルギーフローなどさまざまな走行情報が表示されている
ということで100点をつけてもいいくらいだけど、惜しいのが乗り心地やワイパーなどの作動音。MIRAIの場合、開発チームのコダワリで徹底的に質感を追求した。結果、乗り心地はセンチュリーの次にいいし(今でも)、ワイパーやパワーウィンドウなどの作動音は皆無! ビビリながら作動するネクソのワイパーやドタバタする乗り心地に接すると「惜しいね!」。
また、今回比較車として持って行ったMIRAIは間もなくフルモデルチェンジする。プラットフォームがレクサス『LS』や『LC』と同じになるため質感や乗り心地は圧倒的に向上するだろう。弱点だった航続距離もネクソを凌ぎ、東京からノーチャージで大阪まで行けるらしい。新型MIRAIとネクソを比較したら、すべての点で優位に立つと思う。ネクソに加点材料を挙げるなら人気のSUVということくらいか?
2020年12月に発売される新型MIRAI。航続距離はエコランなら600kmまで伸び、東京~大阪を無充填で走れるようになる
さて、ネクソをどう評価したらいいだろう。クルマ作りは「よく頑張った!」と大いに褒められる。日本仕様を作るにあたってできることはすべてやってきた。驚くことに日本での型式指定も取得ずみ。いつ発売してもおかしくない。だったら売れるか? 0.1秒も考えず「売れない」と思う。日本における韓国のイメージ、悪すぎます。今のままだと少数売れてオシマイかと。
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みんなのコメント
悪口でもコメントが多かったのに、段々少なく
なってきてるんだから、いい加減飽きられてる
ことに気付いても良さそうだけど。