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新型BMW 7シリーズの“凄さ”とは? 革新技術に迫る!

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新型BMW 7シリーズの“凄さ”とは? 革新技術に迫る!

新型BMW7シリーズが採用する最新技術を世良耕太が徹底解説する。

巻線界磁型モーターの採用

2桁ナンバー物語 Vol.13 大宮33の日産スカイラインGT-R(後編)

第7世代となる新しいBMW 7シリーズがデビューした。BMWのフラッグシップモデルであり、最上級ラグジュアリーセダンである。BMWのオリバー・ジプス取締役会会長はプレゼンテーションで、「現在持ちうる技術をすべて投入した」と説明している。気になるポイントについて見ていこう。

本国での発表にともない、日本でもファーストエディションの予約が始まっている。前後に搭載するモーターの最高出力が400kWに達し、101.7kWhのユーザブルエナジーから590~625km(WLTPモード)の一充電走行距離を提供する電気自動車(BEV)がトップグレードの位置づけ。ほかに、3.0リッター直列6気筒ターボのガソリンエンジンを搭載するモデルもラインアップする。

国内のTHE FIRST EDITIONには設定されていないが、新型7シリーズ自体は、大容量のバッテリー(18.7kWh)と高出力(145kW)のモーターを組み合わせたプラグイン・ハイブリッド仕様(PEHV)にくわえ、4.4リッターV8ターボのガソリンエンジンを積んだ仕様、さらに、3.0リッター直列6気筒ディーゼルエンジンを搭載する仕様も用意する。ガソリン/ディーゼルとも48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載し、8速ATを組み合わせる。

発表されているボア、ストロークの数値を見る限り、既存エンジンのアップデート版と想像できる。

ひとつだけ技術的に気になる点があるとすれば、BEVの「i7」が採用するモーターだろうか。ローターに永久磁石を埋め込んだ永久磁石型モーターを用いるのが一般的であるが、i7は磁石を用いない巻線界磁型モーターを使う。

BMWは「レアメタルの使用を避けるため」と説明しているが、日産がBEVの「アリア」で巻線界磁型を採用したように、低速域での静粛性の高さを歓迎したことも採用の背景にあるのでは? と、想像したくなる。

プライベートシネマラウンジ

ジプス会長が「後部座席に乗り込むのは未来に飛び込む気分」と、説明するように、新型7シリーズの最大のハイライトは後席のホスピタリティだ。

BMWシアタースクリーンを起動すると、天井に格納されたAmazon Fire TV 搭載の31.3インチ高精細タッチディスプレイが後席乗員の目の前にセットされる。

同時に、後席左右のサンシェードが自動的に立ち上がり、室内の照明は映像を鑑賞するのに最適な明るさに調整される。

スピーカーは後席ヘッドレストへの埋め込みを含め、最大36個。シーンに合わせてシートバックを振動させる「4Dダイヤモンドサラウンド」でお気に入りの映像を楽しむことが可能だ。

新型7シリーズは、後席が「プライベートシネマラウンジ」に早変わりするのが特徴だ。エンターテインメント系の操作は、ドアグリップ部に埋め込んだ5.5インチタッチディスプレイで操作する(エアコンやシート、アンビエントライトなどの調整も可能)。5Gの通信機を車載しているため、ストレスなくストリーミング再生が楽しめるだろう。

前席の乗員も、ステアリングホイールの奥にある12.3インチのディスプレイと連続した格好で配置された14.9インチのBMWカーブド・ディスプレイで、(停車中に)YouTubeのビデオストリーミングを楽しむことが可能だ。i7なら外出先での充電時間を有効に使う手段になる。

コクピットは「shy tech」の考え方に基づき、物理スイッチを極力廃したコンセプトとしている。ダッシュボード下端を左右に結ぶBMWインタラクションバーも新型7シリーズの特徴で、エアコン操作系と多彩なイルミネーションを統合しており、空調ルーバーを目立たないようにする機能も備えている。

技術でも機能でもなく完全にデザインの範ちゅうだが、ステアリングは2本スポークだ。

2020年に国内で発売されたホンダeといい、いよいよ本格的なデリバリーが始まる日産アリアといい、BEVはなぜ(7シリーズの場合はエンジン仕様もだが)2本スポークのステアリングを採用したがるのだろうか。

至極のおもてなし

クルマに乗り込むときのきらびやかなおもてなしは、さすがフラッグシップという印象である。BMWは「グレート・エントランス・モーメント」と呼んでいる。

クルマの3m以内に近づくと、キドニーグリル全体がLEDによって発光する光の演出を含め、エクステリアおよびインテリアに設置した数々の照明による演出でドライバーを出迎える。BMWクリスタル・ヘッドライトはまさにクリスタルのようにきらめくし、前後ドアの脇に照射するカーペット状の光は、陽光を反射する湖面のように揺らめく。

ドライバーが1.5m以内に近づくと、ドアが自動的にアンロックされるだけでなく、自動的に開く(自動で閉めることも可能)。同時に、BMWカーブド・ディスプレイにスタートアップアニメーションが映し出され、音の演出もスタートする。これでもかというもてなしの演出で、クルマに乗り込む行為がエンターテインメントになる。

ドアが自動で開閉する機能は、安全性の向上にも寄与する。車内からドアを開けようとしたとき、車載センサーで後方から接近するクルマや自転車を検知すると、ドアミラーやアンビエントライト、BMWインタラクションバーの点滅で乗員に警告する。このあとが新型BMW7シリーズの特徴で、ドアが開かないようブロックする。事故を未然に防ぐわけだ。

各国の法規に左右されるので国内仕様にどこまで適用されるか不透明であるが、技術的にはレベル3の自動運転が可能(限られた条件ではステアリングからのハンズオフが可能)。国内仕様はドライビング・アシスト・プロフェッショナルの設定があるので、高速道路の同一車線上で、車速と車間距離維持のための加減速と、走行レーン維持のための操舵アシストをシステムが自動でおこなう。システム上は210km/hまで対応が可能だ。

車内あるいは車外からスマホアプリなどを利用して駐車をアシストする技術も設定している。運転支援系技術に関しては「BMW史上最多」の機能を搭載するというが、このあたりは国産メーカーの進化が著しく(トヨタの「ノア/ヴォクシー」が代表例)、一歩先を行っているというより、最新のトレンドに追いついた印象だ。目を引くのはやはり、未来に飛び込む気分を味わえる、後席のホスピタリティだろう。

文・世良耕太

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