現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 出会った瞬間に恋に落ちる? 激戦区の輸入コンパクトSUV界で抜群の可愛らしさを発揮/フィアット500X実践試乗レポート

ここから本文です

出会った瞬間に恋に落ちる? 激戦区の輸入コンパクトSUV界で抜群の可愛らしさを発揮/フィアット500X実践試乗レポート

掲載 更新 3
出会った瞬間に恋に落ちる? 激戦区の輸入コンパクトSUV界で抜群の可愛らしさを発揮/フィアット500X実践試乗レポート

 話題の新車や最新技術を体験&試乗する『オートスポーツWEB的、実践インプレッション』企画。お届けするのは、クルマの好事家、モータージャーナリストの佐野弘宗さん。

 第8回は、“チンクエチェント”の愛称で日本でもファンの多いフィアット500シリーズから、5ドアクロスオーバーSUVの『フィアット500X』を取り上げます。

マルキオンネ直轄の極秘プロジェクト? 独特の美学で中高年マニアを刺激する/アルファロメオ・ステルヴィオ実践試乗レポート

 フィアット500Xは2015年秋に初めて日本へ導入され、2019年4月にはマイナーチェンジを実施。エクステリアの意匠変更と、新世代エンジンを搭載するなど、大きく進化しています。出会った瞬間に恋に落ちてしまいそうな、独特の魅力を持つ500Xの全貌に迫ります。

* * * * * * * *

 フィアットの日本向けウェブサイトを見ると、現在販売中の4車種のうち3車種が『500』を名乗っている。その3車種とは、3ドアハッチバックである素の『500』、そのオープン版の『500C』、そして今回取り上げる5ドアクロスオーバーSUVの『500X』である。

 残る1車種はパンダで、いま正規輸入されている非500のフィアットはパンダだけなのだ。

 フィアットのこうした“500依存?”の状態は、日本だけの話ではない。イタリア本国のウェブサイトでも、今やフィアットの乗用車ラインアップ7車種のうち5車種の車名に『500』が付くのだ。

 具体的には、前記3車種に加えて、5ドアワゴンの『500L』、そして2021年発売予定の電気自動車『500e』という5車種。ちなみに、あとの2車種はパンダと日本未発売のティーポで、日本のマツダが供給していた124スパイダーはすでに販売を終了した。

 このなかで、新しい500eは完全な電気自動車専用設計であることが大きな特徴だ。その500eが発売されても、エンジンを搭載する従来型500はマイルドハイブリッド化などの改良も加えられつつ「需要があるかぎりは」併売されるのだという。

 そして、日本未導入の500Lの骨格設計は旧グランデプント由来プラットフォームで素の500とは異なり、500Xのそれとも違う。

 つまり、同じように『フィアット500~』を名乗っていても、素の500/500C、500X、500L、そして新型500e……と、それぞれの骨格設計は別物といってよく、基本ハードウェアは4パターンにのぼるわけだ。『フィアット500』とはもはや、特定のクルマの車名というよりブランド名と化している。

 そんななかでも、500Xはもっとも立派なボディサイズをもち、よって実用性や居住性がもっとも高いフィアット500ということになる。

 500Xは同じグループ内のジープ・レネゲードと同時開発された兄弟車であり、基本構造や主要メカニズムを共用する。その世界デビューは2014年秋で、現在販売されているのは2019年春に発売されたマイナーチェンジモデルだ。

■ワインディングで本領発揮!好事家を唸らせる500Xの走り

 2019年春のマイナーチェンジでは内外装のアップデートも実施されている。外観も主要大物部品の変更はごくわずかなのだが、灯火類がことごとくLED化されたことで、いかにも今っぽい雰囲気になった。

 また、内装の樹脂シボも以前よりツヤが落ち着いた素材になったようで、わずかながらも高級感を増した。

 ただ、マイナーチェンジの主眼はエンジンだ。日本でも販売されるガソリンが“ファイアフライ”という愛称の新世代エンジンに切り替えられたのだ。

 日本未導入のディーゼルも最新世代の“マルチジェット”に集約された。同時に4WDが選べなくなったが、これは日本仕様にかぎったことではなく、今は欧州でもFFのみだ(兄弟車のレネゲードには今も4WDがある)。

 新世代ファイアフライエンジンは、吸気バルブのリフト量と開閉タイミングを自在にコントロール(してスロットルを制御)する自慢の独自メカニズムの最新版“マルチエア3”を使う。

 そのうえで、0.33リッターのシリンダーレシオをモジュール化した設計となっており、3気筒(1リッター)ターボと4気筒(1.3リッター強)ターボを使い分ける。日本仕様の500Xは4気筒のみなのだが、欧州では3気筒の500Xもある。

 この4気筒ファイアフライは従来より排気量は縮小(マイナーチェンジ前のマルチエアは1.4リッターターボ)したが、ピーク性能は逆に向上しており、絶対的な動力性能に不足はない。それに組み合わせられる6速ツインクラッチ変速機も、それ単体の作動感は以前より滑らかになった感はある。

 ただ、最新の過給エンジンとしては低速トルクが意外に薄く、ある回転数からグイっとトルクが立ち上がる印象で、低速で加減速を繰り返すような都市部の走りでは、少しばかりたどたどしいのは否めない。

 こういうエンジン特性には柔軟性のあるトルクコンバーターATのほうがマッチングがいいケースが多く、ツインクラッチ特有のキレの良さが逆効果だったりもするのだ。

 こうした走るシーンを選びたがるクセはシャシー方面にも少しある。市街地をゆっくりとしたスピードで這いずるような場面では、500Xの乗り心地はけっこう明確に硬い。

 フロアを中心としたボディ剛性感は印象的なほど高いので、好事家のみなさんなら不快感は抱かないと思う。数あるなかでももっとも立派で大人っぽく、家族づかいも想定したフィアット500……という位置づけを考えると、もう少し快適であってほしいとは思う。

 そのかわり、ワインデングモードに乗り入れて、シフトレバーをマニュアルモードにしてエンジンを積極的に高回転まで引っ張り、ブレーキやステアリングを積極的に操るような走り方をすると、パワートレインやシャシーに明確に血が通い出すような感覚があるのが面白い。

 そうやって、クルマにカツを入れるような運転を心がけると、500Xの嬉々として回るエンジンはなんとも心地よく、それを引き出すツインクラッチのキレ味もありがたい。そして、スピードが増すほど乗り心地が良くフットワークも活きるというものだ。

■フィアット500X CROSS諸元
車体全長×全幅×全高4280mm×1795mm×1610mmホイールベース2570mm車両重量1440kg乗車定員5名駆動方式FFトランスミッション6速DCTタイヤサイズ 215/55R17エンジン種類直列4気筒インタークーラー付ターボ総排気量1331cc最高出力111kW(151ps)/5500rpm最大トルク270Nm(27.5kgm)/1850rpm使用燃料/タンク容量プレミアムガソリン/48L車両本体価格341万円

■Profile 佐野弘宗 Hiromune Sano
1968年生まれ。モータージャーナリストとして多数の雑誌、Webに寄稿。国産の新型車の取材現場には必ず?見かける貪欲なレポーター。大のテレビ好きで、女性アイドルとお笑い番組がお気に入り。

こんな記事も読まれています

大型・中型車もAT限定免許、「物流の2024年問題」で警察庁が導入検討[新聞ウォッチ]
大型・中型車もAT限定免許、「物流の2024年問題」で警察庁が導入検討[新聞ウォッチ]
レスポンス
ビッグモーターで「50台以上」が盗難被害に!? 「自作自演?」の声あるが…真相は? 元関係者語る実態とは
ビッグモーターで「50台以上」が盗難被害に!? 「自作自演?」の声あるが…真相は? 元関係者語る実態とは
くるまのニュース
春だね! 桜が描かれた原付ご当地ナンバー
春だね! 桜が描かれた原付ご当地ナンバー
バイクのニュース
アウディの新型電動SUV『Q6 e-tron』にロング版「L」…北京モーターショー2024で発表へ
アウディの新型電動SUV『Q6 e-tron』にロング版「L」…北京モーターショー2024で発表へ
レスポンス
[新型ランドクルーザー250モデリスタ]今回はオフロード感マシマシで「オプカン」ホワイトレターも!! お馴染みのLEDも付いちゃうゾ
[新型ランドクルーザー250モデリスタ]今回はオフロード感マシマシで「オプカン」ホワイトレターも!! お馴染みのLEDも付いちゃうゾ
ベストカーWeb
街で見かけるダイハツ車たちがサーキットを攻める!「D-SPORT & DAIHATSU Challenge Cup 2024」に密着してみた
街で見かけるダイハツ車たちがサーキットを攻める!「D-SPORT & DAIHATSU Challenge Cup 2024」に密着してみた
くるまのニュース
[新型ランドクルーザー250内装解説]12.3インチの巨大モニターもいいけど8インチで十分じゃね??  スイッチとかめっちゃ使いやすいやん絶対
[新型ランドクルーザー250内装解説]12.3インチの巨大モニターもいいけど8インチで十分じゃね??  スイッチとかめっちゃ使いやすいやん絶対
ベストカーWeb
「メーカー公認」で丸目換装!! ランクル250の激推しオプションを見逃すな なぜか不遇の「GX」も泣けるぞ
「メーカー公認」で丸目換装!! ランクル250の激推しオプションを見逃すな なぜか不遇の「GX」も泣けるぞ
ベストカーWeb
ホンダ新型「オシャレ軽商用バン」発売! エレガントな進化に早くも反響!? 130万円台で買える改良「N-VAN」が登場
ホンダ新型「オシャレ軽商用バン」発売! エレガントな進化に早くも反響!? 130万円台で買える改良「N-VAN」が登場
くるまのニュース
ヤマハの電アシ「PAS Brace」 日常使いしやすいスポーティコミューターの2024年モデルを発売
ヤマハの電アシ「PAS Brace」 日常使いしやすいスポーティコミューターの2024年モデルを発売
バイクのニュース
JSR、産業革新投資機構によるTOBが成立 2024年夏にも上場廃止
JSR、産業革新投資機構によるTOBが成立 2024年夏にも上場廃止
日刊自動車新聞
ゲレヴァー好きですか?レストアされたレアなオフローダー「メルセデス 300 GD」で冒険の旅へ、150万キロ感動の物語
ゲレヴァー好きですか?レストアされたレアなオフローダー「メルセデス 300 GD」で冒険の旅へ、150万キロ感動の物語
AutoBild Japan
アルピーヌF1、中国GPで新"軽量版"シャシー投入&フロアアップデートも実施……最下位脱出に向け奮闘中
アルピーヌF1、中国GPで新"軽量版"シャシー投入&フロアアップデートも実施……最下位脱出に向け奮闘中
motorsport.com 日本版
【最新スーパースポーツ試乗】世界限定2500台、オフロードも走れるポルシェ911ダカールのオールラウンド性能
【最新スーパースポーツ試乗】世界限定2500台、オフロードも走れるポルシェ911ダカールのオールラウンド性能
カー・アンド・ドライバー
渋滞へトラックが「ノーブレーキ突入」衝撃の映像!? NEXCO緊急の注意喚起が話題に「運転の上手い人はこんなことしません!」
渋滞へトラックが「ノーブレーキ突入」衝撃の映像!? NEXCO緊急の注意喚起が話題に「運転の上手い人はこんなことしません!」
くるまのニュース
ついにランクル250正式発表520万円から!! 争奪戦必至もやっぱり欲しいーー今日ランクルに新たな歴史が始まる
ついにランクル250正式発表520万円から!! 争奪戦必至もやっぱり欲しいーー今日ランクルに新たな歴史が始まる
ベストカーWeb
MINIの小型電動クロスオーバー『エースマン』がデビューへ…北京モーターショー2024
MINIの小型電動クロスオーバー『エースマン』がデビューへ…北京モーターショー2024
レスポンス
バイク「満タン航続距離ランキングトップ10 2024】10位でも500kmは余裕、1位は600kmオーバー!125から大型車までの大混戦に
バイク「満タン航続距離ランキングトップ10 2024】10位でも500kmは余裕、1位は600kmオーバー!125から大型車までの大混戦に
モーサイ

みんなのコメント

3件
  • 500Xかわいいのかなあ?500はまあそう思うけど
  • このクルマもモデル末期だよねえ、、

    そろそろニューモデル出してくださいよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

412.0435.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

60.0465.7万円

中古車を検索
500Xの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

412.0435.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

60.0465.7万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村