解消し切れない受注残 今後は?
執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)
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部品の供給状況を検分しながら生産ラインや受注の調整を進めている日本の自動車メーカー。2023年3月の国内新車販売市場は、その効果が数値となって表れた。
登録車の3月の新車販売台数は、前年同月比15.7%増の37万8557台と、3か月連続でのプラス。
軽自動車の新車販売台数は、同4.5%増の19万3937台と、7か月連続でのプラスとなる。
結果として、トータルでの3月の国内新車販売台数は、同11.6%増の57万2494台と、7か月連続での前年実績超えを成し遂げた(自販連/全軽自協の速報値)。
3月の新車販売の動向に関して業界団体の関係者は、「前年3月の新車販売台数が51万2862台と低調だったこともあって、本年3月は“10%超えのプラス”を成し遂げた。ただし、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年3月の64万811台にはまだ及んでいない。部品の供給不安定による生産調整の影響は縮小したものの、受注残を解消し切れない状況が続いている」と解説する。
今後については、「需要は新型車を中心に堅調で、さらに新年度に向けて多くの受注を獲得しそうな新型車や特別仕様車が各ブランドから今後も発売される予定。また、前年同期の販売台数が低調に推移していたことから、来月以降もプラスを記録する可能性が高い」。
さらに、「部品供給が依然として不安定なため、生産調整は今後も一部で発生する見込みだが、サプライチェーンの状況は確実に改善している。各ブランドが“代替部品への切り替え”など、様々な対策を実施していることも、受注残の解消につながるだろう。一方で不安材料としては、依然として続く部品の供給不安定や原材料価格の高止まりなどが挙げられる。車両価格のアップや政府の増税施策なども、消費者心理にとってはマイナス要因」と示唆した。
パーツ供給不安に明暗 ブランド別の数値
登録車の3月のブランド別新車販売台数では、部品の調達不足の影響が出た日産が前年同月比4.6%減(3万6503台)、ホンダが同4.6%減(3万2706台)、スバルが同8.9%減(1万373台)、三菱自が同3.1%減(6262台)と、4社が前年実績割れを記録。
一方、トヨタは同22.7%増(19万2058台)、マツダは同9.6%増(2万950台)、スズキは同33.4%増(1万4632台)、レクサスは同204.9%増(1万2329台)、ダイハツは同4.2%増(4432台)と、前年実績超えを成し遂げた。
また貨物車のブランドは、エンジン性能試験の不正問題の影響が残る日野が同28.2%減(4998台)と停滞したものの、いすゞは同102.0%増(9324台)、三菱ふそうは同44.6%増(4133台)、UDトラックスは同12.0%増(1240台)とプラスを達成した。
軽自動車の3月のブランド別新車販売台数は、前年同月比20.1%増の6万3080台を売り上げたダイハツが、7か月連続でのシェアトップに位置。
競合するスズキは同0.7%減(5万3318台)と、1万台近い差で第2位に甘んじた。
また、ホンダは同0.4%増(3万9391台)とプラスを回復。対して日産は同8.7%減(2万3812台)とマイナスに転じ、三菱自は同7.4%増(5634台)とプラスを維持する。
一方、OEM供給を受けるブランドでは、トヨタが同8.3%増(3430台)と前年実績超えを果たしたものの、マツダは同7.5%減(3271台)、スバルは同5.1%減(1977台)と低迷した。
なお、2022年度(2022年4月~2023年3月)の新車販売台数は、登録車が前年度比1.2%増(269万2960台)と6年ぶりのプラス、軽自動車が同8.9%増(169万2689台)と4年ぶりのプラス。
トータルで同4.0%増(438万5649台)と4年ぶりに前年度実績を超えたものの、3年連続で500万台割れに落ち込んだ。
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