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マクラーレン GTでロードトリップ! ミッドシップのGTでラグジュアリーな旅を味わう

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マクラーレン GTでロードトリップ! ミッドシップのGTでラグジュアリーな旅を味わう

McLaren GT

マクラーレン GT

マクラーレン GTでロードトリップ! ミッドシップのGTでラグジュアリーな旅を味わう

福岡からスタートし、別府温泉を目指す

数ある自動車メーカーでもマクラーレンほど硬派なブランドはない。ひと昔前であれば、けっして珍しくはなかったが、今や世界で唯一のスーパースポーツカー専門に高性能モデルをリリースし、しかも順調に販売台数を伸ばしているから、もはや驚異的とも言える。実際、いま多くの自動車メーカーの屋台骨を支えているのは、紛れもなくSUV。スポーツカーを造り続けるためにSUVをラインナップに加えているのがプレミアムブランドの常識となっている昨今において、マクラーレンはスポーツカー1本で勝負をかけている。

そんな姿勢は、やはりニューモデルのコンセプトにも色濃く出ている。中でも新作「マクラーレン GT」がデビューした際は、個人的に驚異を覚えた。何故ならミッドシップでGTを名乗る世界初のグランドツアラーだからである。無論、同時に疑問も生まれる。確かにこのGTがデビューする前に、アルティメット・シリーズの新作としてグランドツアラーというコンセプトをもってスピードテールを発表してはいたが、それはあくまでもスペシャルモデル。まさかレギュラーラインナップにまでGTを用意するとは思ってもみなかったというのが本音だ。

そんなマクラーレン GTに対する好奇心は、日々自分の中で大きくなり、興味を超えた感情を抱くようになったその矢先、ようやくそのステアリングを握る日に恵まれた。そして、試乗するならコンセプトに従ってグランドツーリングを実行すべき!と思い、正規ディーラーのマクラーレン福岡からスタートし、目的地を大分県別府に位置するANAインターコンチネンタルホテル別府リゾート&スパに設定。欧州のラグジュアリーホテルに引けを取らないほどの充実した設備と日本ならではの温泉が楽しめるということで、マクラーレン GTをつかったライフスタイルを具現化することに決めた。

低速域でも扱いやすいスーパーGT

とはいえ、当日はあいにくの雨。しかもそれなりの雨量となって襲いかかった。今回が初乗りとなるマクラーレン GTを相手に、大雨とは何とも運がない。日頃の行いがわるいのか、同行していたカメラマンの運がないのか分からないが、逆手に取って前向きに考え直し、この雨だからこそGTの本質も分かるだろうと心を切り替え、スタートすることとなった。

相変わらずなのか、以前来たときにも増して福岡市内は雨の影響かペースがまだら。ゴー&ストップも多く、スタートしても思うように進まない。しかし、そんな中でもマクラーレン GTは、ミッドシップカーとは思えないほどマナーの良さを実感させる。ブレーキタッチの感触は他のマクラーレンとはやや異なり、乗員へ配慮するかのように優しさすら思わせるほど。スーパースポーツモデルであれば、ガツン!と効くことに期待するが、このマクラーレン GTの場合、カーボンセラミックではなく、意図的に鋳鉄製のディスクを採用することで、不快感のないフィールを実現しているから、むしろ有り難い。

しかも、低速域での扱いやすさも際立つ。ミッドに積まれるV型8気筒ツインターボエンジンは、スーパーシリーズの720S等と同様の4リッター仕様を搭載、パワー&トルクは抑えられるものの、それでも620ps&630Nmを発揮する。低慣性のターボチャージャーを使用することで柔軟性に富んだトルク重視型としているだけあり、フレキシブルさを持ち合わせ、わずかなアクセルにも心地よく反応し、微速でもスムーズに動く。

また、吸排気システムのいずれも新設計したうえ、サージタンクの高さを抑えることで、エンジン上部には420リットルものラゲッジスペースを確保しているのも特筆すべき点だ。これこそGTを名乗る条件のひとつと言えるが、その気になればゴルフバッグの搭載のほか、185cmのスキー板を2セット詰めるというから恐れ入る。ミッドシップなのに・・・という先入観だけで判断してはいけないが、これを実現したマクラーレンのデザイナーとエンジニアに敬意を評したいほど、このスペースは乗り手にとって嬉しい限り。ましてやフロントには150リットルのスペースも用意されているから、躊躇なく旅立てる。こうしてミッドシップカーで旅できることに、あらためて喜びを感じてしまった。

カーボンモノコックとは思えない快適性

そして、高速道に乗ると今度はマクラーレンの真骨頂とも言えるカーボンモノコックと足まわりのセッティングに実にGTらしい真髄を確認することになった。軽量化が図られたアルミニウム製のダブルウイッシュボーンに油圧式ダンパーを組み合わせ、最適制御理論ソフトウェア=アルゴリズムにより、路面状況を先読みして、わずか2ミリ秒で対応するその乗り心地は、常に快適かつフラット。カーボンモノコックの振動をも抑え込むことに成功しているほどで、720Sよりもさらに快適性が高くなっていることに深い感銘を受けた。特にこの日の雨は目的地に近づけば近づくほど雨足が強くなり、路面のアンジュレーションや繋ぎ目など、特にヒヤッとすることがあるくらいだったが、そんな中でもGTの足まわりは、インフォメーション性に優れているうえで、的確な減衰を見せてくれた。

エンジンも、ふつうに流しているぶんには620psすら思わせないほど、ジェントルな仕立てで、たとえ晴れていたとしても、さほど飛ばしたくなるフィールではないのも見事。低中回転域におけるトルク特性は、いつでも加速体制に入れるほどのフレキシビリティをもつ一方で、けっしてドライバーを急き立てるようなこともしない、実に巧みな調教され具合も感心するところだ。

優雅なドライブを促すフィーリング

こうして流していると、本当にミッドシップなのか?と疑いたくなるほど快適でマナーが良いから、時間の経過すら忘れてしまう。そう思いながら気づけば随分と距離を伸ばしていた。別府の温泉街を目指す前に、撮影ポイントとして由布岳とやまなみハイウェイを通ることにしていたが、残念なことにここに到着する頃には完全な豪雨に・・・。これほど酷い雨は久々と思えるほど強い降り方のため、撮影は断念せざるをえなかった(本当にくやしい!)。同時にあの絶景を見ることも出来ないから、悔しさだけが込み上げてくるばかり。せっかく、別府まで来たのに・・・と愚痴をこぼしながらワインディングを走っていると、GTを名乗るとはいえ、さすがにミッドシップの恩恵を感じることになった。

豪雨ということもあり、それほどアクセルは開けられなかったものの、この大雨のおかげで挙動やクセがわかりやすかったから、むしろ収穫だったのかもしれない。GTのコーナリングは、まさにミッドシップのそれだが、クイック過ぎない適量のハンドリングに設定しているのが特に印象的。ドライバーを軸にして回り込むような感覚も尖すぎず、なぜか不思議と落ち着いたドライビングに終始するため、ワインディングを優雅に流せる。こうしたところはマクラーレンならではだろう。まさにGTである。もちろん、スポーツモードに切り替えればその名に準ずるように、刺激的なフィールで楽しませてくれるが、それでも基本的には安定志向。さすがに豪雨の中ではトラックモードまで試せなかったものの、挙動も含めてその動きは、敢えて過激さを抑え込み、適度な刺激でドライバーと対話をするような仕上がりにしている。それが実に上手い! まさに丁度いい塩梅で、GTというコンセプトをマクラーレン流の解釈で造り上げている。

こうしてGTに魅了されながら、目的地のANAインターコンチネンタルホテル別府リゾート&スパに到着。美しく仕上げられたエントランスにマクラーレンGTをつけ、特別に許可を頂き撮影をはじめると、そのデザインの表現力にあらためて気付かされる。デザイン・ディレクターのロブ・メルヴィルに、実に良い仕事をしたと褒めてやりたいほどだ。スポーティというよりもエレガント、パワフルというよりも余裕、そしてラグジュアリーらしい優雅さをエクステリアで表現している。だからこうした場にも相応しい。そんなミッドシップカーが他にあるだろうか。少なくとも私は知らない。まさに唯一無二の存在だろう。イタリアの跳ね馬や猛牛が嫉妬するほどの出来栄えだ。アンダーステイトメント=控えめの美学を理解するイギリス人だから成せるセンスが活きていると思い知らされた次第である。

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)

PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

マクラーレン GT

ボディサイズ:全長4683 全幅2045 全高1213mm

ホイールベース:2675mm

トレッド:前1671 後1663mm

乾燥重量:1466kg

車両重量:1530kg(DIN)

前後重量配分:42.5:57.5

ラゲッジ容量:前150 後420リットル

エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ

総排気量:3994cc

最高出力:456kW(620ps)/7500rpm

最大トルク:630Nm/5500~6500rpm

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:RWD

ステアリング:電動油圧パワーステアリング

サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

ローター径:前367 後354mm

キャリパー:前後4ピストン

タイヤサイズ(リム幅):前225/35R20(8J) 後295/30R21(10.5J)

最高速度:326km/h

0 – 100km/h加速:3.2秒

0 – 200km/h加速:9.0秒

燃料消費(WLTP/複合):11.9km/L

CO2排出量(WLTP):270g/km

車両本体価格:2645万円(消費税10%含む)

【問い合わせ先】

マクラーレン福岡

TEL 092-611-8899

【撮影協力】

ANAインターコンチネンタルホテル別府リゾート&スパ

TEL 0977-66-1000(ホテル代表電話)

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