アストンマーチンは、F1第6戦スペインGPに向けてAMR22に大規模な空力アップデートを投入。ただ、その”Bスペック”マシンのデザインがレッドブルのRB18に酷似しているとして、大きな話題を呼んでいる。
2台の類似性を受け、FIAはアストンマーチンの開発プロセスを調査。結果として、ライバルチームの情報を利用してパーツを制作することを禁止するテクニカルレギュレーションには抵触しないと判断。その合法性が認められた。
■アストンマーチンが投入したレッドブルの”クローンマシン”。レギュレーションでコピーはどこまで許されている?
しかし、レッドブルはこれに反発。レッドブルからアストンマーチンに人材が流れた際に、データの一部が流出した可能性があると懸念を示し、この話題が徐々にきな臭くなりつつある。
アストンマーチンはチーム戦略の一環として、ライバルチームから多くのスタッフを集めている。レッドブルからは元空力チーフのダン・ファローズをヘッドハンティングし、チームのテクニカルディレクターに任命した。
レッドブルでモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、知的財産(IP)が正しくない形でアストンマーチンに移転された可能性を示唆した。
「ダン・ファローズだけの問題ではない」
マルコはSky Germanyに対してそう語った。
「データがダウンロードされた証拠がある。ダン・ファローズは、ガーデニング休暇中だった」
「彼の頭の中にあるモノ……模倣することは(開発)プロセスでは禁止されていない。しかし資料もなしにあんな詳細なコピーができるモノだろうか?」
マルコがそう語る一方で、疑いの目を向けられたアストンマーチンのチーフテクニカルオフィサーを務めるアンディ・グリーンは、その考えを一蹴した。
彼のチームは現行バージョンのRB18がバーレーンテストに登場する前から、この空力コンセプトの開発を始めていた語った。どうやら、その類似性は偶然だと考えているようだ。
「レッドブルが言っているような非難の理由が、私には分からない」とグリーンは言う。
「私が言えるのは、我々はどのチームからも、誰からもデータを受け取ったことはないということだ」
「FIAが来て徹底的な調査が行なわれた。このマシンの経歴に繋がる全てのデータが検証され、関係者全員が聞き取りを行なった。その結果、完全に独自の開発だったと結論が出された」
「スタッフがどうのこうのということではないのだ。このマシンは去年の半ばから、(Aスペックの)ローンチマシンと並行して構想されていた。レッドブルの人間が現れる前に大半(のアイデア)が発見されている。だからあの非難は完全に的外れなのだ」
グリーンは、FIAが合法性を確認してもなお、レッドブルが疑いの目を向けていることに不満を抱いている。
「失望している。特にFIAがこのマシンに関しての声明を行なったという事実があるからね」とグリーンは続ける。
「彼ら(FIA)が来て、合法かつ独自に行なわれたことだと宣言したのだ。レギュレーションにより、彼らは全てのデータを見ることができ、我々だけでなく全てのチームにおいて判断を下せる唯一の存在だ。私としては、あれでお終いなのだ」
グリーンが述べた通り、アストンマーチンは開幕に先駆けて2台のマシンコンセプトを並行して開発してきた。ひとつが開幕前に発表し、第5戦までを走ってきたAスペック、もうひとつが第6戦で投入されたBスペックだ。
「今ここにあるマシンの開発(プロセス)を見てみれば、我々がどのチームにも会ってない昨年の終わり頃には、全てが現実のモノになっていたことが分かるだろう」とグリーンは言う。
「我々は2足のわらじを履いていたのだ。レッドブルが同じようなコンセプトを打ち出したときは、衝撃だったし驚かされた。しかしあの時、我々は2つの道のうち、間違った方向に進んでいたのだと強く確信したのだ。そう確認ができたのだと思う」
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