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“脱ディーゼル”化への一歩~ボルボXC60B5AWD試乗記

掲載 更新 3
“脱ディーゼル”化への一歩~ボルボXC60B5AWD試乗記

ボルボの新しいマイルドハイブリッドシステムを搭載した「XC60B5AWD」に乗って、小川フミオがエコランに挑戦した。驚きの燃費性能とは。

“B5”とは?

官能と軽快が融合する、自然吸気&後輪駆動という絶滅危惧種

ボルボのニューモデルが、「XC60B5AWD」だ。モデルの試乗リポートは既報のとおり。燃費効率がセリングポイントという。では、実際に燃費はいいのだろうか? 東京から福島まで走っての”エコラン”で、ホントのところをチェックしてみた。

いまボルボ好きが、巷間増えているようだ。なかでもディーゼルモデルが好まれているそうで、それはボディサイズとの相性を考えてだろう。低回転域で力を出すので、ディーゼルは燃費の面でも有利である。

とはいえ、ボルボ新世代のXC60B5AWD(以下B5)は、環境の面から“脱ディーゼル”をかかげる同社が、肝煎りで開発したガソリン・ハイブリッド・システムが表看板である。

ボルボが好きなひとは、スタイリッシュな外観、洒落た内装、それに賢いエンジニアリングなどに魅力を感じているはず。ドイツ車ではない、というのも、意外に大きな選択理由だろう。ドイツ車ではないが、匹敵するクオリティが感じられるのだ。

B5は”賢い”ボルボを気に入っているひとなら、すぐにピンとくる内容だ。かんたんにおさらいすると、スタータージェネレーターとも呼ばれる電気モーターを1968ccの直列4気筒ガソリンターボ・エンジンに組み合わせたマイルド・ハイブリッドである。

専用の48ボルトシステムを使ったモーターとエンジンの出力軸とを、ベルトがけで結んでいて、力が必要であるとコンピューターが判断した場合、モーターがまわってトルクを上積みする。たとえば発進直後のごく低回転時にモーターが駆動力を与える。

ハイブリッド車を体験したひとなら、いきなり最大トルクを発揮する電気モーターの特性をいかした瞬発力のよさはご存じだろう。電気モーターでの走行ではなく、補助として効果的にモーターを使う。これがB5のコンセプト。

快適な移動空間

このB5で、東京・港区から常磐道のいわきICまでの200km少々を走ってみたら、というのが今回のエコラン(エコノミーラン=燃費競争)のコースだ。「実際に試してもらうとB5の燃費がいかにいいかが分かってもらえる」とはボルボ・カー・ジャパン広報部の弁である。

たいていのひとは、自分のクルマの燃費を気にするものだ。私は古いクルマを所有していたときは小さな燃費ノートをグラブボックスに入れていた。走行距離と給油量をつけあわせて、燃費が極端に悪いときは、エンジンなどどこかに不調があるのがわかるからだ。

B5のエコランは、世界的なCO2規制などといった環境保護の観点から脱ディーゼル・エンジンをはかるボルボが、ガソリン・エンジン(を使ったハイブリッドシステム)の可能性を示すのが目的。古いクルマの場合とは違うけれど、燃費はさまざまなものの目安となるのだ。

走りだしてあらためて感じたのは、XC60B5の力強さだ。全長4690mm、車重は1890kgなので、小さなクルマではないけれど、発進時からして軽々としている。アクセルペダルの踏み込みはわずかでも、すっと車体が動く。そしてそのままスムーズな加速に移る。

回転をあげていくと、2000rpmを超えたあたりからターボチャージャーが効いてくるのが、アクセルペダルの踏み込みに対する加速感でわかる。回転マナーもスムーズだし、ガソリンエンジンってやっぱりいいなあと思わせられる。

でも今回はエコランなので、思うがままにエンジン回転をあげて走ってもしようがない。XC60B5AWDがどこまで低燃費走行ができるポテンシャルを持っているかをさぐるのが目的だ。

そこで常磐自動車道に入ると、アダプティブ・クルーズ・コントロールを使って制限速度の80km/hにセット。この速度でずっと走るのは、人間ワザではなかなかむずかしい。つい、もっと速度を上げたくなるからだ。そのため、精神的に機械に任せてしまうのが個人的には好ましい。全車速追従機能つきなので、先行車がいると定められた車間距離を守って近づきすぎない。ほとんどのクルマに追い抜かれたけれど。

さいわいCOVID-19による外出自粛明けの平日だったので、道路はそれほど混んでいない。交通の流れはけっこう速い。80km/hで走りつづけると、渋滞の原因になることもある。このときはそれもなく、たんたんと走行できたのだった。

そのあいだに感じたのは、シートの座り心地はよく、室内は快適ということ。さらに乗り心地についていうと、試乗車はオプションのエアサスペンションでなく、標準の金属バネ仕様だったためか、ややタイヤの上下動が大きく感じられた。

このクルマに興味あるひとには、エアサスペンションを個勧めたい。とはいえ金属バネが悪いわけではない。その証拠に、約200kmを走るあいだ、クルマから降りて休憩したいなどとは思わなかった。

気になる燃費は……

はたして私とカメラマンの2名が乗ったクルマの燃費は……車載コンピューターでチェックすると、リッターあたり17.5km。「ディーゼルモデルでも実際はそこまでいきませんよ」と、ボルボ・カー・ジャパンの広報担当者に言われたのが、達成感を醸成してくれて、嬉しくなった。

おそらく、もっと燃費をよくしようと思ったら、クルーズコントロールは使わず、自分の足に頼ったほうがよかったかもしれない。たとえば登り坂では、アクセル開度よりも速度低下を重視すれば燃費は向上する。他車がいるとなかなか思うようには出来ないけれど。

クルマを知るいい場所はサーキットという。それに対して、エコランもまた、いい機会といえる。今回のボルボにかぎらず、自分のクルマでゆっくり走ってみると、燃費という、いまひとつ明確にわからなかったキャラクターが見えてくるのだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

3件
  • ディーゼルはもう売ってないのかな?
    やっぱこの車格ならディーゼルがいいなぁ
  • 専務がXC60買ってから、最近職場のボルボファンが増えてます。
    先日主人の弟さんがXC40に乗り換えて、運転させてもらいましたが、中が凄くオシャレで運転しやすかったです。
    デザインもスマートでカッコいいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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