ピニンファリーナが手がけた“後席快適仕様”
今から50年以上前に、ポルシェは大人が快適に座れるリアシートを備えた「911」を世に送り出すべく、ピニンファリーナにプロトタイプの製作を依頼しました。その試作車両が先ごろクラシックカー販売サイトに登場。話題を集めています。
【画像】「えっ…!」これがポルシェの依頼を受けてピニンファリーナが製作した居住性重視の「911」です(10枚)
2003年にラージSUVの「カイエン」を世に送り出すまで、ポルシェは創業以来一貫して2ドアモデルのみを販売していました。
それらの一部にはリアシートが設けられていましたが、スペース的には2+2と呼ぶのがやっとの広さ。大人が快適に座れるものではありませんでした。最新の「911」でも、こうした状況に変わりはありません。
1960年代後半、将来の成長を見据えていたポルシェは、重大な課題に直面していました。小型で高価なスポーツカーだけではセールスは限定的であり、持続的な成長のためには、より多くの乗員を乗せたいと考える顧客層への訴求も不可欠だと認識していたのでしょう。
そうしたことから、ポルシェは「カイエン」が登場するずっと前から、実用的なリアシートを備えたモデルの開発を計画していたようです。
その際、ポルシェが白羽の矢を立てたのは、イタリアの名門デザインハウスであるピニンファリーナ。ポルシェからの依頼内容は「平均的な体格の成人4名が快適に着座できる『911』を開発せよ」と、明確で野心的なものでした。
そうした依頼を受け、ピニンファリーナは1969年式の「911」をベースに、大胆な改造を施したプロトタイプを製作します。
こうして誕生したのが、「B17」と社内のコードネームで呼ばれる特別な「911」でした。後席乗員の足元スペースを確保するため、ホイールベースはオリジナルモデルから7.5インチ(約19cm)延長。頭上空間を確保すべく、ルーフラインも延長されています。
しかし、4人乗りという目標を達成のための改造は、「911」らしさを大いにスポイルしてしまいました。
延長されたシャシーによって車重は約100kgも増加し、その重量配分もフロント39%対リア61%という、極端にリアヘビーなモデルになってしまいました。
さらに、視覚的にも悪影響が。延長されたルーフラインは傾斜がゆるやかになり、その結果、背中を丸めたような独特なシルエットとなってしまったのです。その姿は、見慣れた「911」のそれではなく、後に登場するクライスラー「クロスファイア」を想起させるものでした。
●走行距離は約6万kmながら価格は控えめ?
セールス中の「B17」で印象的なのは、目に鮮やかなライムグリーンのボディカラーかもしれません。でもこれは、オリジナルの姿ではありません。
ピニンファリーナが選んだ当初のボディカラーは、上品なダークブルーでした。現在の派手なライムグリーンは、ネオンカラーが流行した1980年代に現オーナーによって塗り替えられたものです。
「B17」は1972年に、ポルシェ社からドイツでポルシェディーラーを経営するオーナーへと売却されたそうです。その後、1974年にスウェーデンのポルシェコレクターの手に渡り、以後、半世紀以上、この人物の元で保管されてきました。
50年以上も前のクルマと考えると、現在の走行距離3万8000マイル(約6.1万km)は少なく聞こえるかもしれません。しかし、一点物のプロトタイプでこれだけの距離を走行しているというのは驚きです。
気になるのは価格ですが、今回、クラシックカー販売サイト「Hemmings」に掲載された売り出し価格は、125万ドル(約1億8000万円)です。
「カイエン」が登場する以前に、4人乗りのスポーツカーという夢を具現した「B17」は、世界に1台しか存在しないポルシェのプロトタイプです。それを考えると、このプライスタグはかなりひかえめな設定といえるかもしれません。しかも、“価格交渉可”と記載されているのですから。(古賀貴司(自動車王国))
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みんなのコメント
居住性を重視すると背中が更にカエルっぽくなるのね
カロッツェリアの仕事らしからぬデザインは確かに貴重