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オリパラ運営使用車のカローラツーリングあれからどうなった? ラッピングをそのまま貼って乗るオーナーの悩みとは

掲載 24
オリパラ運営使用車のカローラツーリングあれからどうなった? ラッピングをそのまま貼って乗るオーナーの悩みとは

 2021年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックの大会運営車両として使用されたトヨタ車だ。こうしたオリパラのラッピングが施された車両は約3700両にもおよぶ。

 閉会後には中古車市場に出回り、当時注目を集めていたが、今どうなっているのだろうか? 筆者が偶然、オリパラ仕様のカローラツーリングを発見、はたしてどんな思いで乗っているのだろうか、オーナーさんに直撃した。

オリパラ運営使用車のカローラツーリングあれからどうなった? ラッピングをそのまま貼って乗るオーナーの悩みとは

文/加藤久美子
写真/加藤久美子、加藤博人

■東京2020で使われた大量のトヨタ車は多くが中古車市場へ

東京オリンピック・パラリンピックの大会運営車両として使用されたトヨタ車は、パラリンピック閉会式の数日後から中古車として市場に現れ始めた

「東京オリンピック・パラリンピック2020」は2021年7月24日に開幕し、9月5日のパラリンピック閉会式で幕を閉じた。それから約10ヵ月経過した2022年6月下旬。2014年1月に発足した「オリンピック組織委員会」が今年6月いっぱいで解散することが伝えられた。波乱万丈の8年7ヵ月も完全に終わろうとしている。

 オリパラ仕様のトヨタ車はパラリンピックが閉会した数日後、2021年9月10日頃から『東京2020オリンピック・パラリンピックの大会運営に使用された車両』としてトヨタディーラー系の中古車店で販売が始まった。

 トヨタ直系の中古車販売店「ユーゼック入間」や「ユーゼック狭山」などで展示が開始され、その後、香川、富山、岡山、愛媛、熊本、群馬……など、全国のトヨタ販売店にて販売が開始された。

 車種としては、MIRAI、ノア&ヴォクシー、プリウスPHVに加えて、トヨタ直系中古車店である「ユーゼック」の各店舗ではハイラックス、レクサスES、アルファード、カローラツーリング、RAV4など一般のトヨタ販売店では流通しないクルマも販売されていた。

 当時、トヨタ自動車広報部に確認したところ、東京2020に提供された車両約3700台のうち、約2700台が中古車市場に出されるとのことだった。

 また、当時取材したディーラーでは「ラッピングは9割が剥がします。そのままで乗っているのは1割程度じゃないでしょうか?」と言っていた。販売の最後の方は最初から剥がして販売されているクルマもあった。

■都内で白いカロツーを目撃! その後、大黒PAでも遭遇

オリパラ仕様のカローラツーリング(2.0リミテッド)。オーナーである都内在住のMさんに話を伺うことができた!

 今でも筆者は築地市場跡近辺を通るたびにオリパラ仕様車を思い出す。昨年秋頃、中古車市場に出ていく大量のオリパラ仕様車が並べられていたからだ。新しいオーナーのもとで幸せに暮らしているだろうか?

 そんなことを考えていた5月のある日、都内港区芝浦近辺でオリパラ仕様のカローラツーリング(1.6ハイブリッド)に遭遇した。パーキングメーターに停めたカロツーから出てきたのは、スーツ姿の会社員風の男性だった。

 降りてすぐ横断歩道を渡って行ってしまったので話しかけることはできなかったが、クルマの雰囲気からして、「会社で営業車として使っている」雰囲気だった。オリンピックに関わる企業だったのだろうか? それまでSNSに目撃情報が上がっていたのは見ていたが、この目で見たのは初めてだったので感動した。

 さらに1ヵ月経った6月のある夜のこと。都内での仕事帰りに立ち寄った大黒PAでなんと! またしても白いボディに赤い幾何学模様(トヨタ自動車のデザイナーによるもので、ゴールテープをイメージしたデザイン)のカロツーに遭遇したのである。

 芝浦で見かけたカロツーが1.8Lであったのに対してこちらは2.0リミテッドだ。

 しばらく待っていたら飲み物のカップを持ったオーナーが戻って来た! 勇気を出して、窓越しに会釈して声を掛けてみたところ、快く話を聞かせてもらえることになった。

 オーナーは都内に住むMさん。いつ、どこで購入し、なぜラッピングを剥がさずこのまま乗っているのか、聞いてみた。

 「オリンピックで活躍している姿を見てカローラツーリングが欲しくなりました。でも、その時は普通のカロツーを買うつもりだったんですよ。マニュアルか、もしくはハイブリッドか……。いろいろ考えていたところ、SNSでオリパラ仕様のカロツーが中古車として販売されていることを知ったのです。

 これは買うしかない! 欲しい! と思ってユーゼック入間(トヨタ自動車直系の中古車販売店)に見に行きました。その時は1.8Lだけが出ていました。営業の方に2.0が入ってきたら連絡をくださいとお願いして待つことにしました。中古車が出始めたあの頃、欲しいと狙っていた人は即決で買うような人ばかりだったと思います」。

 それから待つこと約1ヵ月半、ユーゼック入間から2.0リミテッドが入荷したという連絡を受け購入。Mさんにとって初めてのクルマ購入となった。

 「こういったことがなければおそらく最初の1台はまだ先のことになっていたと思います。モチベーションを高めてくれて、購入の縁も結ぶことができた、そこに感謝したいですね。気持ちの変化、というほどではないですが、クルマを壊さないようにということで自分の運転だけでなく周囲の状況にもより気をつけるようになった(端的に言えば安全運転を気をつけるようになった)と思います」。

 ちなみにMさんのカロツーは2021年7月24日に実施された自転車ロードレース競技(男子)で使用された1台とのこと。11月半ばにMさんのところに納車され半年経過した現在もラッピングは剥がさず乗っている。

 「営業の方は当時、ラッピングを剥がして乗る人とそのまま乗る人がだいたい半々と言っていました。ユーゼックでは剥がす費用は2万円できれいに剥がします、とも言われました。私自身は……、そうですね。痕が残ることを考えると、早めに剥がした方がいいのかもしれません。でも、せっかくの歴史的な大会の記念となるラッピングですから、剥がすのは惜しい気がします」。

 たしかにここまで来たら可能な限りそのままで乗るという選択肢もアリかもしれない。そして、Mさんにさらにレアなカロツーに乗るオーナーを紹介していただいた。もちろんラッピングはそのまま。「可能な限り貼ったまま乗る」と心に決めたAKさんだ。

■白いカロツーと激レアの青いカロツー。2台を乗り継いだAKさんの場合

こちらが東京2020自転車ロードレースで使われた青いカロツー。「Neutral Service3」と掲示されている(撮影・加藤博人)

 青いカロツーとは、「Neutral Service」(ニュートラル・サービス)として使われた車両だ。「ニュートラル」の名称通り、特定の国やチームを対象にしたサポートではなくレース中に発生する選手の機材トラブルなどに対応する。

 青いボディカラーは「シマノブルー」と呼ばれる色でルーフキャリアにはSHIMANOのロゴが入った代替機材の自転車が積まれている。ツール・ド・フランスを含む著名な自転車レース400以上をサポートするシマノ仕様のカロツーは東京2020でもニュートラル・サービスカーとして大活躍していたのだ。

 しかしこの青いカロツーは非常に限られた台数で、また他のオリパラ仕様車とは違って一般には流通していなかった。オーナーのAKさんは先にMさんと同じ白いカロツーを購入し、その後、縁あって青いカロツーを入手して白から乗り換えている。

 なお、そもそも最初の白いカロツーの存在を知ったのは、ベストカーwebの記事だったとのこと。記事を書いた筆者としては感動の極みである。

 「ベストカーwebさんの記事を読まなければこのクルマを買うことはなかったでしょう。そして、それまではクルマにはあまり興味がなく、こだわって選ぶこともありませんでしたがこのクルマを知ってからはクルマへの思いが一変しました」。

 白と青のカロツー、違いはどんなところだろうか?

 「白と青の違いは外観以外にほとんどありませんが、白の方はナビの下にタブレットをビス止めで固定していた痕がありましたが、青は何もなかったですね。あと、白は目隠しシールが貼られていましたが、青の保証登録書には”前オーナー”の名称及び、保証書の発行元として”トヨタモビリティ東京(株)法人(オリパラ)”と記載されていました。これが外観以外にオリパラで使われていたことを証明する唯一の証明ですね」。

 では実際にAさんの青いカロツーはオリンピックでどんな風に使用されていたのだろうか?

「自転車ロードレースのニュートラルカーと聞いたのですが、どうもこちらは『予備車』だったようですね。競技の動画を見ていても、ナンバープレートの下2桁が、86、87、88、89までは出てくるのですが、私が購入した90は見つけることができませんでした。

 購入時の走行距離は1090kmでした。恐らくニュートラルカーとして使われていたら距離はもっと伸びていたでしょう」

 オリパラ仕様のカロツーを買うまではクルマへの思い入れはそれほど強くなく「家族で乗れて広ければいい」程度だったというが、それが激レアのカロツーに出会ってからイッキに変わった。

 そんなAKさん。目下の悩みはやはり「ラッピング」のことだ。

「購入したユーゼックでは『もって1年』と言われました。1年以上経つと剥がしても痕が残る可能性が高いと。なので、痕を残したくなければ購入後の1年点検の時に剥がしましょうと言われているのです。

 でも、私としては極力長く、このままラッピングを護って乗っていきたいのです……」

 悩むAKさんに筆者がアドバイスさせていただいた。

「ラッピングの上から透明の保護シートを貼るか、または綺麗なうちに同じラッピングシールを業者さんに2、3セット作っておいてもらうという方法もありますよ」と。「そうですか! そんな方法があるんですね!」と、Aさんの顔がパッと明るくなった。

 パンデミックとの闘い、オリンピック史上初の開催延期など、歴史に残る大会となった東京2020。大会運営車両のなかでも、とくに激レアな青いカロツーをぜひ末永く美しいラッピングのまま乗り続けてほしい。

ベストカーweb内中古車検索サイトでオリパラ仕様のカローラツーリングを探してみると計3台の中古車があった。価格は235万円と249万円

カローラツーリングのオリパラ運営車両車の中古車情報はこちら!

過去記事2021年9月13日公開 オリ・パラで使用されたトヨタ車はどこへ? そのまま中古車市場へ大量流入中

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みんなのコメント

24件
  • 3700台かよw
    メーカーによっては単一車種の販売台数越えてるがなw
  • カロツー。
    時代は変わった
    カロツーと言えば
    カローラ2と思う私は時代遅れだ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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