現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 最高出力1275psと並外れた性能のマクラーレンW1 でも実は「最高速度」よりも「実用性」を重視 

ここから本文です

最高出力1275psと並外れた性能のマクラーレンW1 でも実は「最高速度」よりも「実用性」を重視 

掲載 1
最高出力1275psと並外れた性能のマクラーレンW1 でも実は「最高速度」よりも「実用性」を重視 

操縦性や乗り心地に配慮したセッティング

新型のマクラーレンW1ハイパーカーは、最高速度の数字ばかりを追い求めるのではなく、ドライバーとの一体感や実用領域での扱いやすさを優先している。

【画像】ただ速いだけじゃない、上質な洗練性も併せ持つハイパーカー【マクラーレンW1を写真で見る】 全24枚

4.0Lのターボチャージャー付きV8エンジンと電気モーターを組み合わせた出力は1275psという途方もないものだが、電子制御により最高速度は350km/hに制限されている。

この数値は、W1の前身であるP1と同じだ。また、10年以上にわたって世界最速の市販車という記録を保持した1992年のマクラーレンF1(最高出力は半分)にも36km/h及ばない。

AUTOCARの取材に対し、マクラーレンが新たな速度記録を追い求めない理由について、W1車両ライン・ディレクターのアレックス・ギブソン氏は次のように説明した。

「究極の最高速度、つまりトップ・トランプ(数値を競い合う英国のカードゲーム)は、この製品で我々が追い求めるものではない」

「400km/h、450km/hに達するには、公道やサーキットでのドライビングを妥協しなければならない。この製品では、そのような妥協はしたくなかった」

「タイヤのサイドウォールを極端に硬くすることは避けたかった。なぜなら、日常的な運転での乗り心地が損なわれるからだ。このクルマの使用時間のほとんどは、ポイント・ツー・ポイント(ある地点から別の地点まで)の移動になるだろう」

マクラーレンのパフォーマンス責任者、マーカス・ウェイト氏は、W1が「ある種の調和を保つ必要がある」ため、最高速度が制限されていると指摘した。

「スピードテールよりも速く加速でき、セナよりもサーキットで速く走れるクルマであるなど、多くの役割を担っている。我々は最終的にクルマが落ち着く場所を見極めなければならなかった」

「取れる選択肢の1つは、どれだけのコーナリング性能を残すかということだが、今回は明らかにそこでトレードオフしている。ボディ床下に発生する地面効果によるダウンフォースを極限まで低減しても、クルマの下にはまだ多少の空気抵抗が残る。我々の設計した使用方法では、350km/hが現時点での適切な速度なのだ」

そのため、マクラーレンは公道でのW1の操縦性を向上させるために、いくつかの重要な決定を行った。

その鍵となるのは、四輪駆動システムを採用してトラクションを高めるのではなく、膨大なパワーを後輪だけに伝えるという決定である。

これは、マクラーレンの過去のモデルで大いに賞賛されてきたステアリングフィールを維持するための決定だとウェイト氏は言う。前輪への駆動系や電気モーターが追加されていたら、油圧パワーアシスト機構を搭載することはできなかっただろう。

また、後輪駆動を採用したことで、大幅な軽量化も実現した。

ウェイト氏は次のように語っている。

「四輪駆動では、特に加速を続ける間はトラクションに限界がある。130km/hくらいまではフロントタイヤを使うのが非常に有効だ。サーキットでは、そのメリットを活かせる部分がたくさんある。しかし、どのシステムを使うにしても、60、70、80kgの重量物を常に積んでいることになる」

「したがって、(純粋な最高速度では)ほぼ互角だが、(後輪駆動の)このクルマは全体的に完成度が高く、ドライバーを魅了する。そして、このアプローチが我々らしいと言えるだろう」

ホイールスピンを減らし、トラクションを高めるため、1速と2速ではトルクが制限されている。

チーフ・パワートレイン・エンジニアのリチャード・ジャクソン氏は、「ハードウェアの観点から、タイヤのトラクション限界が訪れる直前の位置にその制限を設定するようにしている。実際のところ、1速と2速ではちょうどトラクションの限界に達するだろう」と述べた。

W1には、さまざまな環境に適したドライビングモードが用意されており、その中には「コンフォート」という公道走行に重点を置いた設定もある。このモードでは、V8エンジン単独で発生する928psに制限されるが、即座にスロットルレスポンスを得られるようにモーターも稼働している。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ルノー「小さなスーパーカー」発表 540psで後輪駆動、新型『5ターボ3E』2027年発売へ
ルノー「小さなスーパーカー」発表 540psで後輪駆動、新型『5ターボ3E』2027年発売へ
AUTOCAR JAPAN
メルセデス・ベンツ新型『CLA』発表 EVは航続距離792km、ハイブリッドも「ディーゼル並み」の低燃費へ
メルセデス・ベンツ新型『CLA』発表 EVは航続距離792km、ハイブリッドも「ディーゼル並み」の低燃費へ
AUTOCAR JAPAN
【サーキットの技術を公道へ】マクラーレンとカーボンファイバーが織りなす40年以上の進化を、名車とともに振り返る
【サーキットの技術を公道へ】マクラーレンとカーボンファイバーが織りなす40年以上の進化を、名車とともに振り返る
AUTOCAR JAPAN
モーガン新型『スーパースポーツ』初公開 快適性と使いやすさを向上 約1950万円から
モーガン新型『スーパースポーツ』初公開 快適性と使いやすさを向上 約1950万円から
AUTOCAR JAPAN
2代目へ刷新 BMW 2シリーズ・グランクーペへ試乗 動力性能はAMG CLA 35に匹敵
2代目へ刷新 BMW 2シリーズ・グランクーペへ試乗 動力性能はAMG CLA 35に匹敵
AUTOCAR JAPAN
EQCを間もなく置換 メルセデス・ベンツGLC EV 新技術満載の試作車へ試乗  発表は9月
EQCを間もなく置換 メルセデス・ベンツGLC EV 新技術満載の試作車へ試乗  発表は9月
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌA290:現実的なEVの最適解 ベスト・ファンEV(3) 「A」の期待を裏切らない
アルピーヌA290:現実的なEVの最適解 ベスト・ファンEV(3) 「A」の期待を裏切らない
AUTOCAR JAPAN
トヨタ『GRヤリス』用に新2.0Lエンジン開発 ハイブリッド化の可能性も
トヨタ『GRヤリス』用に新2.0Lエンジン開発 ハイブリッド化の可能性も
AUTOCAR JAPAN
ランボルギーニ初のEV、980Vシステム採用へ 最高出力は2000psに達する可能性
ランボルギーニ初のEV、980Vシステム採用へ 最高出力は2000psに達する可能性
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌA290を超える?:ミカ・ミーオン 「小型・軽量」の面白さ ベスト・ファンEV(4)
アルピーヌA290を超える?:ミカ・ミーオン 「小型・軽量」の面白さ ベスト・ファンEV(4)
AUTOCAR JAPAN
【極上の乗り心地に感動】レンジローバーが2025年モデルに進化!50psアップのディーゼルは大本命
【極上の乗り心地に感動】レンジローバーが2025年モデルに進化!50psアップのディーゼルは大本命
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ新型4人乗りスポーツカー『A310』 テスト走行中の試作車を発見 2028年発売予定
アルピーヌ新型4人乗りスポーツカー『A310』 テスト走行中の試作車を発見 2028年発売予定
AUTOCAR JAPAN
【ベンチマーク復権!】8.5代目フォルクスワーゲン・ゴルフ『GTI』は、8代目とどう変わったか
【ベンチマーク復権!】8.5代目フォルクスワーゲン・ゴルフ『GTI』は、8代目とどう変わったか
AUTOCAR JAPAN
マルチパスウェイで世界中の要望に応える! トヨタが欧州で新型「C-HR+」「bZ4X」「レクサスRZ」のBEV3車種を発表
マルチパスウェイで世界中の要望に応える! トヨタが欧州で新型「C-HR+」「bZ4X」「レクサスRZ」のBEV3車種を発表
THE EV TIMES
トヨタ新型「クラウン・エステート」の走りはどう? 十分な熟成期間を踏まえて“極上の乗り心地”を実現! PHEVは「さらに格上の走り味」
トヨタ新型「クラウン・エステート」の走りはどう? 十分な熟成期間を踏まえて“極上の乗り心地”を実現! PHEVは「さらに格上の走り味」
VAGUE
実は軍用車両並みに頑丈 BMCファリーナ・シリーズ(2) 信頼できるBシリーズ・エンジン
実は軍用車両並みに頑丈 BMCファリーナ・シリーズ(2) 信頼できるBシリーズ・エンジン
AUTOCAR JAPAN
【第6回】サイトウサトシのタイヤノハナシ~低燃費タイヤのメカニズムとタイヤグレーディング~
【第6回】サイトウサトシのタイヤノハナシ~低燃費タイヤのメカニズムとタイヤグレーディング~
AUTOCAR JAPAN
中国の電気自動車「BYDシール」のリアルな航続距離と充電性能は? AWDモデルを長距離走行してテストした
中国の電気自動車「BYDシール」のリアルな航続距離と充電性能は? AWDモデルを長距離走行してテストした
THE EV TIMES

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村