ハースF1の小松礼雄代表は、プレシーズンテストでニコ・ヒュルケンベルグに異なるアプローチを納得させたことが、2024年シーズンにチームが大きく飛躍した背景だと示唆した。
2023年シーズンを最下位で終えたハースは今年、コンストラクターズランキング6位をRBと争い、6レースを残した段階で3ポイント差に迫っている。
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ハースが今季これまで獲得した31ポイントのうち、54.2%をヒュルケンベルグが獲得(2023年は計9ポイントのうち66.7%)。VF-23からVF-24に乗り換え、タイヤへの攻撃性が減ったことで、ドライバーたちが力を温存しながらレースを戦うことができるようになった。
ただ小松代表は、マシンが格段に良くなったと認める一方で、ドライバー側の改善のチームの前進に大きく貢献しているという。
2023年シーズン、ヒュルケンベルグは予選で8回のQ3進出と速さを見せながらも、レースでは激しいタイヤデグラデーション(性能劣化)に苦しみ、決勝でのポイントにはなかなか結びつかなかった。
ヒュルケンベルグは今年、6戦を残す段階で昨年の予選Q3進出記録に到達。レース中のタイヤマネジメントも「とても良くなった」と小松代表が断言するように、決勝でのポイントも増えた。
「これは彼だけの力ではありません」
motorsport.comの独占インタビューに応じた小松代表は小松代表はそう語った。
「チーム全体が一丸となって、ドライバーを巻き込みながら、彼がどのようにタイヤマネジメントすべきかを理解しています」
「もちろん、マシンが良くなったのでマネジメントしやすくなりました。しかし彼サイドも、理解度がずっと上がっていると思います」
「初日から集中的に取り組んできたことで、タイヤマネジメントにどれだけ時間をかければ違いが出るのか、彼も分かっていると思います」
「彼はインプットとかそういう面でかなりオープンになっていると思います。ロングランも彼は良くなっていると思います。予選は変わらないと思います。相変わらず、とても良いんです」
ハースはバーレーンで開催されたプレシーズンテストで、初日と2日目を通して計15回のロングランを実施。最終日にヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンがフルでのレースシミュレーションを行なうまでは、ソフトタイヤでの走行は行なわなかった。
小松代表は、ハースがより長いスティントでのタイヤデグラデーションの理解を深めることを目的にしていたとして、次のように説明した。
「プレシーズンテストでは、タイヤマネジメントの面でレースの練習が必要でした」
「昨年はもちろん、彼にマネジメントさせようとしていました。しかしそれがどれほどの違いを生むのか体験していなかったので、彼は完全には信じきれていませんでした」
その理由を尋ねると、小松代表はこう答えた。
「それくらい繊細だと信じるしかなかったからです。ドライバーに『あるコーナーでコンマ数秒遅くする必要がある』と言っているわけです。それがどれほど酷なことかは分かりますよね」
「しかし『これをやれば、良い形で見返りがある』『やらなかったら、こうなってしまう』ということを理解する必要があります。体感してデータで確認しない限り……何度も繰り返してみないと白黒ハッキリさせるのは難しいんです」
「タイヤマネジメントは彼の強みではなかったと思います。ルノーでの過去のレースを見ても、それが彼の強みだったとは思えませんし、F1タイヤが繊細なのは明らかです」
「だから、彼が戻ってきた直後の2023年のプレシーズンテストでは、もちろん同じような(タイヤマネジメントに対する)フォーカスはありませんでした」
「でもこの冬、選択肢は他にありませんでした。条件付きでもありません」
「この問題は、我々が理解しなければならないことでした。プラスであれマイナスであれ、結果をドライバーに経験してもらう必要がありました。そうすれば、彼らは納得してくれますし、自分たちがなぜそうしているのかが分かるようになります」
一方ヒュルケンベルグは、ハースのシーズン前のタイヤデグラデーションに対する作業は「良かった」として、「様々な戦略はタイヤマネジメントの方法を理解するために多くの作業を行なった」と語った。
「僕らとしては良い勉強になる経験だった」とヒュルケンベルグはmotorsport.comに語った。
「レースの週末に、こうやって色々とやってみることはできない」
「だから良かったよ。でも同時に、マシンと空力特性が根本的に違っていて、昨年と同じ状況ではなかったから、すぐに良くなった」
「今にして思えば、あそこまでやる必要があったのだろうか? そうではないかもしれない」
「でも、とにかく良かった。テストでは燃料が軽い状態で走らせていても、僕にとってはあまり意味がない。必要ないからね。だから、あのアプローチの仕方は良かった」
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