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JSB1000初フル参戦の伊藤和輝「得意なブレーキング」を極めて示した成長と残る課題/全日本ロード

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JSB1000初フル参戦の伊藤和輝「得意なブレーキング」を極めて示した成長と残る課題/全日本ロード

 2023年シーズンにおける全日本ロードレース選手権の最高峰JSB1000クラスは、計24台がフルエントリーし、各サーキットでさまざまな激闘が繰り広げられてきた。ベテランライダーが数多く揃うこのクラスで、自身初のフル参戦となった伊藤和輝(Honda Dream RT 桜井ホンダ)は、前半戦こそ苦戦を強いられたものの、後半戦にかけては成長ぶりを発揮し、奮闘しながら1年間を戦った。

 伊藤は、2014年から全日本ロードのJ-GP3クラスに参戦を開始し、翌年からST600にステップアップ。以降は2019年にST600で全日本ロードへの復帰を果たすと、2021年にST1000にスポット参戦、2022年は代役として鈴鹿8耐にも出場するなどの活動を行ってきた。

ST1000ルーキー荒川晃大が見せた急成長。後半戦前に掴んだ「自分がバイクに合わせること」/全日本ロード

 そして2023年はJSB1000クラスに初のフル参戦となった伊藤だが、実は2019年に当時カワサキの監督を務めていた井筒仁康氏からの提案の元、JSB1000クラスにスポット参戦をした経験を持っている。しかし、当時はJSB1000仕様のマシンではなかったこともあり、伊藤はルーキーとして一から全てを学んで吸収していこうという様子が伺えた。

 そんなルーキー伊藤は、やはり強者揃いのクラスで序盤戦は苦戦を強いられてしまう。開幕戦もてぎのレース2ではシングルフィニッシュを果たすも、鈴鹿2&4では予選と決勝ともにやや下位に沈んでしまう結果となった。

「開幕2戦の速く走れてない部分は、やはりタイヤに一番違いがあって、サスペンションなど車体周りは正直ST1000より限界値が高くなった感じなのですが、JSB1000はタイヤが全然違うので、そこに今苦戦しているというか、まだ掴めていません」

「イメージはとにかくライダーの仕事量が増えていて、自分が速く走らせるためにしないといけないことが多いです。引き出しを多く持っておかないといけないのがJSB1000で、自分はブレーキングが比較的得意なので、そこを自信もって、全体的に速く走れるようになれると良いかなと思います」

 というのも、改造制限が厳しく、ダンロップタイヤもワンメイクのST1000に比べ、JSB1000はレギュレーション内であれば、マシンやセッティング、タイヤの選択において自身で幅を広げることが出来る。その分、様々なことを考慮しながら毎回セッティングをしなければならないため、ライダーの技量も必要不可欠となってくる。

 そんな高難易度のクラスで1年目を戦う伊藤は、クラスそのものからマシンやタイヤに慣れる必要が出てくるため、苦戦を強いられるのも無理はない。しかし、そのなかでも、現状打破に向けて鈴鹿2&4では今後を見据えてのヒントも導き出していた。

 レース2ではマシンのセッティングに変更を加えたことで、タイヤの使い方や方向性を掴めたともに「良くなる兆しが見えた」と語っていた。しかし、すぐには結果には繋がらなかったが、鈴鹿8耐にも同チームから参戦し総合5位を獲得した伊藤は、第6戦オートポリスからじわじわと本領を発揮していことになる。

 レース1では予選9番手からスタートし、終盤にかけて猛烈な追い上げを披露し、今季自己ベストの5位でチェッカーを受けた。さらに、レース2と第7戦岡山でも7位とシングルフィニッシュで終え、後半戦にかけて徐々にレベルアップした姿を見せた。

「特に鈴鹿8耐終わってから、オートポリスと岡山とかなり馴染めてきて、攻める走りが少しずつできてきました。やはり長く乗れるので、いろいろな発見や出来ることが増えてきて、すごく経験になりました」

 鈴鹿8耐はライダーが交代して戦うとはいえ、長時間マシンに乗れるため、1000ccのマシンに適応させることができる。普段JSB1000で戦う伊藤にとって、ある程度マシンやクラスに慣れることが出来てくると、次は自身の走らせ方に集中でき、他のライダーたちの走りからも学ぶことが出来るようになる。

 そのため後半戦では、自身が得意とする「ブレーキング」を最大限に活かし、走りに専念出来るようになる。そのことが、後半戦のオートポリス以降のレベルアップに大きく繋がったのではないだろうか。

 しかし、1年目を戦った上で課題も残っていたようで「スタートで出遅れてしまうことが自分の課題なのと、やはりまだ一発タイムを出すことができなくて、予選で最低2列目あたりに食い込むことができれば、またレースの展開も変わってくると思うのですが……」と伊藤。

 決勝における速さと成長は掴めているものの、また違った速さを求められる予選では少々伸び悩んでいる様子だ。確かに、最終戦の鈴鹿を終えて見ても、予選における今季ベストは第7戦岡山での8番手と、スターティンググリッドで2列目までを獲得できない状況が続いていた。

 だが「一緒に走って盗めるところを盗んで、自分のものにしている」と語る伊藤は、1年目は課題が残ってしまうシーズンとなってしまったものの、今後さらなる成長ぶりを発揮することだろう。また「1年を通して成長を示せたのではないかなと思います」と自身の成長も感じている伊藤は、今後さらなるレベルアップした姿を見せ、上位争いに加わってバトルを展開していく存在となるのではないだろうか。

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