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トヨタ・セリカ フォード・カプリ ヴォグゾール・フィレンザ(1) 3車3様の小柄クーペたち

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トヨタ・セリカ フォード・カプリ ヴォグゾール・フィレンザ(1) 3車3様の小柄クーペたち

クーペが人気を集めた時代へ合致

1973年のある日、グレートブリテン島の田舎町で暮らしていた自分を、トヨタ・クラウンは驚かせた。保守的な地域で、ご近所のファミリーカーはほぼ英国車。フィアットやルノーですら、大胆な選択といえたのだから。

【画像】3車3様 昭和世代の魅力 セリカ カプリ HPフィレンザ 同時期の小柄なクーペたち 全117枚

隣家が買ったのは、オレンジ色のクラウン。8歳だった筆者は、アメリカンなスタイリングに心が奪われた。真新しい車内には、スイッチがずらりと並んでいた。冷えた朝でも、エンジンは何事もなく始動。少し妬まれるほど、信頼性は高かった。

ボディは1年で錆び、自動車雑誌は曖昧な操縦性を揶揄した。それでも、乗りやすく壊れにくく、充実装備の日本車が、存在感を高めつつあったことは紛れもない事実だった。

この流れを加速させたのが、小柄なトヨタ・セリカ。実用的な4シーターの車内と、そこそこパワフルで燃費の良いエンジンを、色っぽいスタイリングで包んだクーペが、若者を中心に人気を集めていた時代へ合致した。

所有体験や運転体験はだいぶ違った3台

1970年代の英国で、セリカの市場を席巻していたのがフォード・カプリ。1974年には、現代性と実用性を向上させたMk IIが登場していた。そのライバルは、ヴォグゾールのフィレンザ。1973年には、ドループスヌート・ノーズのHPが追加されている。

3台のターゲット層は、明らかに重複していた。だが、所有体験や運転体験はだいぶ違っていた。今回は、その魅力を振り返ってみよう。

初代セリカ、TA22型は1970年10月の東京モーターショーで発表。ベースはサルーンのカリーナで、1971年に英国での販売が始まっている。お値段は1351ポンドで、当時のカプリ 1600GTより60ポンド高かったが、コスパは秀でていた。

熱線入りリアガラスにボタン式ラジオ、ハザードランプ、スモークガラス、ずらりと並ぶメーター類や時計は標準装備。曲線基調のデザインも、流行を巧みに掴んでいた。

3台では最も美しい初代セリカ

エンジンは、ショートストロークで1588ccのシングルオーバーヘッドカム(SOHC)。アルミ製ヘッドと半球形燃焼室が特徴で、ミクニ・ソレックス社製ツイン・キャブレターが組まれ、101ps/6000rpmと15.0kg-m/4200rpmが英国仕様ではうたわれた。

当時のAUTOCARの計測では、0-97km/h加速は11.5秒。最高速度は168km/hに届いた。サスペンションは前がマクファーソンストラットで、後ろが4リンク式のリジットアクスル。どちらも、コイルスプリングが支えた。

今回ご登場願った1台は、フィル・ウィリアムソン氏の1976年式。後期型で、フェンダーのデザインが異なる。フロントブレーキや冷却系も、改良を受けている。ホイールは13インチのスチールだったが、オーナーによって14インチ・アルミへ交換済みだ。

スタイリングは、アメリカン・ポニーカーへ影響を受けたもの。当時のトヨタにとって、北米市場は既に重要な存在だった。バンパーはボディと滑らかに繋がり、リアピラーが太く、サイドガラスはピラーレス。3台では、最も美しいといえるだろう。

1クラス上の車内 少し拍子抜けな走り

車内も同様。クリームとブラウンのツートーンでコーディネートされ、雰囲気は1クラス上にある。運転席へ座ると、3スポークのステアリングホイールがオシャレ。クラクションのボタンは2つあり、市街地と郊外用で音量が異なる。

スピードとタコ・メーターの他に、補機メーターもズラリ。背が高いトランスミッション・トンネルから手元へシフトレバーが伸び、いかにもスポーティな配置だ。

ところが発進すると、やや拍子抜け。ステアリングは遊びが多く曖昧で、フロントタイヤの状態を把握しにくい。グリップ力も高くはない。エンジンは6500rpmまで積極的に回り、シフトレバーは滑らかに倒せるけれど。

アメリカンなクルーザーとして走らせるのが、初代セリカの正解。自然な姿勢で座れ、エンジンサウンドは軽快。速くはないが、運転は楽しい。クラッチペダルは軽く踏め、操縦系の配置も望ましい。半世紀も前のクルマだとは、感じにくい。

ジェットエンジン時代へ同調したカプリ MkII

1974年に登場した、カプリ MkIIの完成度も高かった。スタイリングはエキゾチックで、ジェットエンジン時代へ完全に同調していた。同時にメカニズムは先代譲りで、生産コストを抑えつつ、整備性の良さを叶えていた。

サスペンションは前がマクファーソンストラットで、後ろはリーフスプリングのリジットアクスルと、旧来的な構成。それでも、長方形のヘッドライトと短いボンネットで、新鮮味が醸し出されていた。大きなテールゲートは、実用性を担保した。

インテリアでは、ダッシュボードを刷新。ステアリングは小径になり、メーター類も充実した。エンジンは、2.0L 4気筒の「ピント」ユニットを獲得。SOHCで99psを発揮し、0-97km/h加速は10.4秒とセリカを凌駕。最高速度は170km/hだった。

この続きは、トヨタ・セリカ フォード・カプリ ヴォグゾール・フィレンザ(2)にて。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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