後継者をどうするかということは、多くのビジネスリーダーの頭を悩ませるところだ。中には、後継者候補を自らに対する脅威とみなす人もいる。それはビジネスにかかわらず、政治の世界などでも同様だ。
ヘルムート・マルコ博士は、長くレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務め、同社のドライバー育成プログラムに大きな影響を及ぼしてきた。
■レッドブル相談役マルコ、“理想的な後継者”としてセバスチャン・ベッテルを挙げる「彼は将来何をしたいのか分かっている」
マルコ博士は若い頃、後にF1ワールドチャンピオンとなるヨッヘン・リントなどと共にフォルクスワーゲン・ビートルで山谷を駆け抜けたり、レーシングドライバーとしても活躍した。F1まで辿り着き、ル・マン24時間レースの総合優勝を果たしたこともある。
ただマルコ博士は、F1参戦中に前を走るマシンが跳ね上げた小石がヘルメットのバイザーを突き破って目に当たり、視力が落ちてしまったことで、レーシングドライバーを引退することになった。
現役引退、マルコ博士はゲルハルト・ベルガーらのマネージャーを務めたり、レーシングチームを立ち上げて国際F3000に参戦するなどした。
その後レッドブルの共同創設者であるディートリッヒ・マテシッツと親交を深めたマルコ博士は、自身のレーシングチームを母体としてレッドブル・ジュニアチームを組織。レッドブルのF1ドライバー育成プログラムの重要な役割を担った。
多くの若いレーシングドライバーが、レッドブルのサポートを求めて集まってきた。しかしマルコ博士の高い期待に耐えられるのは、ほんの一握りである。
そんな育成プログラム最初の成功者と言えるのが、セバスチャン・ベッテルであろう。ベッテルは2010年に初のF1チャンピオンに輝くと、2013年まで4年連続でチャンピオンに輝いた。
そんなベッテルはレッドブルを離れ、2022年にはF1からも引退。一時はレース界から完全に離れた。最近ではモータースポーツ界との距離を少しずつ縮め直しているものの、以前と比べれば時間的にも余裕がある日々を過ごしている。
「(ベッテルは)理想的な後任候補になるだろう」
マルコ博士は先週、スカイ・ドイツのインタビューにそう語った。
「セバスチャンは今、自分自身のことが分かったと思う」
「彼は、将来自分が何をしたいのか分かっている。それは他でもなく、モータースポーツだ」
■モータースポーツへの関心を取り戻しつつあるベッテル
マテシッツが存命だった頃、マルコ博士の影響力は大きかった。ある意味、マテシッツの全権を委任された大臣のような存在だった。しかしチーム代表のクリスチャン・ホーナーはその存在を快くは思っておらず、昨年はじめには権力闘争が巻き起こった。マルコ博士も81歳。政治的な駆け引きからは身を引きたいと考えるのも無理はない。年間24レースを転戦するF1チームに帯同するのは、身体的にもきついだろう。
さて後任候補として指名されたベッテルは、前述の通り2022年末でF1を引退。35歳という若さで、家族と過ごす時間を増やすことを優先させた。しかしすぐに、他にもやることがあることに気づいたようだ。
ベッテルは環境や教育に関するプロジェクトに多く関わってきた。しかし最近では、引退前には環境破壊だと批判すらしていたモータースポーツの世界にも、徐々に戻りつつある。現役時代にはサウジアラビアに対して嫌悪感とも言える感情を抱いていたが、最近ではその考えを改め、同国の若い女性たちがカートに挑戦することを奨励するプログラムも支援している。
ル・マン24時間への参戦を見据え、ポルシェのWECマシンをテストドライブしたこともあったベッテル。実際に参戦するには至らなかったが、自身が所有するウイリアムズFW14BやマクラーレンMP4/8を持続可能燃料を使って走らせる活動も行なっている。
そんなベッテルが、レッドブルの若手ドライバー育成プログラムを率いることとなれば、それはどのようなモノになるのだろうか?
■マルコ博士を見習うべきこと
ベッテルによる新体制が実現すれば、現在よりも所属するドライバーにとっては居心地の良いモノとなるかもしれない。マルコ博士体制の育成プログラムは、外されたドライバーたちの多さからして悪名高い。F1にデビューできればまだいいが、F1まで辿り着けなかった才能あるドライバーも数多くいるのだ。
勝利を収めたドライバーであっても、レース後にマルコ博士に呼び出され、データを見せられ、ラップタイムを失った特定のコーナーでのミスを指摘されるという話も後を経たない。
ただベッテルなら、それをもう少し優しく伝えてくれるかもしれない。養蜂も手掛け、樹木を守る活動をしている彼なら、感情的な対応をしてくれる……そんな希望もある。
しかし、現体制とそれほど変わらないということになるかもしれない。ベッテルも、マルコ博士の偉大さを十分理解し、成功とはどのようなモノなのかということを、身をもって認識しているからだ。
ベッテルは以前、レースで3位になった時、マルコ博士にヘッドロックをかけられ「予選で失敗していなければ勝てていただろう?」という逸話を語っていたことがある。そしてこうも言っていた。
「彼は、私を叱責することをためらうことはなかったし、おそらくこれからもそうだろうね」
ベッテルがマルコ博士の後継者としての役割を引き受け、次のマックス・フェルスタッペン、あるいは次のセバスチャン・ベッテルを見つけたいのであれば、徹底的な完璧主義を引き継がねばならないだろう。
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みんなのコメント
育成とは違う方向で頑張りそうだし
無理では