この記事をまとめると
■2026年度のCEV補助金でPHEVには85万円が支給される
VWゴルフとトヨタ・プリウスは偉大なるベンチマーク! 世界のあらゆるメーカーがお手本にした理由とは?
■補助金によりプリウスPHEVの実質価格がHEVを下まわる逆転現象が発生
■自宅に充電設備があるかないかがPHEVを買うかHEVを買うかのわかれ道となる
補助金込みだとプリウスHEVよりPHEVのほうが安い
2026年4月からのEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(水素自動車)を購入した際の国からの補助金=CEV(クリーン・エネルギー・ビークル)補助金は、なんと最大130万円! 補助を受けると4年間の保有義務期間が発生するものの、4~5年は1台のクルマに乗り続けるという人にとっては、まさにEV、PHEVなどを買うのにありがたすぎる制度といっていい。
そしていま、そのCEV補助金によって、とんでもないことが起こっている。それが、同じ車種のハイブリッド車とPHEVの実質購入価格の逆転現象である。
これまで、ハイブリッド車に対して充電ができ、EV走行距離も長いPHEVは割高……という現実、イメージがあったものの、CEV補助金額が増額されたいまでは、繰り返すけれど、PHEVのほうが安く買える場合がある。ハイブリッドとPHEVの両方を揃えているクルマはそう多くはないが、トヨタ・プリウスが好例だ。
超スタイリッシュになった4ドアクーペ的な現行プリウスのトップグレードとして君臨するのがプリウスZ PHEV。エクステリアデザインのハイブリッドとの違いはほぼないに等しく(見わけのつきにくいエンブレム、普通充電口を除く)、2リッターエンジンの151馬力、19.2kg-mのスペックは同一。ハイブリッドはそれに113馬力、21.0kg-mのモーターが、2WDのみの設定となるPHEVは163馬力、21.2kg-mのモーターが加わる違いがある。
また、WLTCモード燃費はプリウスZ ハイブリッド2WDが28.6km/L、Z PHEVが26.0km/Lと10%ほどの差がある。これはハイブリッドとPHEVの車重差も影響していて、ハイブリッドの1420kgに対してPHEVは150kg重い1570kgとなっている。その要因がPHEVの大容量バッテリーにあることはいうまでもない。
そのぶん、WLTCモードでのEV走行可能距離はハイブリッドが数百~約2km程度であるのに対してPHEVは87kmもあり、近所使いではEVとして使うことができたりする。充電ができる(普通充電のみ)PHEVがハイブリッドとEVの中間、橋渡しになるクルマという意味がそこにはある。
プリウスPHEVは、プリウスのフラッグシップということでプリウスの最上級グレードであるZグレードのみの用意となり、ハイブリッドZと装備面はほぼ一緒。それに加わるPHEV独自の装備は、リジェネレーションブースト(回生ブースト)、EV/HVモード切り替えスイッチ、AUTO/EV/HVモードスイッチ、EVモードスイッチ、充電ケーブル7m、普通充電インレット、そしてオプションで用意されるソーラー充電システムぐらいのものだ。なお、AC100V/1500Wコンセントはプリウス全車に標準装備されている。
さて、本題である。2026年4月からのプリウスPHEVのCEV補助金は85万円。それにエコカー減税約3万円、グリーン化特例約2万7000円が加わり、優遇額合計は約90万7000円に達する。一方、ハイブリッドモデルは、エコカー減税約2万2500円の補助のみとなる。
そこで両車の実質購入金額を計算すると、プリウスZ PHEVは車両本体価格460万8900円。これだけを見るとハイブリッドZ 2WDの車両本体価格387万500円との価格差は73万8400円にもなり、PHEVはまだまだ高いと思わずにいられないのだが、ハイブリッドの優遇はエコカー減税約2万2500円のみ。
その条件で実質購入価格を計算すると、PHEVは実質370万1900円となる(原則4年間の所有が条件)。一方、ハイブリッドZ 2WDは車両本体価格387万500円からエコカー減税約2万2500円を引いても384万8000円となり、逆転してPHEVのほうが約14万6100円も安く買えることになる!
HVの燃費は28.6km/L、PHEVの燃費は26.0km/Lだから、14万6100円分をガソリン代で取り戻せるのではないかと思いがちだが、取り戻すのにはかなり長い年月、走行距離が必要になる。エンジンが同じこともあって、税金や保険(車両保険は価格の違いによってハイブリッドのほうが安め)などの固定費もほぼ同じと考えていいのである。
PHEVを買うべきかHEVを買うべきか
では、それでもプリウスハイブリッドを買う理由はあるのだろうか。最大のポイントは、自宅に充電設備を設置できない場合だ(集合住宅を含む)。プリウスのPHEVは普通充電のみ行えるが、自宅に急速充電より安く充電でき、100%まで充電できる200Vの普通充電設備があれば、ほぼ電気で走る時間、距離が長く、例えば1日60km程度の走行(電気代100円程度か)なら、ほぼEV(電気自動車)として使うことができ、ガソリン代をかなり節約できることになる。
中東情勢不安でガソリン代が高騰しているいまなら、なおさらメリットがあるかも知れない。が、自宅で充電できない環境であれば、PHEVは宝のもち腐れになりかねない。充電できなければハイブリッドより150kg重いプリウスだ。しかも、すでに説明したように維持費のなかの自動車保険の費用で大きなウエイトを占める車両保険は、車両本体価格の安いハイブリッドのほうが安いのも確か。
もちろん、プリウスPHEVの購入と同時に自宅に200Vの普通充電設備を新設するとなれば、その費用も必要となり、青空駐車場、カーポートなし、シンプルなコンセント方式、壁面設置、充電器と分電盤の距離10~20m、40Aでのコンセント代+工事費の合計は約15万円になる(トヨタのシミュレーターによる)。
つまり、PHEVとハイブリッドの優遇差約14万6100円が吹っ飛んでしまうことにもなるのだ。すでに充電設備があれば別だが、これから自宅に設置……ということであれば、その費用も計算する必要がある。
ちなみに、ラゲッジルームの容量はHVが442リットル、PHEVは410リットルと、ラゲッジフロアの高さによって異なる。後席使用で少しでも多く荷物を積みたいのならハイブリッドになるだろうか。
とはいえ、そうしたお金勘定だけでは見えてこないPHEVの魅力があるのも確か。EV走行距離の長さもさることながら、PHEVはシステム最高出力223馬力を発生し、0-100km/h加速は6.7秒とGR86の6.3秒に迫る俊足ぶりを発揮してくれるため、「クルマは速くなくっちゃ」という人には羊の皮を被った狼とまではいえないものの、速さを求めるならモーター出力で圧倒するPHEVを選択するといいだろう。ただし、E-Four=4WDが必須というなら、ハイブリッド限定となる。PHEVは2WDのみだからだ。
また、プリウスPHEVを逆転現象で補助金を使ってハイブリッドより安く買えるのはいいのだが、4年間の保有義務が生じることをお忘れなく。それまでに手放すと補助金を返還することになるからだ。よって、2~3年ごとに乗り変える人だと、補助金のメリットを生かせず、ハイブリッドのほうが安く買えることになる。
まとめると、(1)自宅に充電設備がない、付けられない、(2)4年間乗り続けることはない、(3)クルマに速さは求めない……という項目に合致するのであれば、補助金による逆転現象など気にせず、ハイブリッドを選んだほうがいいかも知れない。
もっとも、すでに充電設備が自宅にある、または安く設置できる見込みがある、1台のクルマを長く乗り続ける予定、4年後にプリウスが新しくなっていても気にしない(先代は8年でフルモデルチェンジ。2023年登場の現行型がそれと同じだとすれば2031年のフルモデルチェンジ、つまり5年乗って新型に乗り換えられるのでちょうどいい(!?)、やはり速さは譲れない……というなら、補助金が増額された2026年4月からは、プリウスPHEV購入の狙いどきともいえるのだ。
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みんなのコメント
GグレードやG night shadeという特別仕様車もあります。
補助金を考慮すると実質300万ちょっとで買えます。