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816ps・AWD化の代償を「5kg増」で凌駕。ポルシェ第4世代フォーミュラE「975 RSE」が示す技術的最適解

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816ps・AWD化の代償を「5kg増」で凌駕。ポルシェ第4世代フォーミュラE「975 RSE」が示す技術的最適解

0-100km/h加速は1.8秒!

ポルシェは2026年4月20日、次世代のフォーミュラE(FE)参戦車両「ポルシェ975 RSE」を世界初公開した。

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F2レベルの速さで登場

このシングルシーターマシンは、来シーズンから導入される第4世代(GEN4)レギュレーションに準拠したもので、電動モータースポーツの歴史において過去最大の技術的飛躍を遂げているという。

GEN4マシンは、最高出力600kW(816ps)を誇る強力なパワートレインに加え、FE史上初となる常時全輪駆動(AWD)を採用。これにより、0-100km/h加速は約1.8秒、最高速度は335km/hに達し、世界最速クラスのフォーミュラカーに肩を並べる性能を手に入れたと言えるだろう。ポルシェ・モータースポーツのバイスプレジデント、トーマス・ラウデンバッハ氏は次のように述べている。

「GEN4は、電気自動車(EV)がいかに進化してきたかを示しています。2014年の選手権開始当初は、1台のバッテリーではレース距離を走りきれず、ドライバーは1レースに2台のマシンを必要としていました。しかしその時代はもう過去のものです。2024年以降に開発を進めてきた今回の新車は、フォーミュラ2マシンと同等のレベルに達しています。EVの強みは、いまやサーキットでも公道でもますます明らかになっています」

空力性能の劇的進化:ダウンフォースは現行比150%増

975 RSEの最大の特徴のひとつが空力性能の徹底した強化だ。FEにおいて初めてダウンフォースがグリップ向上に不可欠な要素となり、コーナリングスピードが劇的に向上しているという。テクニカルプロジェクトリーダーのオリビエ・シャンペノワ氏は、空力戦略について以下のように詳述している。

「フォーミュラEは、この10年で空力ダウンフォースが必要不可欠なほど高速化しました。ただし、ダウンフォースは空気抵抗(ドラッグ)を伴い、エネルギー消費を増大させます。そのため、私たちは2種類のエアロパッケージを用意しました。レース用にはドラッグを抑えた『ローダウンフォースパッケージ』、エネルギー消費を問わない予選用には『ハイダウンフォースパッケージ』を使い分けます。ダウンフォース量は、現行のGEN3 Evo比で最大150%も増加しています」

自社開発領域の拡大と「市販車への還元」

ポルシェはGEN4の開発において、自社開発パーツの範囲を大幅に拡大させている。この背景にあるのは、マシン開発要件の変化だ。

駆動効率については99X Electricでもすでに97%以上が実現されているが、新型では重量、耐久性、コスト効率のさらなる最適化が図られた。自社開発の対象には、オペレーティングソフトウェア、パルスインバーター、電気モーター、ギアボックスに加え、新たにDC/DCコンバーターやブレーキ・バイ・ワイヤ・システム、油圧式ディファレンシャルの制御ユニットなどが含まれている。

「効率が完璧に近づくにつれ、重量、耐久性、コストの観点からの可能性など、市販のEVと同様の他のトピックがGEN4の開発要件の上位に上がってきました」とシャンペノワ氏は述べる。

「975 RSEは、先代モデルを71%も上回るピークパワーを生み出します。同時に、多くの部品の重量を減らすことができました。GEN3よりもGEN4向けに多くのコンポーネントを自社開発していますが、私たちのパーツパッケージの総重量は5キログラムの増加しか許されませんでした」

12月のデビューに向け、実戦テストを継続

「975 RSE」という名称は、ポルシェ・モータースポーツの75周年(2026年)に由来している。現行の「99X Electric」が8月のロンドン大会でその役割を終えた後、新型マシンは12月にレースデビューを果たす予定だ。テストはすでに2025年11月から開始されており、2026年4月上旬時点で1860kmの走行を完了した。今後は10月までハードウェアの開発を続け、その後ソフトウェアの最適化へとシフトしていく。

ドライバーのパスカル・ウェーレイン選手は「975 RSEは本当にクールなマシンです。GEN4の速さは、多くのファンや評論家にとって目を見張るものになるでしょう」と期待を寄せた。また、ニコ・ミューラー選手も「特に予選でのアグレッシブな走りと、コーナー立ち上がりの強力な加速はスペクタクルなものになるはずです」と自信を見せている。

【主要諸元】ポルシェ975 RSE(暫定値) 全長/全幅/全高……5540/1800/1150mm
車両重量……954kg(ドライバー含まず)
駆動方式……常時全輪駆動(AWD)
バッテリー容量……51.25kWh(標準供給品)
最高出力……450kW(ノーマルモード)/600kW(アタックモード:816ps相当)
最高速度……335km/h
0-100 km/h加速……約1.8秒
エネルギー回生……最大700kW(1レースのエネルギーの40-50%を賄う)
主要自社開発項目……パルスインバーター、電気モーター、ギアボックス、ブレーキ・バイ・ワイヤ、ソフトウェア等

【ル・ボラン編集部より】 かつて初めてタイカンに試乗した際、圧倒的な速さの反面「クルマからの声が聞こえない」という一抹の戸惑いを覚えた。しかし、この975 RSEの姿に、ポルシェのブレない哲学を見る。0-100km/h加速1.8秒という途方もないスペック以上に注目すべきは、AWD化や高出力化の代償として立ちはだかる重量増加を、わずか5kgに抑え込んだ執念だ。彼らはフォーミュラEという静寂の戦場を、単なる広告塔ではなく、次世代市販EVが「ポルシェとしての雄弁さ」を取り戻すための実験室として使い倒すつもりなのだ。

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文:LEVOLANT LE VOLANT web編集部
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