林道キャンプツーリングのための軽量コンパクト装備&パッキング術のススメ〈リコーダートキャンプツーリング|後編〉
オフロードマシン専門誌『ゴー・ライド』連載企画『令和の世に放つ 愛と青春のオフロードマシン』より、バイクが熱かった時代にラインナップされた懐かしのオフロードマシンを、”迷車ソムリエ”ことムッシュ濱矢が振り返る。平均速度はどのモータースポーツより遅いが、やっていることはとんでもないというトライアル競技の凄さと面白さ…。本記事では、そんなトライアルに最近ハマっているムッシュが独断と偏見で選んだトライアル車たちを紹介しよう!!
国内4メーカーのトライアルの軌跡…
これからトライアルブームがやってくる!? ’20年からトライアルにハマってしまった筆者だから、ひいき目フィルターがかかっているのは否めない。しかし、有名著名人がトライアルに挑戦する記事や動画が多くなるなど、同じ不整地を走る競技なのにこれまではモトクロスやエンデューロより日陰の存在だったトライアルについて、見聞きする機会がグンと増えたのは確かだ。トレンドを先取りするシャレオツな私がトライアルに注目したのは偶然ではなく、ブームのニオイを感じたからか、意味ある偶然、シンクロニシティではないか。
マイナーすぎて(失礼)、知らない人も多いかと思われるので、にわかトライアル好きが説明すると、トライアルのブームはこれまで2回あったと言われている。最初は’70年代前半。日本では新しいバイク遊び、競技として最初のブームが訪れた。そこで大きな役割を果たしたのが、ここでも紹介している国内メーカーが出した初代トライアルモデルだった。’70年代後半には下火になったものの、ロードレースの鈴鹿8時間耐久レースより1年早い’77年に、今も続く国内最大のツーリングトライアルイベント「イーハトーブトライアル」がスタートするなどして根付いた。
2度目のブームは、’83年に発売されたホンダTLR200が大ヒットしたことが起点だった。海外トップライダーを招いてスタジアムトライアルを開催し、それがTV放送されたりもした。何より、’90年代中ごろまで公道を走れるトライアル車が売られていたという事実は大きい。
ホンダ バイアルス125
スズキRL250
ヤマハTY250J
カワサキ250-TX
ヤマハTY250Zスコティッシュ
現在、国内メーカーの普通に買えるトライアル車はホンダの競技用モデルのみ(予約が必要だけど)。公道向けトライアル車は1台も存在しないという淋しい熱帯魚。せっかく注目を集め出しているのに、それじゃあイカン。メーカーの中の人にお願い、ニッチかもしれないけれど、公道向けトライアル車を販売してください!!
ホンダ バイアルス125:めちゃくちゃ上手いおじいちゃんたちを生んだ
ここではいつも真面目に解説しているけれど、さらに襟を正して紹介しよう。なぜなら、このバイアルスは日本のトライアル文化に大きな貢献をした機種だから。バイク+トライアルスでバイアルスという、ゴリラ+クジラでゴジラみたいな名だけど、’70年代の第1期トライアルブームの立役者。ここから今じゃ考えられないメーカーによる啓蒙活動もあって盛り上がっていった。この後もTL125シリーズは’80年代終わりころまで存在した。バイアルスにリアルタイムで乗っていたのは、私も含めて「米津玄師」の文字を見て「発芽玄米」と認識してしまいそうな大先輩。
―― 【HONDA BIALS125】主要諸元 ■全長1995 全幅840 全高1095(各mm) 車重92kg ■空冷4ストローク単気筒 124cc 8.5ps/8000rpm 変速機5段 ■タイヤサイズF=2.75-21-4PR R=4.00-18-4PR ●発売当時価格:15万2000円
スズキRL250:スズキの本気がまた見たい
今ではトライアルのニオイが微塵もミジンコもしないスズキだけど、’73年秋にこんな本格トライアル車を発売していた。公道を走れるスズキのトラ車は史上これのみ(たぶん)。クロモリフレームにアルミタンクで100kgを切る車重。2ストエンジンはハスラーがベース。こんな素晴らしいものを作っていたのだから、昨日買ったボケ防止の本を今日も買ってくる年齢になる前に、歳上が好きなのに歳上がいなくなる前に、スズキはまた公道で乗れるトライアルマシンを出してほしい。ジクサー250の油冷エンジンやDJEBEL、ドジェベルの空冷エンジンでもいいので。
―― 【SUZUKI RL250】主要諸元 ■全長2025 全幅840 全高1160(各mm) 車重95kg ■空冷2ストローク単気筒 246cc 17ps/6000rpm 変速機5段 ■タイヤサイズF=2.75-21-4PR R=4.00-18-4PR ●発売当時価格:29万5000円
ヤマハTY250J:TYの名前は今も続いている
ヤマハ初の本格トライアル市販車。これもホンダのバイアルス、スズキのRL250と同様に’70年代トライアルブームを作った1台。このころ世界チャンピオンだったミック・アンドリュースとヤマハが契約し、彼が開発の助言など関わったと言われる。少し前にあったトリッカー用TY-S外装キットの元ネタだ。元ネタが古すぎて、とっくりセーターを着てコールテンのズボンを履くようなナウなヤングには分からない。ただ「遅刻する食パン少女」みたいに元ネタがまったく分からないわけじゃなく、ちゃんとヤマハ市販トライアル車の始祖とのつながりがあるからOK。
―― 【YAMAHA TY250J】主要諸元 ■全長1980 全幅840 全高1125(各mm) 車重97kg ■空冷2ストローク単気筒 246cc 16.5ps/6000rpm 変速機5段 ■タイヤサイズF=2.75-21-4PR R=4.00-18-4PR ●発売当時価格:28万円
カワサキ250-TX:幻の多角形コーナリングより幻ではない
「 口裂け女は100mを3秒で走るって」「やべぇ逃げられないじゃん」と子どものころに恐れた都市伝説級に見たことがない、カワサキ史上唯一の市販トライアル車。でも競技専用車だったことも理由か、’70年代半ばに発売されたがあまり売れなかったという都市伝説。’60年代にトライアルの欧州チャンピオンになったライダー=ドン・スミスと契約して開発したそうな。”ドン”なんて、ドンタコスかドン松五郎くらいしか知らない。現車は昔カワサキ明石工場内にあった秘宝館で一度見たことがあるだけ。ググると所有者と思わしき人の記事が見つかるから、幻ではない。
―― 【KAWASAKI 250-TX】主要諸元 ■全長2015 全幅835 全高1160(各mm) 車重96kg ■空冷2ストローク単気筒 246cc 16ps/6500rpm 変速機5段 ■タイヤサイズF=2.75-21-4PR R=4.00-18-4PR ●発売当時価格:29万5000円
ヤマハTY250Zスコティッシュ:TZRみたいなアルミフレームに萌える
水冷2ストエンジンにレーサーレプリカのようなアルミフレームだよ。’90年代に欧州メーカーからぶっといアルミフレーム化が進んで、国内メーカーもそのトレンドに追従。同じころに倒立フォークも出てきたけれど、ヤマハは採用しなかった。高剛性=硬いのが必要だったわけだが、ご存知のとおり硬ければいいというわけではなく、長さとか、反り具合とか、先っぽのカタチとかも重要…じゃなく、しなやかさも重要だから、解析技術と製造技術が進んだ現代トラ車のアルミフレームはもっと華奢だ。ヤマハ製トライアル車で「スコティッシュ」と名が付いていたら公道モデル。
―― 【YAMAHA TY250Z SCOTTISH】主要諸元 ■全長2045 全幅720 全高960(各mm) 車重93kg ■空冷2ストローク単気筒 249cc 15ps/4250rpm 変速機6段 ■タイヤサイズF=2.75-21-4PR R=4.00-18-4PR ●発売当時価格:66万円
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